ラッシュ、24時間365日配信の「ラッシュTV」を来年開設:ブランド独自の動画施策がさらに加速

9月中旬、国際的な化粧品メーカーのラッシュ(Lush Cosmetics)は新製品展示会を開催。2日に渡った、そのフェスティバルでは、一般ユーザーも参加し、おおいに賑わった。

これまで同社は、4カ月に一度、新製品を発表。そのたびに、スタッフ限定のお披露目会を開催していたという。しかし、今回は、一般ユーザーも招待するという変化があった。

このイベントにおける、変化はそれだけに留まらない。これまでとは異なり、7人の映像スタッフがイベント期間中、ノンストップの映像コンテンツをラッシュの最新アプリとオンラインプレイヤー上で、配信し続けたのである。

「ラッシュTV」のベータテスト

まるでテレビ番組のようなトークショーに出演するのは、同社スタッフの「調剤師」。つまり化粧品の調合を行う、ミクソロジストだ。同社の小じゃれたキッチンスタジオにおいて、調剤師らはシャワージェルを生成。そして、落ち着きのないレポーターが、やけにエキサイトする参加者に、製品についてのインタビューを行っている。

チーフデジタルオフィサーのジャック・コンスタンチン氏によると、今回の展示会は、ラッシュのさらなる一大プランに向けた「ライブ配信のベータテスト」だったという。そのプランとは、同社が自ら24時間365日配信を手掛ける動画チャンネル、ラッシュTVのローンチだ。

放送に向けての拠点は、同社がロンドン市内のビーク・ストリートの新社屋へ移転する、2017年はじめにオープンする予定だ。より多くの製作スタッフをこのチームに動員する予定だが、最終的な人数については、現在調整中だという。

24時間365日配信も夢ではない

「テレビ向けの構成をきちんと作る必要がある」とコンスタンチン氏は話す。ラッシュTVはすでにオンラインポータルとして存在しており、スタッフ向けにハウツーを提示したり、スタッフ同士のオンデマンド会議に利用されてきた。

しかし、ラッシュは一般向けのチャンネルを立ち上げ、増え続けるオンライン上のオーディエンスにエンゲージし、また自身のコンテンツを1カ所にまとめたい考えだ。

「隅から隅まで、我々は多くのものを獲得してきた」とコンスタンチン氏。「ひとつのテレビチャンネルを埋めるのも、遠く手の届かないことではない」。

各時間帯向けのコンテンツとは

ラッシュはすでに動画や印刷物、そしてデジタル作品を内製。10名で構成される、強力な印刷物の編集チームは、ドキュメンタリーや調査プロジェクトといった「長編」のプロジェクトを紙媒体「ラッシュ・タイムズ」として発行している。同社のデイリーチームには、やはり10人ほどのスタッフが所属。ソーシャルチャンネルなどに投稿する、短めのコンテンツを制作しているという。

「たしかに我々は製品を販売するが、同時に信頼できるニュースソースにもなり得る。我々は、一般社会に根差している、動物実験のような問題について、深く関心を寄せているのだ」と、コンスタンチン氏は語った。

ラッシュTVチャンネルは、現在所有するコンテンツをミックスし、オーディエンスの日常習慣に合わせて、さまざまな時間帯に提供。たとえば、朝は通勤するユーザー向けに2分ほどの短めな動画クリップ、午後は音声なしで(仕事中でも)見られるようなコンテンツ、そして夜は「ザ・フォックス・プロジェクト」など長めのドキュメンタリーを提供している。

ソーシャルでライブ動画を学んだ

動画コンテンツへの移行はすべてラッシュ・キッチンという派生サービスを実験的に行ったことからはじまった。このオンラインショップでは、ここでしか手に入らないような作り立ての限定商品を「ラッシーズ」と呼ばれるラッシュ愛用者向けに販売する。

(フード・ポルノならぬ)コスメティック・ポルノを制作するということを基本においたこのサービスは、ソーシャルメディアで成功を収めた(フォロワー数はラッシュ本体を上回る)。インターネットには「~製造現場の裏側」という、メイキング関連のコンテンツにより大きな需要がある。

メインチャンネルではないため、制作チームはプレッシャーを感じることなく、Facebookライブ動画やSnapchat(スナップチャット)でコンテンツの実験を行ってきた。こうした取り組みから、ライブコンテンツで成功するための秘訣を手に入れたという。BBCの「サタデーキッチン」に学び、Q&A形式からトークショー形式に切り替えたのだ。

「ロウィーナのアルゴン石鹸」という製品は、ラッシュ・キッチンのライブストリーミング中に完売。ここでは新製品が視聴者に初披露され、さらにブランドの裏側にも入り込む。ラッシュ・キッチンのチーム(マネージャー、カメラマン、映像カメラマン、ライター)は、現在メインブランドに移っており、この経験を活かしてライブ動画をさらに推し進めていくそうだ。

「禁止事項はなにもない」

「Facebookストリーミングは当初、手もち撮影していた。それが、4月以降は、このように大きなイベントで、7人のクルーがインターネットを通して、ライブストリーミングを行うまでになった」。そう説明するのは、ラッシュ・キッチンでソーシャルコンテンツのマネージメントを行う、コレット・マウンシー氏だ。

ラッシュ・キッチンのチームは、あらゆる面で双方向通信を実施。#LushLiveというハッシュタグを使ってオーディエンスに質問をしたり、ツアーに出て、視聴者が見たい場所をガイドするというものだ。

マウンシー氏がコメント投稿者の意見を参考に行った、9月中旬のイベントでの配信は、同ブランドのメインとなるイギリスのFacebookページで2万6000ビューを獲得した。手ぶれのするような動画だったにもかかわらず、同社がいままでに提供したFacebookライブ動画のなかで、2番目となるビュー数を記録した。

コンスタンチン氏は自身がスタッフに、明るい色の石鹸の泡やゼリーとは裏腹に、「とにかく自分の望むものを取ってくるように。禁止事項はなにもない。すべて自由だ。自由に解放するということは、実にいいものだ」と、指示を出したという。

Grace Caffyn(原文 / 訳:Conyac