スナチャのアジア版、「スノー」とは何か?:8000万DLの急成長「自撮り」アプリ

カメラフィルター機能が売りのホットなアプリがある。これを使えば、自分の顔をコアラや目玉焼き、あるいはミニーマウスにもできるのだ。また、すぐに消滅する短いメッセージを送信したり、日々の出来事を撮影した短い動画をメッセージに追加したりすることもできる。

これはSnapchat(スナップチャット)の話ではない。韓国版Snapchatといえるスノー(SNOW)の話だ。スノーは、アジアのジェネレーションZ世代の間で極めて高い人気を誇る。とくに、Snapchatが禁止されている中国での人気は絶大だ。

スノーは、リリースからわずか1年あまりしか経っていない10月はじめの段階で、ダウンロード数が8000万件を超えたと広報担当者は語っている。一方のSnapchatは、ローンチから1年後のユーザー数は、およそ1000万人だった。

スノーは、ユーザーやマーケターの関心を集めているだけでなく、多額の投資を呼び込んでいる。同じくネイバー(Naver)を親会社とするメッセージアプリのLINEがこの9月、スノーに500億ウォン(約45億円)を投資したのだ。

この記事では、スノーについて知っておくべきことを紹介しよう。

スノーはアジア版のSnapchat?

基本的にはそうだ。Snapchatと同じように、ストーリーをシェアしたり、友達とチャットしたりできるほか、たくさんの奇抜なフィルターが用意されている。犬の顔など、一部の基本的なフィルターはどちらもよく似ている。また、Snapchatと同じく、顔を取り替えられる機能もある。実際、Snapchatのように複数の投稿から「ストーリー」を作ることもできる。

各アプリにおけるローンチ後1年のユーザー数

だが、多少の違いもある。スノーではストーリーが48時間保存され(Snapchatは24時間)、メッセージは最大24時間保存される(Snapchatではすぐに消える)。また、Snapchatと違い、ユーザーが自撮り写真を簡単にクロスポストできるほか、300種類以上のスタンプやフィルターを選べる。これに対し、Snapchatのフィルターはごくわずかしかない。

Snapchatの犬のフィルター

誰が使っている?

このアプリは、2015年にリリースされて以来、アジア太平洋地域で人気を高めている。ドイツ銀行(Deutsche Bank)の調べによると、日本のユーザーの半分、そして韓国のユーザーの3分の1以上が10代の若者だとウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)は報じている。また、ワイズアップ(WISEAPP)によると、韓国におけるスノーの月間アクティブユーザー数は、この半年間で、約120万人から4倍の510万に増加した。中国での人気も非常に高いが、これはSnapchatが禁止されていることが主な要因と見られる。

スノーの人気が高い理由は、「フィルターやアニメに夢中な自撮り好きの人たちをうまく活用」し、アジアで非常に大きな文化的現象を巻き起こしているからだと指摘するのは、エージェンシーのレイザーフィッシュ(Razorfish)香港支社でシニアバイスプレジデントを務めるジョニー・スターク氏だ。

スノーは、自撮り画像や犬の耳のフィルターを提供するだけでなく、地域の文化にも敬意を払う。韓国のお酒ソジュの瓶や、韓国人が大好きな鶏の唐揚げなど、さまざまなスタンプを用意しているのだ。同様に日本でも、相撲の力士や寿司のフィルターを提供している。

スノーの犬のフィルター

ブランドとの取り組みは?

バーガーキング(Burger King)とネスカフェ(Nescafe)がスノーと提携し、このアプリの独自スタンプを世界で提供している。エージェンシーのジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)は8月、韓国限定のキャンペーンでナイキ(Nike)のスタンプを発表。また、K-POP男性アイドルグループのB1A4は、ユーザーが自撮り写真に利用できる7枚のGIF画像を公開している。

「このアプリはクリエイティブなフィルターや機能をたくさん提供しているため、ブランドは、膨大な数の人たちに簡単にリーチし、彼らと気軽にコミュニケーションすることができる」と、JWTと提携している韓国エージェンシーのポストビジュアル(POSTVISUAL)のプランナー、ブイ・キム氏は述べる。

実際、ナイキの狙いは、このアプリで使える専用のスタンプを発表し、8月の「#UnlimitedKorea」キャンペーンを盛り上げることにあった。このキャンペーンは、ユーザーが17日間のトレーニングに参加し、その様子をソーシャルメディアにシェアするというものだった。ナイキはこのプラットフォームで使える専用のナイキスタンプをユーザーに提供することで、このトレーニングをより楽しいものにしようと考えたのだ。

「狙いは、ソーシャルメディアでの認知度を高め、キャンペーンに参加するユーザーを増やすことにあった」とキム氏はいう。詳しいデータは明らかにしなかったものの、ナイキはその成果に満足していた、と彼女は語った。

ほかの広告主もこのアプリに関心を寄せているが、実際に取り組みを進めたところはまだない。米国の外食チェーン、チポトレ・メキシカン・グリル(Chipotle Mexican Grill)でデジタルマーケティング担当ディレクターを務めるジャクソン・ジェヤナヤガム氏は、スノーを自らテストしているところだと話す。

「人々は新しいものを好む。このアプリは、すでに知名度があるものに、新しさをもたらすひとつの手段だ」と、彼はいう。「このアプリの米国市場への浸透の仕方によっては、ここ(米国)で活用できる可能性はあると私は感じている。だが、いまの時点では、我々にとって役立つものではない。我々はアジアに大きな足場を築いていないからだ」。

勢いはいつまで続く?

スノーの勢いは拡大を続けており、彼らがアジアにフォーカスしていることは賢明だといえるだろう。したがって、ピーチ(Peach)やヨー(Yo)のようにすぐに消えてしまうことはなさそうだ。だが、リーチと規模を拡大するためには、オーディエンスをつなぎ止めることが重要になる。それにはLINEとの関係が役立つかもしれない。

スノーは、LINEとの緊密な関係からメリットを得られる可能性がある。LINEは、ゲーム、スタンプを活用したマーケティング、商品の販売など、さまざまな取り組みから収益を上げている。スノーが自撮り用のフィルターで同じような取り組みができれば、利益を上げるチャンスを手にできるかもしれない。

それまでは、誰もがスノーの可能性を確信できるわけではない。

「(スノーの)活用に関して何かを述べるのは時期尚早だが、『注目株』であることは間違いない。ただし、アジアには非常に多くのアプリがひしめいているのが現状だ」と、レイザーフィッシュのスターク氏は語った。

Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)