コカ・コーラのオウンドメディア「ジャーニー」の試練 〜悩みの種はFacebook流入の減少

オウンドメディア「ジャーニー(Journey)」を運用するコカ・コーラは、ブランド認知度を高めようと努力し続けてきた。しかし、近頃のソーシャルプラットフォームの勢いに押され、コカ・コーラといえど状況は良くないようだ。

難関はFacebookからの流入の減少だ。「ジャーニー」は、3年前に自社Webサイトに取って代わってローンチしたが、近年、オーガニックリーチとアクセス数が減少傾向を辿っており、危機感を募らせている(米DIGIDAYの最新リポートによると、Facebookでの上位パブリッシャーへのリファラーは32%減少していた)。

オーガニックリーチ先として、サイトが認められているとは言いがたい現状を踏まえ、同社デジタルソーシャルメディアコミュニケーション担当責任者のダグ・バスク氏は、マネタイズの最適化をはかるため独自開発の指標を採用した。バスク氏によると、社員たちはこの新しい指標の導入を歓迎しているという。「我が社のオウンドメディアが置かれている厳しい状況を十二分に補ってくれた」と、同氏は語る。

独自の指標「EOI」を採用

「ジャーニー」には、総勢12人の記者と編集者が配属されている。コンテンツには、新しいボトル紹介などのストレートな記事から、ブランド名すらコンテンツ内に出さない健康関連のニュースといった記事も配信している。

同社は、過去3年でブランドのソーシャルメディアのフォロワー数が50%増加したのは、「ジャーニー」に起因するものと見ている。しかし、ソーシャルメディアの測定手段やデータは、パブリッシャーに都合がいいように計測される可能性もないわけではない。そこで、記事のROI(投資対効果)を独自に算定する指標を編み出した。

それはページビューや直帰率、閲覧率や滞在時間、シェアリングやコメントなどのような既存の測定手段を一体化させたもので、「興味に対する表現」(expressions of interest:通称EOI)と同社では呼んでいる。

EOIでは、反復投稿や、ソーシャルメディア上での過度な露出に起因するエンゲージメントなどを除外した。「読者への配信や対話方法を変えなければ、『ジャーニー』の未来はないだろう。それを算定する指標がEOIなのだ」と、バスク氏。

外部への配信も意欲的に

Facebookでの訴求力の低下を補うような選択肢も視野に入れている。そのひとつがソーシャルプラットフォームでのコンテンツ配信だ。バスク氏は、Appleの「News」や「Pocket」などのアプリ活用も選択のひとつとして入念に検討中だ。

Facebookの「Instant Articles」への参加も模索しているという。しかし、現在は「Instant Article」を利用できるのは老舗パブリッシャーだけに限られているため、コカ・コーラのようなブランドが参加することはできない。これに関して、バスク氏は返答をしぶり、「私がいえるのは『とにかくコンテンツを見て欲しい』ということだ」とだけコメントした。

「パブリッシャーにとっての復興期を迎えているといっても、その瀬戸際に立たされている」とバスク氏。「質の高いコンテンツを届けるのに最適なプラットフォームを厳選するべきだ。そこを間違ってしまうと、我々の進歩はありえない」。

Facebookの「Instant Articles」に関しては、現在、少数のパブリッシャーしか参加していない。 しかし、GEのようなジャーナリズム上に強力な存在感をもつブランドは、参加に意欲的だ。だが、「Instant Articles」で展開するBuzzfeedなどのパブリッシャーは、スポンサードコンテンツを配信することを禁じられている。

とはいえ慎重すぎる面も

現在、コカ・コーラは18の市場別にそれぞれの「ジャーニー」を展開中。バスク氏は、来年にはその数を倍増させる計画だ。現在の「ジャーニー」は少人数のスタッフと編集者で、カルチャーやイノベーション、環境問題に関するコンテンツを配信し、ほぼすべてのカテゴリーをカバーしたブランディングをしている。ソーシャルプラットフォームの台頭で、「ジャーニー」チームの運用方式も変化せざるを得なくなった。今後の変化についても、注意深く静観しながらのアプローチが唯一の策だと語る。

コカ・コーラが写真共有サイトのインスタグラムのアカウント(@thecocacolaco)を作ったのが、2015年5月と、ほかのブランドと比べて遅かった理由もプラットフォーム活用に際しての慎重な姿勢の現れだ。「戦略的かつ質の高いアカウント運用ができるまで、我々は慎重に時間を要した」とバスク氏はいう。

一方で、インスタグラムのアカウントで、アメックスのカードをシンプル化したイメージや、ウォッカのボトル写真などを使って上手くいったブランドのように、コーラ瓶の美しい写真ばかりを投稿しようという気はないのだという。「我々のインスタグラム上での課題は、綺麗なコーラ瓶の写真以上にクオリティーがあるものを配信していくことだ」とバスク氏は語る。

しかも、現在のフォロワー数、3000人を切るほどでは、投資に見合わないかもしれない。同社のFacebookフォロワー数は約100万人、ビジネスパーソン向けのソーシャルメディアであるLinkedIn(リンクトイン)では80万人を少し下回り、Twitterでは約40万人ほどのフォロワー数を誇る。

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「ジャーニー」サイト

LinkedInに可能性を見た

コカ・コーラはほかにもソーシャル戦略の見直しを試みた。プラットフォームごとに「ジャーニー」のコンテンツの最適化をし、オーディエンスが「ジャーニー」に戻ってくるような施策を実施。やみくもにコンテンツを無数のプラットフォームに配信せず、最適な記事のプロモーションを模索するようになったのである。

「ジャーニー」で、いまもっとも人気の記事は、同社の傘下にあるオネスト・ティー(Honest Tea)社のCEO、セス・ゴールドマン氏への事業計画やキャリアについてのインタビュー記事だ。Facebookでの「いいね!」数は16と、取るに足らない数字だったが、LinkedInでは約1000も「いいね!」を獲得していた。

これについて、コンテンツキュレーションの重要性を示した「素晴らしい例」だとバスク氏はいう。「この数字は成功だ。我々が予想した通り、リンクトインが最適なプラットフォームだというのも当たった。バスク氏は、現状での課題は、『ジャーニー』を通して我々が何をしているのか、オーディエンスに理解してもらうことと、これからもオーディエンスとの関係性を維持していくことだ」と話した。

Shareen Pathak(原文 / 訳:南如水)
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