ユニリーバ、積極的な マイクロインフルエンサー 活用へ:エージェンシー半減方針の陰で

ユニリーバ(Unilever)にとって、一緒に仕事をするインフルエンサーは、必ずしもビッグであるほどよいわけではない。

ユニリーバのアシスタントブランドマネージャー、マデレーン・ボールトン氏によると、以前ならユニリーバが雇うインフルエンサーは、人気テレビ番組「ザ・グレート・ブリティッシュ・ベーク・オフ(The Great British Bake Off)」のファイナリストくらいは有名である必要があった。それが現在は、いわゆるマイクロインフルエンサーたちに目を向けるようになってきている。フォロワー数ではソーシャルメディアの大スターたちにかなわないが、数分の一の費用でよりよいエンゲージメントを提供できる者たちのことだ(少なくとも理屈上は)。ユニリーバは、費用が高いエージェンシーに代わるものを探しており、こうしたマイクロインフルエンサーが適合する場面が増えてきている。

「ストーク」の成功事例

ユニリーバは、インフルエンサーネットワークのトライブ(Tribe)と協力することで、インフルエンサーに対して、エージェンシーのような対応を実施している。ブリーフを用意して自らインフルエンサーに接触することで、こうした側面におけるエージェンシーへの依存を減らしているのだ。

「以前なら、(インフルエンサーと仕事をするのに)エージェンシーを使っていたが、そのような中間業者が入ると、広告主として、少し距離ができてしまう」と、ボールトン氏は語る。「私としては、インフルエンサーを自ら管理する方式をかなり気に入っている」。

ユニリーバによるトライブのマイクロインフルエンサー利用で、これまでにもっとも注目すべき事例は、この夏に実施したマーガリンのブランド「ストーク(Stork)」のキャンペーンだ。ユニリーバは、ストークを使って焼いた食べ物の画像をインフルエンサーに求めるブリーフを投稿し、クリエイターによる投稿から気に入ったもの21件を選んだ。選ばれたクリエイターたちは、インスタグラムの自分のアカウントでその画像を投稿し、結果、ユニリーバによると画像が5週間で約43万6000人に閲覧された。

CPEという指標の捉え方

このキャンペーンの画像は、総計で1万1990件のいいね!とコメントを生み出し、エンゲージメント1件あたりのコスト(Cost Per Engagement:以下、CPE)は16ペンス(約24円)だった。トライブによると、30ペンス(約44円)以下ならお値打ちだという。同じ時期に実施されたストークの別のマイクロインフルエンサーキャンペーンも、CPEは20ペンス(約30円)だった。

ユニリーバはCPEを、インフルエンサーへの支払いの指標としてではなく、キャンペーンのパフォーマンスをトライブ内のほかのキャンペーンと比較する基準として使っている。インフルエンサーに対しては、投稿単価で固定料金を払っており、トライブによると、フォロワー数が3000人~1万人のインフルエンサーで50ポンド~100ポンド(7500円~1万5000円)だという。「十分な数のフォロワーがいてコンテンツもいいのだが要求金額が高すぎるインフルエンサーがいたら、価格を下げられないか問い合わせてみる。たいていは下げてくれる」とボールトン氏は述べる。

ユニリーバのような広告主は、インフルエンサーキャンペーンにおいて、CPEのようなパフォーマンスに基づいた価格決定モデルの適用を拡大させている。キャンペーンのコストを、インフルエンサーがもたらすいいね!やシェアと結びつけようというわけだ。ただ問題なのは、インフルエンサーがCPEモデルを悪用し、質の高いコンテンツ制作を犠牲にしてエンゲージメント数の達成に力を入れる可能性がある点だ。

業界の観測筋によると、CPEはインフルエンサーキャンペーンの指標をより質的なものにする一歩ではあるが、まだ概念上の課題がある。つまり、ブランドとしては、メディア購入の測定と同じようにエンゲージメントを測定したいがそれは難しいということだ。

インフルエンサーの使い分け

大きなインフルエンサーは、小さなインフルエンサーほど「手づくり感」がないとはいえ、ボールトン氏によると、広告主のプランのなかでは両方に役割がある。この両者の理想的な配合は、大きなインフルエンサーを影響の大きなキャンペーンのローンチに使いながら、マイクロインフルエンサーに日々のエンゲージメントを多くやってもらうというものだ。

「マイクロインフルエンサーが投稿するケーキは、少し崩れて見えるかもしれないが、インフルエンサーによる洗練された完璧なコンテンツからは得られない家庭的な味がある」とボールトン氏は述べる。「毎日、仕事として焼いている人だとこうはいかない」。

ユニリーバは、まだマイクロインフルエンサーのテストを進めているところであり、トライブと仕事をする前にも、単発的にキャンペーンを実施していた。2016年には、ヘアケア・ブランド「クリア(Clear)」の3週間キャンペーンのために、インフルエンサープラットフォームのマーベリック(Mavrck)と組んでマイクロインフルエンサー1000人を採用し、2421件のメールアドレスを獲得した。

代理店を半減する方針

「我々(ユニリーバ)のようなブランドは今、巨大インフルエンサーに払う予算がいつもあるというわけではない」とボールトン氏。「予算をより賢く使える方法に広く目を向けているところであり、マイクロインフルエンサーと組むのはそのひとつだ」。

ユニリーバは、インフルエンサーに接近しつつ、従来のエージェンシーとの仕事からは距離を取りつつある。世界で採用しているエージェンシー3000社を半減する方針で進めており、この節約によって2019年までに10億ユーロ(約1320億円)を生み出すことを目指している。グローバルマーケティング担当SVPのアリーン・サントス氏は2017年、従来のエージェンシーモデルは「巨大なプレッシャーのもとにある」と発言している。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)