デジタル変革が進む「小売業界」、排除すべき障害は何か?:各社役員がもらした不満や課題

米DIGIDAYは2016年1月25日、小売企業を対象にした「DIGIDAY リテールサミット(Digiday Retail Summit)」を、カルフォルニア州のラグナービーチで開催した。

本イベントには、小売企業を中心に、各エージェンシーやベンダーの役員たちが参加。リテール業界をめぐるデジタルマーティングに関する情報や意見の交換が行われた。

同時に米DIGIDAYでは、会場に「チャレンジボード」というスペースを用意。それぞれが直面している課題をポストイットに書き出し、そこで披露してもらった。目立った回答として、クロスチャンネルにおけるアトリビューションの問題、ブランド認知度の向上と改革推進の間に横たわる溝や、企業の革新を阻む内部体制の問題などが挙げられる。

いま、小売業界では何が起こっているのか。今回の「DIGIDAY リテールサミット」に参加した役員数人に、これらの問題や課題について詳しく話を聞いてみた。


イベントで用意された「チャレンジボード」の様子

プラットフォームの問題

「私たちは費用の多くを、Facebookとインスタグラムに投じている。この2つのSNSに投じる費用はTwitterやPinterest(ピンタレスト)に投じる費用とは比べものにならないほどだ。また、私たちはPinterestについてよく冗談を語り合う。(Pinterestに)貯金をすべて使い果たしてしまったのかと思うぐらいだ。それだけ、Pinterestとは仕事がやりにくい」。

「それにPinterestは、本当に儲けようとしているのだろうか? とても、そうは見えない」。

ビーコンに対する疑問

「店舗などで利用する、ビーコンを重要視している企業は多い。だが、それは単に、既存顧客をターゲットとしているだけだ。代わりに、バーやレストラン、空港などでビーコンを使用した方が良いのではないだろうか? そっちの方が新規顧客を得るためにも有効だと思う」。

上層部の無理解

「本当に不快に思っていることがある。それは、企業の上層部が現行のビジネスモデル、部署や予算編成の過程などを見直さず、新しいデジタル世界に適した改革を進めていないことだ。上層部は、改革の緊急性をまったく感じていない」。

定まらない方向性

「マーケティングの方向性がコロコロと変わるのは大きな問題だ。ものすごく苛立たしいが、ほかの企業の事例記事や、重役たちの鶴のひと声で、マーケティング計画・戦略がひっくり返ってしまうことはよくある。いつになったらビクビクせずに、決めた方向性に向かって進めるのだろうか?」。

「ブランドがどう成長するかなど、誰も理解していない。これは、多くの人が、ブランドの成長を促す、普遍的な法則が存在するとは思っていないからだ。彼らはただ、単に最新の流行やプラットフォームを追うことしかしない。そして最悪の場合、波に乗っている企業が行った戦略をそのまま模倣することもある。模倣する戦略の基礎や目的を理解しないままでだ。これでは金と時間の無駄といえるだろう」。

未来が見えていない広告営業

「現在、メディアソリューションは大きく分けてブランディングとダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)の2つに分類している。それぞれの料金体系はCPMとCPCが使われている。私はブランディングとダイレクトレスポンスの両方を購入していて、それぞれの評価方法も異なるが、両方ともROI(投資利益率)に貢献してくれている。しかし、私がもっとも苛立っていることは、ブランディングの方が、成長よりも配信数を重視していることだ。インプレッションなんてどうでもいい。目に見える変革を行ってほしい」。

「私は利益を上げることだけを望んでいる。もしメディア企業がこの望みを叶えてくれるようなブランディングキャンペーンを提供してくれるならば、それは大歓迎だ。しかし、彼らが提供できるというのはリーチ拡大だけで、たとえそれが出来たとしても、どういった影響があったかは我々、メーカーがそのデータを計算して調べることになってしまう。これではビジネスの発展を逃しているようなものだ。すべてのメディア企業がこのようだとはいわない。だが、もしこれまでになかったユニークなアイディアを我々に提供してくれるのであれば、どれほどの投資が必要で、どのようにそのキャンペーンの効果を測ればよいか教えてほしい」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:BIG ROMAN)
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