広告業界人だけど「アドブロック」を使ってみた結果:「ユーザー体験が劇的に向上して驚いた」

この記事は、ニューヨークのクリエイティブ・エージェンシー(広告制作代理店)「The Media Kitchen」のプレジデント、バリー・ロウェンサル氏による寄稿です。

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私は最近、あまりテレビを見なくなった。めずらしく見てみようと思ったときでも、コマーシャルを飛ばしたいため、あえて録画をしている。アカデミー賞やスーパーボールのときでさえ、コマーシャルを飛ばすため、あえて録画したものを15分遅れで視聴しているほどだ。そうすることで、良いユーザー体験を得られるのである。アメリカ国民の半数ほどは、テレビ録画機器を所持しているので、ほとんどが私のようにテレビを視聴しているはずだ。

テレビ録画機器を購入するより、パソコンに「アドブロック」ツールを導入するほうが後だった。当初は躊躇していたのだ。「アドブロック」ツールを利用することは、窃盗と同じことと感じていた。広告料がコンテンツの製作費用に当てられているのに、どうしてその広告をブロックしなくてはいけないのか?

「アドブロック」を利用したら、快適すぎた

しかし、「アドブロック」ツールをインストールしたら、ユーザー体験が劇的に向上し、とてもショックを受けた。新興経済メディア「ビジネスインサイダー」を例としてみよう。以前は閲覧環境がとても悪かったため、私は同サイトを避けていた。ページや動画の読み込みは、タールのように重たいドロドロの液体を思わせるほどに、とても遅かったのだ。

「アドブロック」ツールを入れたら、ページの読み込みが見違えるように早くなった。現在、私は毎日「ビジネスインサイダー」を読んでいて、1日に数回、同サイトを訪れることもよくある。同じ実験を「ウォールストリート・ジャーナル」や「ニューヨーク・タイムズ」でもテストしてみたが、同じ結果となった。米「DIGIDAY」にも、同じことが当てはまる。

賛成派、反対派、両者の意見を読んで

私は両方の立場の主張を多く読んだ。一方は広告がコンテンツの費用を出しているのだから、広告をブロックすることは窃盗に等しいと主張する。しかしもう一方は、広告は不必要なものになってしまい、どうせ誰もクリックしないので、意味のないものだという。真実はこの2つの間にある。

しかし、論争すらされていない事実が、また1つ別にある。それは、「広告がなければ、サイト閲覧のユーザー体験は、はるかに良い」ということだ。

広告業界で働く者にとって、これは大きな問題であり、とても怖いことである。結局、私もメディアの設立や買収で潤った生活をしているからだ(その過程で、サイト閲覧者のユーザー体験を悪くしていたとも思う)。しかし、私は「アドブロック」の必然と可能性は、エキサイティングなものであると考える。

モバイルにおける広告の再開発が必要だ

私たちのビジネスは、とても早いペースで変化している。社会はモバイル化しているが、その世界において広告は、あまり効果を発揮していない。多くのバナーにとって、モバイルの画面は小さすぎるのだ。私たちはモバイル用に広告を再開発しなければならない。また、皆が広告をブロックするようになったら、そもそもその再開発が必要になる。

GoogleやFacebookは、モバイルで成功している。広告主のニーズに応えているからだ。他のパブリッシャーたちも、自らの場所を明確にしなくてはならない。できなければ、淘汰されるまでだ。

ある日、「ニューヨーク・タイムズ」で『蜘蛛のなかの少女(The Girl In The Spider)』という新たな書籍に関する記事を読んだ。この本は、バナー広告やテレビCMで発見したわけではないが、私はこれを購入した。この本の場合、プロモーションが、重要なマーケティングチャンネルとなっていたと考えられる。私たちのこの新たな世界では、異なるチャンネルや新たなプラットフォーム、特にソーシャルメディアで商品購入の意思決定を行う。

「アドブロック」という技術の存在はわたしたちに、新たなデジタル広告の創造を迫ることになるだろう。文句をいうのは止め、消費者にとって最適なものが勝利することを認めなければならないのだ。

Barry Lowenthal(原文 / 訳:小嶋太一郎)
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