FBボット導入から2カ月、1-800-フラワーズの成功に学ぶ:若年層は人間よりボットの対応を好む

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOが2016年4月に開催された「F8」カンファレンスで「Messenger(メッセンジャー)」の企業向けチャットボット・プラットフォームを発表した際、デモで例にあげたのが「1-800-フラワーズ(1-800-Flowers)」だった。

ザッカーバーグCEOは、「これは私のお気に入りだ。皮肉な話だが、1-800-フラワーズに注文するために、1-800-フラワーズに電話をかける必要がなくなってしまう」と語った。

「チャットボットのゴールドラッシュ」が、いままさに全盛期を迎えている。Facebookのローンチパートナーたちは、ここまでのMessengerボットの成果を計るすぐれた指標となるはずだ。ザッカーバーグCEOは、プラットフォームの発表に合わせて、Messenger担当責任者であるデビッド・マーカス氏にバラを送ったが、それから2カ月経って、マーカス氏以外に1-800-フラワーズからバラを受け取った人はいるのだろうか?

「もちろんいる」と言うのは1-800-フラワーズのプレジデントであるクリス・マッキャン氏だ。マッキャン氏は米DIGIDAYの取材に対して、チャットボットを介した注文の70%以上は新規の顧客からだ、と答えた。こういったユーザーはアーリーアダプターであり、通常のオーディエンスより年齢層が低い。

最大の関心は顧客体験

「彼らはすでにMessengerプラットフォームを利用しており、エンゲージメントは容易だった。彼らは注文するのに1分もかからない。チャットボットのおかげで使いやすくなっている」とマッキャン氏。

注文量も増えている。マッキャン氏は具体的な数字はあげなかったが、Amazonのバーチャル音声アシスタント「アレクサ(Alexa)」と統合されたMessengerチャットボットやIBMのオンラインコンシェルジュ・サービス「ワトソン(Watson)」のおかげで、注文が殺到しているそうだ。

 

ユーザーがよほど優柔不断でない限り、花の注文はものの1分でできる。

ユーザーがよほど優柔不断でない限り、花の注文はものの1分でできる。

 

開発に3カ月を要したこのボットには2つの機能があり、マッキャン氏によると、どちらの機能も同じくらい利用されているという。顧客が自分でひとつひとつ必要情報を入力して注文する方法と、バーチャルなコンタクトセンターにいる人間のカスタマーサービス担当者につなぐ方法だ。時期にもよるが、1000人から3万5000人の担当者がメッセージに応えてくれる。

Messengerのほかのボット、たとえばディズニーの「ミス・ピギー」などは、自由形式の会話で、話の流れをさまざまな方向に持っていくことができるが、1-800-フラワーズは会話の流れを制限している。それはまるで、選択肢がいくつかあるテストに回答するようなものだ。プロセスをできる限りユーザーフレンドリーにするために、わざとそうしているとマッキャン氏は述べ、次のように説明した。「これが新しいチャネルだということを考えると、我々にとって最大の関心は顧客エクスペリエンスだった」。

まだ完璧ではない

ほかの初期のボット同様、これもまた完璧ではない。たとえば配達日の変更など、あらかじめ定められた会話の流れから外れた話をすると、チャットボットが会話についてこられないことがある。また多くの場合、途中で注文をやり直したいと思っても、延々と最後まで進んでいかなければキャンセルできない。

 

あらかじめ定められた会話の流れから外れると、チャットボットは混乱する。

あらかじめ定められた会話の流れから外れると、チャットボットは混乱する。

 

1-800-フラワーズはこうした欠点の解消に取り組んでいるが、たとえこのような欠点があっても、顧客の反応は好意的だ。これを受けて、1-800-フラワーズは、チョコレートブランドの「ファニー・メイ(Fanny Mae)」やグルメギフト・ブランドの「ハリー・アンド・デビッド(Harry & David)」など、ほかのブランドでもボットを採り入れる計画を進めている。

たとえば絵文字キーボードを利用して、ユーザー同士の会話に入り込んでいるブランドが、必ずしも成功しているとは限らない。過飽和状態にある市場で、消費者が実際に絵文字キーボードを利用している証拠はほとんどないのだ。

人間よりもボットがいい

だが、ユーザーたちが安心してボット利用していることに驚いたと、マッキャン氏は言う。「ほとんどの顧客、特にミレニアム世代は、人間よりむしろボットとやり取りするほうが良いようだ」と、マッキャン氏。ただし、その場合はボット相手であることをユーザーに明確に示す必要があると1-800-フラワーズは気づいている。この問題に対処するため、Messengerを使用する人間の担当者は自己紹介をし、すべてのメッセージに署名をすることになっている。

1-800-フラワーズは、数多いFacebookのEコマースベンチャーのなかでは、早くからパートナーになった企業のひとつだった。たとえば、マッキャン氏によると、すでに終了となったFacebookの「Gifts(ギフト)」サービスでは、1-800-フラワーズのクッキー・ブランド「シェリルズ(Cheryl’s)」が10万件を超える注文を受けたそうだ。

1-800-フラワーズは5月に、Webサイトで「Gwyn(グウィン)」というAIコンシェルジュを発表した。「Gwyn」は「Gifts When You Need」(必要なときに贈り物を)の略で、IBMのワトソンを活用している。

同社はさらに、Amazonのアレクサを通じて注文を受ける実験も進めている。これらはすべて、大規模なワン・トゥ・ワン・マーケティング推進に向けた取り組みだが、人々が自社製品をどのように購入しているかについてリアルタイムにデータを集める方法でもあり、そしてそのデータは販売戦略にフィードバックされうる。企業はただユーザーに語りかけるだけではなく、ユーザーの声に耳をすましてもいるのだ。

「顧客がメッセージングプラットフォーム内で過ごす時間が増えているのは明らかだ。そこで我々も、顧客が向かっていく先で確固たる位置を占めたい」とマッキャン氏は語った。

Grace Caffyn(原文 / 訳:ガリレオ)