「Messenger」施策の失敗、マリオットホテルが学んだこと

ホテルグループのマリオット・インターナショナル(Marriott International)は2016年3月、Facebookの「Messenger(メッセンジャー)」で「攻めのマーケティング」に初挑戦したが、この試みは大失敗に終わった。同社のリターゲティング広告が、顧客のニュースフィードではなく、Messenger内に配信され、たちまち問題が発生したのだ。

問題視されたのは、Messengerの受信箱に入り込んだ、ありがた迷惑な提案。たとえば、この実験の少し前に、シカゴのマリオット系列ホテル「コートヤード(Courtyard)」の部屋をオンラインで閲覧していた顧客には、まだ部屋を予約したいかどうかを尋ねるパーソナルメッセージを送りつけていたという。

マリオットの常連客は、これに対して否定的な反応を示す。そのため、この試みはわずか2時間のうちに終わりを迎えた。

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「我々の初の試みは無惨にも失敗した」と、マリオットのソーシャル・デジタルマーケティング部門でシニアディレクターを務めるアマンダ・ムーア氏は振り返る。「しかし、得られた教訓もある。特に重要なのは、あの場で我々が行ったことは人々が望むことではなかったということだ」。

それから半年間、マリオットは同プラットフォームで別のアプローチをいくつか実験してきた。そのひとつが、9月下旬にローンチした、会員特典プログラム「マリオットリワード(Marriott Rewards)」のチャットボットである。

このチャットボットが、最初に取り組んだのは、先ごろマリオットと合併したスターウッドホテル&リゾート(Starwood Hotels and Resorts)のリワードアカウントを簡単に連携させることだ。

米DIGIDAYはムーア氏に取材し、マリオットがMessengerの取り組みにおいて、半年前の最初の失敗から現在までに学んできたことを尋ねた。その要点を以下で紹介する。

メッセアプリは、一方的に伝えるマーケティングの手段ではない

FacebookのMessengerは過去2年間、マリオットリワードのカスタマーサービスにとって重要なツールとして成果を上げてきた。4~6人の専任チームが常時このチャネルをモニターして、質問に回答している。マリオットはこの場所で、すでに訪れているオーディエンスに対応する形で、既存のニーズを満たしていたのだ。

これに対し、マリオットは3月にありがた迷惑な提案を送信。この機能をオプトインしていなかったMessengerのユーザーたちは、干渉行為だと受け止めた。

「この経験で我々が再認識したのは、メッセージングはクローズドなコミュニケーションを想定した、非常にパーソナルで親密なものということだ」と、ムーア氏は語る。「ブランドがその場に侵入して何の価値も生み出さないなら、取り組みはうまくいかない」。

素早く学習すること

メッセージングアプリの大きな長所は、1対1のインタラクションをリアルタイムで実現することだ。これは消費者の期待を高めるものだが、同時に、ブランドは反復と学習のプロセスを素早く行わなければならないことを意味する。Messengerにおける不当で侵襲的なダイナミック広告が否定的なフィードバックを受けていることに気づいたマリオットは、素早く対処し、キャンペーンを中止した。

マリオットは最新のチャットボットについても、絶えずデータを追跡し、臨機応変に変更を加えて、ユーザーのフローや体験を改善している。さらに、シンプルなユーザーインターフェイスにもこだわり、ボットがボタンの反応を介してユーザーを導くようにした。

「必要なのは、フィードバックに耳を傾けて行動を起こすこと」と、ムーア氏は指摘する。「メッセージングは、試行して学習するのに3~6カ月もかける分野ではない。フィードバックはすぐに返ってくるので、素早く変更を実施して、絶えず改善することが求められる」。

便利さと楽しさを結びつけることが理想

顧客はメッセージングプラットフォームで、一定の利便性を期待しながらブランドと交流する。たとえば、化粧品チェーンのセフォラ(Sephora)とチャットしている人なら、好きなリップスティックの在庫状況を知りたがっているかもしれない。あるいは、デルタ航空(Delta Air Lines)とチャットしている人なら、自分が搭乗するフライトのゲート番号を知りたいかもしれない。

マリオットとチャットするユーザーは、次の休暇に部屋を予約することに関心があるのかもしれない。マリオットは、そうした旅をもっと楽しいものにしようとしている。同ブランドは近く、Messengerに「旅行ステッカー詰め合わせ」や旅行に関する毎日のアドバイスを導入して、顧客とのあいだによりパーソナルでエンゲージをもたらすつながりを築こうとしている。

「ホテルの部屋を簡単に予約できることは、我々にとって非常に重要だ」とムーア氏は語る。「同時に、顧客に旅行ステッカーを提供して、たとえばパリへの旅行中にそのステッカーを友人に発送できるようにしたいと考えている」。

Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)
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