「アスレジャー」ブーム、その勢いを示す5つのグラフ:今後は中国などでも人気拡大

米ファッションの新流行「アスレジャー」。そのブームは下火になる気配がない。

アスレジャーとは、スポーツジムやヨガスタジオで着るスポーツウェアを普段着として着用するファッションスタイル。アスレチック(競技)とレジャー(余暇)を掛け合わせた新語だ。

同カテゴリーの市場規模は今年、世界で2700億ドル(約28兆円)規模になると予想されている。また、ドイツ銀行(Deutsche Bank)によると、アスレジャーは成長トレンドにあり、過去6年間の小売増加率は4.1%だったという(同じ期間、スポーツウェア以外の衣料は0.2%しか伸びなかった)。

ジム以外でスポーツウェアを着るトレンドは、いまやどこででも見かける。ブームは廃れかけているとけなす者もいる一方で、このブームに乗ろうとする小売業者が増えている。

「スポーツ市場は、飽和状態からはほど遠い。それどころか、消費者のライフスタイルが根本的に変わったおかげで、大きく当てるのに理想的な位置につけている」と、小売分野のデータ分析プラットフォームを運営するエディティッド(EDITED)のシニアリテールアナリスト、ケイティ・スミス氏は指摘する。

エディティッドが最近、英国と米国でスポーツウェアを販売している小売業者2600社のデータを分析したところ、売上が22%増加していただけでなく、完売のケースも27%増えていた。本記事では、アスレジャー市場について知っておくべき数字を取り上げる。

非スポーツ系小売業者の参入

ジムウェアの需要を高めたのは、従来、スポーツウェアを手がけていなかったブランドだ。

非スポーツ系の小売業者がアスレジャー分野に進出したもっとも有名な例は、「アイビーパーク(Ivy Park)」だろう。これは、ビヨンセと英ファッションブランド「トップショップ(Topshop)」がコラボして立ち上げた、モノトーン中心のワークアウト用ウェアだ。4月のローンチ時には、アクセスが殺到してサイトがダウンした

 

非スポーツ系の小売業者によるスポーツウェア在庫点数の増加

 

高級になると100ドル(約1万円)以上のレギンスがある一方で、低価格帯の商品も消費者のあいだで広まっている。こうした状況が、価格を押し下げる力になってきたという見方もある。

「非スポーツ系の小売業者は、そうした巨大なチャンスを利用しはじめたばかりだ」と、スミス氏は語る。「小売業者が最大の利益を得るには、エクササイズの最新トレンドと生地の技術の進歩を熟知しておくことが必要になるだろう」。

だが、依然として大手が優勢

アイビーパークは現在、オンラインの在庫点数が8番目に多いブランドだが、ますます飽和していくこの市場で優勢なのは、依然として従来のスポーツブランドだ。エディティッドが収集した過去3カ月間のデータによると、オンラインの在庫点数が多い5大人気ブランドは、引き続きアンダーアーマー(Under Armour)、ナイキ(Nike)、アディダス(Adidas)、アディダスパフォーマンス(Adidas Performance)、アシックス(Asics)となっている。

下の図は、前年の同期間以降に5大ブランドがどれだけ普及したかを示している。留意すべきは、アディダスパフォーマンスの減少を、非スポーツ系の一般商品を提供するアディダスが埋め合わせている点だ。

 

スポーツウェアブランド上位5社の在庫点数の増加率(2015~2016年)

 

「消費者が求めているのは、技術を駆使し、高機能で、目的にぴったり合った性能のウェアだ」と、スミス氏は語る。

事実、市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)のデータによると、2012年以降、市場のリーダーは変化していない。業界最大手のナイキは2012年以降にシェアを伸ばし、5大ブランドすべてがより小規模のブランドからシェアを奪っている。

 

英国のスポーツウェア市場のシェア

 

すべてはインスタグラム次第

ファッションブランドは、インスタグラムを第2のホームページと考えるようになってきている。アスレジャーについても、それは同じだ。

 

総インタラクション数に占めるプラットフォーム別シェア(アクティブウェア)

 

小売分析会社L2が2016年1~4月に集めたデータを見ると、この分野でブランドと消費者のあいだで行われたインタラクションに占める割合がもっとも大きいのは、インスタグラムであることがわかる(英国では93%、米国では94%)。

両市場でのインタラクションに占める割合は、Facebookが数%にとどまり、Twitterは1%しかない。L2によると、アスレジャーのブランド各社は、コンテンツをローカライズする取り組みについても、YouTubeよりもインスタグラムの活用を増やしているという。

今後は西側以外に成長が拡大

アスレジャー市場が西側で飽和点に達している一方、中国のように、中流階級の好みが高級品からライフスタイルに移行しつつある市場には、まだ大きな可能性がある。

中国のスポーツウェア市場で首位(小売総額の21%)を占めるナイキは、2020年までに中国で3000店舗をオープンする計画だ。中国のオンラインショッピング大手アリババ(Alibaba)に在庫を置く「ルルレモン(Lululemon)」は、香港にある店舗の売上高が今年800万ドル(約8億4000万円)に達する見込みだと述べている。

 

中国のスポーツウェア市場の成長予測

 

ユーロモニターによると、中国のスポーツウェア市場は、2015年に253億ドル(約2兆6400億円)にまで成長し、予想では毎年2桁の成長を遂げて2020年までに431億ドル(約4兆5000億円)に達するという。対照的に、高級品市場は、同期間に284億ドル(約2兆9700億円)にとどまると予測されている。

Grace Caffyn(原文 / 訳:ガリレオ)