中国の「中古高級品」市場へ挑む、人気の仏 ECサイト:ヴェスティエール・コレクティブの狙い

中古高級ブランド品のマーケットサイトを運営するヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)が、中国の消費者に目を向けている。高級ブランド好きな中国の買い物客に対して、中古の高級品でも十分価値があると見てもらいたいのだ。

6500万ドル(約74億円)の資金を調達し、企業評価額が1億3000万ドル(約148億円)を超えたパリのスタートアップ、ヴェスティエール・コレクティブは、中国での事業拡大をめざしている。同社は現時点で、47カ国に600万人の会員を抱え、米国や香港といった主要市場で独自のキャンペーンを展開。すでに中国と香港には商品を出荷しているが、中国の販売業者との提携と、中国における物流拠点の設置を進めている段階だ。いずれも、2018年はじめまでに完了する計画だ。

ヴェスティエール・コレクティブのCOO(最高執行責任者)、オリバー・メルシャトー氏は、「我々はこの3年間で急成長を遂げており、欧州では中古高級ファッションブランドを扱うECサイトとしての地位を確立した。米国でもプレゼンスを強めており、世界的に認知された業界初のプラットフォームになるため、アジアへの進出を引き続き強化したい」と話す。「米国の販売業者と欧州の販売業者を結びつけるプラットフォームを持つのは我々だけだ。アジアでも、同様に販売業者を巻き込むための物流システムを構築していく」。

中古品市場はこれから

中国の高級ブランド志向の消費者が国内で購買する傾向を強めているため、中国も高級品市場の成長に期待している。マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)による2017年のレポートによれば、2025年までに世界の高級品市場では、中国消費者の購買行動による1500億ドル(約17兆円)の売上が見込まれるという。その割合は、市場全体の44%に相当するのだそうだ。

この影響を受けて、グッチ(Gucci)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)といった高級ブランドは、中国市場向けのeコマース戦略を展開。ブランドサイトを立ち上げたり、アリババやBtoC小売サイトであるJD.comなどのプラットフォームと提携したりしている。

現在、高級品市場に関しては中国がもっとも成長可能性が高いが、中古高級ブランド品への関心がさほど高いわけではない。ヴェスティエール・コレクティブは、中国における高級志向の顧客を狙うにあたって、香港を皮切りに、オンラインの中古品マーケットを立ち上げる計画を立てている。

この計画はまだ準備段階だが、同社の成功は、同じく中国で中古品市場に参入しようとする他社にとって、先例となるだろう。高級品市場は全体として成長しているが、中古品については停滞気味だ。中国の高級品市場は全体で500億ドル(約5.7兆円)規模であるのに対し、中古市場は15億ドル(約1700億円)である。日本では、高級品市場の規模ははるかに小さく、中古品にいたっては50億ドル(約5700億円)規模だ。大手会計事務所PwC(プライスウォーターハウスクーパース)の2017年のレポートによれば、中国のeコマースでの高級品購入のうち、中古品サイトでの購入はわずか2%に留まっている。

「中国の高級品消費が高まったのは、まだ最近のことだ。そのため、消費者の大半がいまも新品を好み、中古品の価値を見くびる傾向がある」と、中国で高級品市場に詳しい出版・コサンルティング会社であるジンデイリー(Jing Daily:精日传媒)のアソシエイトエディター、イーリン・パン氏は指摘する。「全体として中国の消費者は、まだ中古高級ブランドという概念を受け入れていない」。

物流システムがカギ

メルシャトー氏によると、ヴェスティエール・コレクティブは、これまで中古高級品やヴィンテージを販売してきた世界的な実績と、商品の厳格な査定プロセスにより、中国でも信用を得たいと考えている。一方、中国で同社がもっとも優先しているのは、物流システムを拡大することだという。

「中国で適切な物流システムを築き、集積拠点に商品が送られるようにするには、効率化・最適化を進めないといけない」と、メルシャトー氏は述べる。

中国でオペレーションを構築するのに最大の障壁となるのは、販売する商品の仕入先に応じた、もっとも速く効率的な出荷・配送ルートを見つけ出すこと。そして、関税などの税金、法的規制、為替レートの変動に対処することだ。ヴェスティエール・コレクティブは、買い付けた商品の75%を、それを買い付けた国以外に出荷しているなど、商品の配送には慣れている。中国でこのような業務をうまく処理し、市場規模を拡大するため、同社は2016年に香港事務所を開設し、2018年はじめにも、中国に物流拠点を開設する計画だ。

中国から、さらに世界へ

中国国内で、ヴェスティエール・コレクティブが競合する企業はおもに2社ある。1社はミラノステーション(Milan Station)で、デザイナーバッグを専門にオンラインストアと実店舗を経営するチェーン店だ。もう1社はタオバオ(Taobao:淘宝)が所有するECサイトで、アパレル、シューズ、アクセサリーのほか、電子機器や家庭用品を販売している。

一方、世界市場における最大のライバルは、米国に本拠を置くザ・リアルリアル(The RealReal)だ。同社は、中古高級ブランド品の販売でヴェスティエール・コレクティブと直接競合している。5億ドル(約570億円)の年間売上高を誇るザ・リアルリアルは、米国最大のオンライン委託販売店として、60カ国に商品を出荷しているが、米国外の販売業者の商品は受け入れていない。だが、オーストラリア、カナダ、香港といった米国外の地域に進出するため、2016年に4000万ドル(約45億円)の資金を調達している。

中国の消費者志向がヴェスティエール・コレクティブの提供する商品に合致するかどうかについて尋ねられたメルシャトー氏は、同社の最大の強みは、最近発売されたが品切れとなったブランド品を、使い古されていない状態で提供できる点だと説明した。具体的には、グッチの最近のコレクションや、シュプリーム(Supreme)とルイ・ヴィトンのコラボ製品などだ。また、同社は国際模倣対策連合(IACC)に加盟しており、販売している製品はすべて、専門家によって本物と認められたものだという。

「中国では、適切な方法でブランドのDNAを確立することが非常に重要だ。競争が少なく、市場が拡大を続け、高級品を好む若い消費者がいる中国には、大きなチャンスがある。我々は高級ブランド品の世界への入り口なのだ」と、メルシャトー氏は語る。「我々がこうした消費者を狙って投資しているのは、世界的なプラットフォームになるチャンスがあるからだ。世界中で高級品購買層を開拓できたところが、勝つことになる」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:ガリレオ)