アディダスオリジナルス、ソーシャルの影響力で本家超え:コラボ展開で重層的なファンを育成

スポーツ用品メーカーのアディダス(adidas)が展開する、ライフスタイル関連ブランド「アディダスオリジナルス(adidas Originals)」は、大勢のデザイナーや著名人とのコラボレーションをベースに、ソーシャルメディア上で多くのフォロワーを集めている。アディダスオリジナルス担当ゼネラルマネージャーのアーサー・ホールド氏によると、こうしたコラボの歴史は1980年代にさかのぼるという。

「当ブランドのコラボレーションを振り返ると、初期の頃で思い出すのが、ヒップホップグループのRun-D.M.C.(ラン・ディーエムシー)だ」と、ホールド氏は話す。「あのコラボは実際、我々アディダスにとって、パートナーシップの新たな手法のはじまりを示すものだった。アディダスは、競技場からストリートへという大きな変化に対応しようとしていた」。

Run-D.M.C.は、シングル「マイアディダス(My Adidas)」をリリースしたのに続いて、アディダスと100万ドルのCM契約を結び、爪先が貝殻のような形のシェルトゥスニーカー「スーパースター(Superstar)」の限定エディションでコラボした。Run-D.M.C.が先陣を切って、アディダスとタイアップしたことで、モダンなヒップホップのスニーカー文化が生まれたと評価されることが多い。

アディダスはそれ以降、ファッションデザイナーや、著名人から転身したデザイナーたちとさまざまなコラボレーションを展開。ステラ・マッカートニー、ジェレミー・スコット、ヨウジ・ヤマモト、ラフ・シモンズ、リック・オウエンス、ファレル・ウィリアムス、カニエ・ウェストらと共同でコレクションを手がけた。カニエ・ウェストがアディダスオリジナルスとコラボしたスニーカー「イージーブースト(Yeezy Boost)」は、過去3シーズンにわたって、ニューヨークファッションウィークで披露されている。

オリジナルスの訴求力

こうしたコラボレーションを多く手がけるアディダスオリジナルスは、2000年にスタート。ホールド氏は、ストリートウェアとストリートパフォーマンスのコラボにおけるアディダスの長い歴史が、アスレジャー(アスレチックとレジャーを組み合わせた造語)市場での競争が激化するなか、ブランドの前進を支えてきたと述べる。アディダスの売上高は、2016年第1四半期に22%増加。アディダスオリジナルスも2桁成長を果たして、その勢いの一翼を担った。

ホールド氏は次のように語る。「これらのプロジェクトを束ねる共通の要素は、時代をリードするデザインソリューションを提供し続けようというミッションだ。特に、特別で特徴的で、限定されたものを探している顧客に訴求する場合が多い」。

そうした訴求力が、ソーシャルメディア上での成長の原動力になっている。アディダスオリジナルスは、Twitterとインスタグラムのフォロワー数がともに本家のアディダスを上回った。Twitterでは、アディダスオリジナルスのフォロワー数が330万人であるのに対し、アディダスのフォロワー数は280万人だ。またインスタグラムでは、アディダスオリジナルスのフォロワー数が1240万人であるのに対し、アディダスのフォロワー数は890万人となっている。

カニエ・W とのコラボ結果

「@adidasoriginals」アカウントでは、限定エディションの「スタンスミス(Stan Smith)」や「スーパースター」コレクションといった新しいスニーカーのラインアップのほか、現在ストリートウェアで人気に火がついて再びブームになっているクラシックスニーカー、カニエ・ウェストの「イージーブースト750」などを総合的に紹介している。

It's just made differently. #YEEZYBOOST 750 by Kanye West. June 11.

adidas Originalsさん(@adidasoriginals)が投稿した動画 –

ほかとはまったく違う。カニエ・ウェストの#イージーブースト750。6月11日発売。

2月に開催されたカニエ・ウェストのファッションショー「イージーシーズン3(Yeezy Season 3)」は、ソーシャルメディア上で4番目に話題になったショーだという。これは、ソーシャルメディア分析企業のブランドウォッチ(Brandwatch)が、ショー当日のメンションデータ6000件を調査した結果だ。

ブランドウォッチのアナリスト、ケラン・テリー氏は次のように話す。「この現象は、著名人のステータスと、彼らを追いかけたいファン層の熱意の表れだ。こうしたファッションのコラボレーションは、大いに吟味されて選ばれている。極めて熟慮されていて、それを受けてソーシャルメディアが話題にしている」。

独自の重層的な歴史

テリー氏はまた、ファッションのビジュアル重視のキャンペーンも、ソーシャルメディア上におけるアディダスオリジナルスの人気をあと押ししていると話す。アディダスは、アディダスオリジナルスの新製品を中心としたキャンペーンに多額の投資をしている。最近のファレル・ウィリアムスによる「ピンクビーチ(Pink Beach)」コレクションもそうだ。このキャンペーンは、アディダスが代理店のロイドアンドカンパニー(Lloyd & Co.)と協力して実施したもので、写真家のビビアン・サッセン氏がピンク色の砂の上で撮影を行い、写真や動画はインスタグラム上で公開された。

アディダスのホールド氏は、次のように話す。「我々は長期にわたってスポーツスタイルの可能性を探求し続けており、(それが)ヨウジ・ヤマモト、ラフ・シモンズ、ファレル・ウィリアムス、カニエ・ウェストなど、クリエイティブな先駆者たちとのパートナーシップにつながった。その結果として、我々はいまのような一定の信用を得られたのだ」。

アディダスの事業の約70%は、依然としてスポーツウェア(主にサッカーウェア)に分類され、この分野では世界市場シェア39%を占めている。しかし米国では、国内スポーツウェアのカテゴリーで初めて、ナイキ(NIKE)とアンダーアーマー(Under Armour)に続く、第3位に転落した。

ホールド氏は、次のように話している。「我々は、ストリート、音楽、ライフスタイルの各シーンでも、スポーツと同様の重層的な歴史を持っている。我々のブランドにとってこうした歴史は、スポーツに限られない記憶がたくさん詰まった宝箱なのだ。我々はそこからインスピレーションを受けて可能性を探ることができる」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:ガリレオ)