「我々はメディアではなく、アイデアをはじめて採用した」:急速にデジタル化する化粧品ブランド・クラランス

ときおり利用されるバナー広告やデジタル施策を除いて、フランスの高級化粧品メーカーであるクラランス(Clarins)は、まったくといっていいほどデジタルシフトを行っていなかった。しかし今回、ミレニアル世代のなかでも年上をターゲットとしたクリームのキャンペーン実施にあたり、その戦略を変えはじめている。

「我々はこれまで、デジタル分野はあまり扱っていなかった。現代のマーケターが行っているような投資をまったくしてこなかった」と、クラランスの販売とマーケティング部門を率いるマリア・ベルトレッリ氏は話した。「現在、我々のデジタルに対する投資は激増しているが、同時に戦略的にも深く考えている」。

クラランスの変化は、「シワが増える価値がある(Worth The Wrinkle)」というデジタルキャンペーンで、顕著に見てとれる。このキャンペーンは、20代後半から30代前半の女性をターゲットに、新たに開発した「マルチアクティブ・デイアンド・ナイトクリーム」の販促を目的としているが、このプロモーション費用の80%が、デジタル面に費やされるという。

年長のミレニアル世代が狙い

メディアエージェンシー、マクサス(Maxus)のコミュニケーションプランニングスーパーバイザー、ダニエル・ランダース氏は「この新たな商品はミレニアル世代のなかでも年上をターゲットとしている。彼女たちは雑誌などの媒体を購入することが多い」とコメント。「いままでと違う点は、我々はメディアではなく、アイデアをはじめて採用したということだ」。

このクラランスのキャンペーンは、マクサスがメディアを選別し、コンセプトや戦略を打ち立てた。このキャンペーンは、加齢によるシワを悪いものと決めつけず、シワが増えても素晴らしいと思えるように、女性の人生の瞬間を祝おうというものだ。

恐怖に打ち勝つことや、子供を出産することなど、人生ではシワのひとつやふたつが増えることもあろうが、それらのシワも幸せな人生であるという名誉の勲章、という考えだ。

Get your goal. Face your fears. Grab your dreams. Life's best moments are #worththewrinkle. What are yours?

CLARINSさん(@clarinsnews)が投稿した写真 –

目的を達成しろ。恐怖に立ち向かえ。夢をつかめ。人生の最高の瞬間は、シワを作る価値があるほど素晴らしいものです(#worththewrinkle)。あなたの最高の瞬間はいつ?

インフルエンサーも活用

Facebookやインスタグラムのキャンペーンでは、クラランスは美容・ファッションやライフスタイルに特化したインフルエンサー4人を集め、彼女たちの「シワを作る価値があるほど素晴らしい瞬間(#WorthTheWrinkle)」のストーリーを動画で公開している。

最初の2本の動画では、ブラジル人メイクアップアーティスト、カミラ・コエーリョ氏が登場し、国際的なファッションスターや、美の象徴であるために必要なことを話している。それぞれの動画は、13万回と10万回を超える視聴回数を獲得した。

カミラ・コエーリョ氏が登場する動画。彼女がニューヨークを旅する様子を捉えている。

今後は、写真家・女優でもありライフスタイル動画のブロガーでもあるマヤ・ワシントン氏、ファッションスターのクリッセル・リム氏やフィットネスに詳しいカーリー・バトラー氏などが、それぞれ2本の動画を製作することになっており、5月まで隔週ごとに更新される予定だ。彼女たちのファンたちにも「シワを作る価値があるほど素晴らしい瞬間(#WorthTheWrinkle)」のストーリーの投稿を促している。

ソーシャルメディア分析企業ブランドウォッチ(Brandwatch)によると、#WorthTheWrinkleのハッシュタグは130万以上のインプレッションを獲得。このハッシュタグには、前向きな感情しかオーディエンスに反映されなかったという。

多角的なキャンペーン展開

また、このキャンペーンはオーディエンスの写真をこすると「シワを作る価値があるほど素晴らしい瞬間」を見つけるというFacebookアプリも含まれており、このアプリで作られた動画はソーシャルメディアで共有することができる。20人以上のインフルエンサーやブロガーたちがこのアプリを使って動画を製作し、共有しているという。

現在、クラランスは、ソーシャルメディア以外では、テレビCMも実施している。ニューヨーク、ボストン、マイアミとシカゴに設置されている交通広告や屋外広告も実施しており、フランス化粧品メーカー、セフォラ(Sephora)との店内パートナーシップもある。ほかにも、コンテンツのパートナーとして、「コスモポリタン」「リファイナリー29(Refinery29)」「クリーク(Clique)」や「ポップシュガー(PopSugar)」などのWebメディアともタッグを組んでいる。

Tanya Dua(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Camila Coelho