モバイルアクセスの「収益還元化」に腐心する小売業者たち 〜NRFビッグショーで目立った先端事例

小売業者のデジタル部門担当者にとって、モバイルは最大の関心事であるはずだ。しかし、そこからいかに収益へ結びつけるかという基本的な課題については、いまなお苦戦中だろう。

全般的にモバイルのアクセスが急上昇中だ。全米小売協会(NRF)の調査によると、全体的なデジタルトラフィックの半数以上になっているという。しかし、それが購入につながっているかというと、そうではない。デジタルセールスにおいて、モバイルの利益は平均で全体の30%ほどだと、NRFは推計している。

2016年1月の第4週に開催されたNRFビッグショーで、米DIGIDAYは、カスタマーのショッピング体験の改善や、購入に結びつけるための施策について、小売業関係者の声を取材した。

モバイルファーストを体現する


小売業者がモバイル体験をより効果的するには、ユーザー体験が完璧でなければならない。つまり、反応の良いモバイルWebページや、専用モバイルアプリなどを構築し、その後にPCやタブレット向けのユーザー体験を再構築していくことだ。

「我々はモバイルから改善をはじめ、それをデスクトップに反映させていこうとしている。小さなところからスタートするのがカギだ」と、カジュアル用品メーカーのティンバーランド(Timberland)コンシューマー担当バイスプレジデントのケイト・キブラー氏。「簡単かつシームレスな体験であり、いかなる障害も除去することが、モバイルのコンバージョンにつながっていく」。

バーチャルアシスタントも活用

2015年1月17日、アウトドア用品を制作・販売しているザ・ノース・フェイス(The North Face)は、IBMのワトソンを使用しているデジタルソフトウェアプロバイダーのフルイド(Fluid)のイベントに参加し、人工知能検索ツールの活用法について話した。

ザ・ノース・フェイスのeコマース担当ディレクターのキャル・ボウチャード氏は、次なるステップとして、商品等の検索プロセスをガイドしてくれる、AppleのSiriに似たパーソナルショッピングアシスタントをモバイル上に構築したいと考えている。

「モバイルファーストのメンタリティとともに、カスタマー体験を構築していくことが最終目標だ」とボウチャード氏。「技術の開発はモバイルからPCへと繋がり、現在はスマートな検索技術の開発に取り組んでいるところだ」。

リアルと融合するモバイル体験


小売業者たちは、店舗でショッピングをするカスタマーは必ずスマートフォンを携帯していることに着目している。モバイルはもっともパーソナルなデバイスとなっており、ユーザーと密接に結びついているのだ。そこで、デパートチェーンのコーズ(Kohl’s)は、自社アプリを個々のアプリユーザーが入店した店舗の商品在庫を示す、カタログへとアップデートさせた。

「モバイルは店舗での体験を向上させてくれる主要な手段であると、我々は考えている」と、コーズのデジタルテクノロジー担当エグゼクティブバイスプレジデント、ラトネイカー・ラブー氏はコメントした。「それによって、カスタマーを優先させることが可能となり、入店時にカスタマーのシームレスな体験を保証することができる」。

アプリで完結するだけでは不十分


Apple storeでアプリをインストールしてもらい、自社サイトに来てもらうだけでは不十分なことに、小売業者は気づいている。ブランドバックを制作・販売しているレベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)の共同創業者兼CEOのウリ・ミンコフ氏は、モバイルのトラフィックと売上が成長し続けているので、同社はモバイルを利用したほかのチャンネルの開発について考慮中だと話している。

「急速に発達するテクノロジーが、カスタマーの間で何がもっとも重要なのかを理解させてくれることに、我々は気づいた」とミンコフ氏。「我々のカスタマーはダイレクトメールをモバイルで読んでいる。次に望んでいるのは、カタログの読者を、モバイルカスタマーへと導いていくことだ」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:南如水)
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