バーバリーとコーチの合併報道、アナリストらはどう見る?

バーバリー(Burberry)とコーチ(Coach)が合併しても、ブランドパワーの相乗効果はほとんど見込めないだろう。

金融ブログ「ベータビル(Betaville)」によると、コーチはバーバリーを約200億ドル(約2兆円)で合併する方向で協議中だという。バーバリーは以前から売上低迷に苦しんでおり、10月18日に発表した2016会計年度上半期報告では、百貨店などへの卸売りの売上高が、米国市場だけで25%減、全体では14%減少したことを明かしている。同様に、コーチはブランドイメージの維持に苦労しており、この夏に発表した計画では、より高級なイメージを目指して中堅百貨店での販売規模を縮小するとしていた。

この交渉に関して、知っておくべきことは以下のとおりだ。

実現しない可能性が高い

この交渉が実を結べば、バーバリーの市場拡大に役立つ可能性があるが、投資会社スレッドストーン・アドバイザーズ(Threadstone Advisors)のマネージングディレクターを務めるウィリアム・サスマン氏は、最終的にはまとまらないと予想している。その理由として、同氏はブランドイメージの不一致を挙げた。

コーチは、ハンドバッグでもっとも有名な中堅の米国ブランドであり、一方のバーバリーは、歴史に名高い欧州のファッションブランドなので、バーバリーがコーチの傘下で事業を運営するとは予想しがたいというのだ。それに、合併が実現しても、企業文化の違いが不満の温床になる懸念もある。

「コーチによる合併はご都合主義的で、実現しそうにない」と、サスマン氏は予想する。「バーバリーから見ると、コーチがもたらす可能性があるのは、規模、新たな商圏、手頃な価格帯が異なる消費者だ。しかし、最高級のラグジュアリーブランドを保つための取り組みを弱めてしまう。交渉額は手ごろではあるが、実現の可能性は低いと思う」。

コーチの株価は今年に入って下がっている。ただし、これが長期的な業績やブランドへのロイヤルティの低下を示しているとは限らず、まだ自力で復活することは可能だ、とサスマン氏は語る。「重要なのは、株価の低迷とブランド力の低下を区別すること。コーチは依然として強力なブランドであり、力のある企業だ」。

高級品小売は世界中で売上不振

市場で困難に直面している小売業者はバーバリーだけではない。ブルームバーグ(Bloomberg)の調査部門であるブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)によると、世界全体で高級品のシェアが低下し続け、昨年は13%減だったという。ラグジュアリーコングロマリットのモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)は7月、DKNYを展開するダナ・キャラン・インターナショナル(Donna Karan International)をG-IIIアパレル・グループ(G-III Apparel Group)に売却した。これは、数年間に渡る売上低迷を受けた措置で、業界が試練に直面し続けていることを示唆している。

「停滞しているこれら大手2社にとっては余計に、合併は難しい一手だと思う」と、調査会社L2のアナリスト、エリザベス・エルダー氏は語る。「アパレル部門と高級品は近年、テロの増加と選挙をめぐる懸念に大きな打撃を受けてきた。小売全体への悪影響が続いている」。

もちろん、こうした状況に流されているわけではない。たとえばバーバリーは、デジタル主導のさまざまな取り組みを通じて、消費者基盤の拡大に努めている。具体的には、Pinterest(ピンタレスト)のようなソーシャルプラットフォームでの取り組み強化や、Facebookのチャットボットで継続的に情報を発信する実験などだ。

「両ブランドはデジタルでのプレゼンスも大きいが、どういうわけか、消費者はもはや満足していない。これは、すべてのブランドが解決しようとしている問題だ。利益や業績に関わる場合はなおさら、状況は悪くなる」。

妥協点探しには及び腰

エルダー氏によると、この合併はつまるところ、両社のブランドイメージおよび売上の向上を目的とした提携を実現する、土壇場の試みだという。「コーチは、自社ブランドを分離して、再びラグジュアリーブランドになろうと努めている。一方のバーバリーは、広く知られる超ラグジュアリーブランドだったが、下降線を辿っている」と、エルダー氏は指摘する。「だが、(合併は)互いに補完しあうというより、統合の要素のほうが大きい」。

「コーチとバーバリーの合併は、本質的には、問題どうしの合併だ」と、仏投資銀行エクサンBNPパリバ(Exane BNP Paribas)のアナリスト、ルカ・ソルカ氏はブルームバーグにコメントしている。「ラグジュアリーブランドのM&Aの歴史は、合併がブランドの牽引力と魅力を取り戻すのに役立たないことを示している」。

Bethany Biron(原文 / 訳:ガリレオ)

※追記:この合併に関する話は、あくまでウワサです。また、ご指摘を受け、一部表現を訂正いたしました。