Amazonが牛耳る小売業界、ブランド各社の生き残り術:ウォルマート、ナイキ、デロンギの事例

Amazonなどのeコマースの拡大により、アメリカ小売業界では今年に入って倒産や閉店が続いている。ウォルマート(Walmart)、ナイキ(Nike)、デロンギ(De’Longhi)の幹部たちは9月27日、アドバタイジングウィーク(Advertising Week)で、厳しい状況のなかでもビジネスを成功させるための戦略について語った。

ウォルマート「これからは音声アシスタントの時代」

ウォルマートのeコマース部門プレジデント兼CEOマーク・ロア氏は、マーチャンダイジングとロジスティクスにおける成功のカギを、音声アシスタントに見出していると述べた。

「eコマースは、テクノロジーよりもマーチャンダイジングの側面が強い」とロア氏は、Googleの広告・コマース部門幹部シュリダール・ラマスワミ氏とのパネルディスカッションで語った。「音声アシスタントでは、検索結果100件を一度に表示することはできない。1回の検索で、消費者にたったひとつのベストな候補を提示するためには、消費者のことを詳しく知る必要がある。これが、小売業の進むべき道だ」。

アメリカの消費者は9月から、音声アシスタント搭載スピーカー「Google Home」を使って、Walmart.comでの過去の購入履歴に基づき、ウォルマートの商品を注文できるようになった。同社は今後さらに音声アシスタントへの対応を進める。「実際の店舗で店員に話しかけるのと同じように、消費者の好みを深く理解している音声アシスタントに話しかけて買い物をする時代が、まもなくやってくる」とロア氏は述べた。

ウォルマートは配送も強化していると同氏は語った。試験運用中のプログラム「アソシエイト・デリバリー」では、全米4600店舗に勤める従業員約120万人が、受注した商品を通退勤の途上で発注者に届ける。ウォルマートは従業員に追加手当を支給することで、配送コストを節約できる。

Amazonは強力すぎないかと尋ねられると、ウォルマートは生鮮食品でまだ優位だとロア氏は答えた。「消費者は毎週店舗に来て、生鮮食品を買っていく。つまり、生鮮食品部門で消費者の信頼と直接の関係を築いている」。

ナイキ「Amazonでは心が通わない」

別のパネルディスカッションで、ナイキのニューヨークシティ・デジタル・スタジオのゼネラルマネージャー、ロン・ファリス氏が「Amazonでは心が通わない」と発言した。利便性を顧客体験の中心に置くAmazonでは、ブランドが買い手と心の通う関係を築きにくいからだという。

同氏は、デジタルのおかげでブランドは非常に大きな発信力を手にしているが、消費者と心を通わせることはなくなっていると述べた。ナイキは対策として、スニーカーファンのコミュニティのなかでもっとも影響力がある15~20%の人々に向けて、カスタマイズされた製品を送り出してきた。

ナイキとAmazonのパートナーシップについては、同氏は相互にメリットがあると語った。ナイキはAmazonからデータの活用法を、Amazonはナイキからデジタルブランディングの方法を学んでいる。「(Amazonにおける)消費者の購買体験にもっと心が通う要素を加えていきたい。Amazonとの提携により、マスにリーチできるプラットフォームで強いブランドを築いていきたい」とファリス氏は述べた。

デロンギ「実店舗は我々にとって非常に重要」

デロンギはAmazonで高級コーヒーメーカーを販売しているが、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)などの小売業者と提携して、Amazonでは提供できない実店舗での顧客体験を強化している。ファリス氏と同じパネルディスカッションに参加していたデロンギ北米法人デジタルマーケティング部門責任者、ララ・デジニョル氏はそう語った。

「実店舗は我々にとって非常に重要。店舗内店舗を設置して、さまざまなコーヒー豆を展示し、当社のマシーンで美味しいコーヒーを入れる実演販売を行いたい」。

Yuyu Chen原文 / 訳:塚本 紺)