インスタ表示改変から半年、胸襟を開くマーケターたち:タイムラインで「愛」に出会う

昨年、インスタグラムのタイムラインが時系列表示を廃止すると、インターネットには嘆きの声が溢れた。ユーザーは不満たらたら。マーケターは懸念を表明。そして、オンライン署名サイトのchange.orgでは、時系列表示の復活を求める34万2000人の署名が集まった。しかし、あれから半年、その実態は、そこまでヒドいのか?

問題視しないマーケター

2016年初夏、ユーザーのタイムラインはアルゴリズム方式になり、インスタグラムによって「あなたがもっとも興味をもつ」と判断された投稿が優先表示されるようになった。つまり、タイムラインの表示順は、インスタグラムの親会社であるFacebook同様、非公開の手法によって、個々のユーザーの興味の度合いが判別され、その順番に並べられるランキング形式となったのだ。

利用者の最大の懸念事項は、ブランド各社が自身の「ショーウィンドウ」として投資してきた、いまや珍獣同然のオーガニックリーチが消滅してしまうのでは、ということだろう。また、ソーシャルメディアマーケティング企業のソーシャルベイカーズ(Socialbakers)の発表によると、インスタグラムのフォロー数がもっとも多いブランド10社(バーバリーやベントレーなど)は、フォロワー数成長率が6%下落したが、マーケターはそれほど問題視していなかったという。

「いまだにユーザーの受けは良くないようだ」と語るのは、16万5000人のインスタグラムフォロワーを擁する化粧品小売店、Feelunique.comでソーシャルメディアマネジャーを務めるミーガン・ガン氏。「しかし、私たちはより忠実なファン層に出会っている。彼らは投稿を見るために、私たちにエンゲージしてくれているので、コンテンツ制作に力が入る」。

いまやオーガニックリーチは難しく、同プラットフォームではスケールを競うよりも、クオリティのための闘いが増えており、それゆえのエンゲージメントなのだ。ガン氏のチームは、ユーザーへのレスポンスとしてアルゴリズム適用前より商品にフォーカスしたライフスタイルコンテンツに重きを置いている。たとえば、ファッションショーでのモデルの顔より、アイメークのクローズアップを選ぶというように。

「これは適切なこと」

ファッションブランドのプライマーク(Primark)でデジタルコミュニケーション部門を率いるオリー・リジスコ氏は、「2010年にローンチして以来、インスタグラムのタイムラインがこれほど変貌したのは、この1年がはじめてだ」と話した。「例のアルゴリズムがオーガニックフィードに変化をもたらし、大きな一歩となった。これは間違いなく適切なことだ」。

同社はインスタグラムでフォロワー数390万人を擁するファッション小売店で、経費をかけずにオーガニックでオーディエンスを構築してきたブランドのひとつだ。成長率は下がっておらず、リジスコ氏はインスタグラムの変化については前向きに捉えている。これによりインスタグラム独自のセールスポイントとなるキュレーション美学が維持されるからだ。加えて、エンゲージメントを創出できるブランドは恩恵を受けられる。

「すべてのクリエイター、ブランド、そしてユーザーは、ここに確実に上質なコンテンツを投稿することで、切り込んでいかなければならない」と、彼は語る。

新しい玩具

タイムラインが丁寧で、管理強化された体験になっているなかで、インスタグラムは手軽にリアルタイムなコンテンツを提供できる新たな機会として、ブランドのためにストーリー機能を拡充。いまは、その反応を探っているところだ。

「ストーリーを使うことで、よりディープなメッセージを表示でき、クリエイターはかつてないほどシェアし、またウェブサイトやブログにリンクしてもらうことで有意義なエンゲージメントを向上させることが可能だ」と、プライマークのリジスコ氏は話した。

そしていま、同プラットフォームはFacebook広告マネジャーの力を借りながら、自身の広告フォーマットを構築している。有料メディアに多額の予算を投じるブランドも参入できる。Facebookなどのプラットフォーム他社では典型的な手法だ。

広告企業のオグルヴィ・アンド・メイザー(Ogilvy & Mather Advertising)でイノベーション・プランニングパートナーを務めるジェームズ・ワトリー(James Whatley)氏によると、オーガニックコンテンツのハードルは上がったが、だからと言って有料広告が良くなったわけではないという。

いわく、「創作物がひいき目に見ても継ぎはぎになっているなかで、いまこのチャンネルに限ってはブランドが有料サポートに目を向けている。これは良いことだ」。

Grace Caffyn(原文 / 訳:Conyac