Zaraに宣戦布告、「レント・ザ・ランウェイ」の戦う意義:さらに安価な新プランを発表した理由

まもなく創業9年を迎える「レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)」は、より多くの女性が高級デザイナーブランドのドレスやバッグを楽しめるように、新たなレンタルプランを発表した。

レント・ザ・ランウェイが、2016年に開始した「無制限プラン」で会員は、月額139ドル(約1万5000円)で1回に3アイテムまで借りることができた。500以上のデザイナーやブランドからトップス、ボトムス、ドレス、コート、ハンドバッグなどのアイテムを取り揃えており、アイテムを好きに取っ替え引っ替えできる点が人気だ。レンタルする際に返却予定日も選ぶことができる。

今回、レント・ザ・ランウェイはこの「無制限プラン」を変更し、月額159ドル(約1万8000円)で1回にレンタルできるアイテムを4つに増やした。月額プランは増額したが、より手頃に借りられる新プランも用意した。月額89ドル(約1万円)で、ひと月に4アイテムまで借りられるというものだ。

「月額100ドル(約1万2000円)未満でないと手が届かない女性にも、デザイナーファッションを楽しんでもらうには、より低価格の会員プランも必要だった」と、レント・ザ・ランウェイCEOのジェニファー・ハイマン氏は語る。

レント・ザ・ランウェイは、フォーマルウェアのレンタルサービス会社として創業した。結婚式やパーティーなどのイベントに出席する女性に、素敵なドレスを「買う」のではなく、「借りる」という選択肢を提供したのだ。無制限プランでは、フォーマルだけでなく普段着も加わり、会員登録数は前年比125%増で伸びている。同社は具体的な売上は公表してないが、昨年12月時点で、売上は好調で収益は1億ドル(約113億円)超だったという。無制限プランが売上の20%を占める。レント・ザ・ランウェイによると、同社の企業評価額は10億ドル(約1130億円)近くになるという。

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――なぜ今回の新しい低価格プランをはじめたのか?

新たな顧客層にリーチするためには、無制限プランを誰でも利用できるサービスにする必要があった。無制限プランの会員は、月に10点から15点のアイテムを利用している。つまり、月に3分の1から2分の1はレント・ザ・ランウェイでレンタルした服を着ていることになる。価格を下げれば、ファストファッションで満足していた何百万という女性に、これまでは手が届かなかった有名デザイナーの洋服を着てもらえる。「月に1度、Zara(ザラ)で買い物するべきか、あるいはレント・ザ・ランウェイでデザイナー服を選ぶべきか?」。それに対して、明白な答えができるようにしたい。

――よく「クローゼットのクラウド化」という表現をする。数点の洋服しか持たず、あとはローテーションで服を入れ替えする。これが当たり前になるには何が必要か?

まずは、より多くの人にレント・ザ・ランウェイを知ってもらうこと。そのために、はじめてのブランドキャンペーンを実施する。すでに洋服をレンタルするのに慣れている人もいて、時間の問題だと思う。89ドル(約1万円)ではまだアメリカ全域をカバーできないので、数年後にはさらに低価格でサービスを届けられるようにする。我々の誇りのひとつが、顧客の60%が主要都市圏外に居住していること。ニューヨークやロサンゼルスに住むキャリアウーマンだけでなく、すべての人にサービスを提供している。つまり、誰でも利用してもらえるよう、できるだけ多くのブランドやデザイナーのアイテムを揃えなければいけないということだ。

――ブランド各社はAmazonや百貨店といった小売業者に苦戦している。ブランドのパートナーとして、レント・ザ・ランウェイはどのように差別化できるのか?

我々は、顧客がどんなものを着ているのか、どんなものに反応するのかなど、ブランドがデザインを考える工程で重要となる膨大なデータを提供している。より多くのアイテムが頻繁に入れ替わりレンタルされるほど、より多くの情報を得られる。ひとつのアイテムが複数回レンタルされなければ、収益にならないビジネスモデルだからこそ、洋服の製造工程に至るまで有益な情報を届けたい。縫製がほつれてしまったり、仕上がりがよくない場合、それに気づき、ブランド側に伝えることで、より高品質の製品を作ることができる。

また、我々はデザイナーの成功を手助けできると思っている。ただの販売チャネルとしてだけではなく、デザイナーにとってより大きなビジネスチャンスを創出できるように。百貨店の売り上げが減少したことでデザイナーは苦しい立場に置かれている。それだけでなく、Amazonは小売業者にとって大きな脅威だ。我々は、デザイナーブランドにとって新たな顧客とデータを提供する、セールスかつマーケティングチャネルになりたいと考えている。我々は、デザイナーがパートナーを組むほかの小売業者と競合するとはまったく思っていない。

――ファストファッションとは競合している

デザイナーは世界中のファッションを楽しむ女性にとってクリエイターだ。しかし、今日の問題は、そういったデザイナーがほとんど儲かっていないことだ。小売業者は彼らに大きな負担を強いて、収益をマージンを搾り取っている。だが、さらに問題なのは、Zara、H&M、フォエバー21(Forever21)などのファストファッションやプライベートレーベルが、デザイナーのデザインを真似し、短期間で量産化して、デザイナーではあり得ない低価格で数千万という女性に商品を販売していることだ。だからこそ、我々は会員料金を下げ続けて、それをデザイナー商品で実現していく。

――会員料金を下げることで、デザイナーへの報酬はどうなるか? ファストファッションに負けないために、デザイナーには何ができるか?

レント・ザ・ランウェイではすべての商品を購入しているため、デザイナーの報酬が下がることはない。むしろ月額料金を下げることでより会員が増えれば、もっと多くの在庫を用意しておかないといけなくなる。そうなれば、より多くの商品をデザイナーから仕入れることになり、デザイナーの報酬は増えることになる。顧客のニーズに応えるためにも、我々は常にできるだけ新しいアイテムを揃えておかなければならない。

我々もファッション業界のなかにおり、この業界のサプライチェーンは変革しなければならない。これはレント・ザ・ランウェイに限ったことではなく、特に危機的な立場に置かれているデザイナーやリテール業者のためだ。誰もがファストファッションやAmazonの脅威を感じている。ファストファッションでは、デザインをアイデアから実際の商品にするまでわずか2週間でやってのけるが、デザイナーなら半年かかる。非常に厳しい世界だ。だがデザイナーが、顧客が何を望んでいて、何に反応するのか知ることができれば、よりいい製品を作り、この状況を改善していくことができる。それこそが、レント・ザ・ランウェイが提供できるものだ。

Hilary Milnes(原文 / 訳:Conyac