日産、英国の中古車販売で「クリックスルー率」離れ

日産にとって、クリックの重要性は限られたものだ。ユーザーが、ある広告からサイトへと目的を持ってやってきたのか、それとも偶然やってきたのかが、クリックでは区別できないのだ。しかしクリック数は、ごく最近まで、英国における中古車のターゲット広告を日産が正当化するための主要な方法だった。

日産は、オンラインの閲覧者をオフラインの見込み客に変える方法を模索している。以前は、クリックスルー率(CTR)、クリック単価(CPC)、リード単価(CPL)などの標準的な指標に力を入れていたが、こうした方法ではプログラマティックの効果追跡が難しかった。現在は成功の測定に、ユーザーエンゲージメントの指標を使っている。具体的には、サイトの滞在時間、視聴数、訪問がアクションにつながったかどうかなどだ。

こうした変更は、いまのところ中古車事業に限ったものだが、2017年を通じたテストが行われている。日産は2017年に入り、プログラマティックを専門とするVeと契約を結び、コンテクスチュアルターゲティング、ルックアライクモデリング、ダイナミックリターゲティング、プライベートマーケットプレイスなどを組み合わせることで、Veの保証プログラム「Cared4」にトラフィックを集めることにした。広告の表示とユーザーエンゲージメントの相関関係をモニターすることで、購入までの道程におけるそれぞれの位置と、探しているモデルに基づいたさまざまな広告をユーザーに配信した。

見込み客をターゲティング

英国日産で国内の中古車リマーケティングマネージャーを務めるジャイルズ・レイナー氏は、当初は、ユーザーエンゲージメントあたりの費用は「かなり高い」ものだったと語る。しかし、10月を通して実施したキャンペーンでは、ユーザーエンゲージメントあたりの費用が78%改善し、全体のCPLが前年比で81%よくなった。

このテストでは、インパクトの大きいクリエイティブが使われている広告は、オンサイトのエンゲージメントが最低レベルであることがわかった。これは、クリックのかなりの割合が意図的ではなかったことを示唆している。クリックが生まれても、サイトにやってきて直帰する人ばかりであれば、そのクリックは「的外れ」だ、とレイナー氏は述べる。同じ変更を新車販売事業で実施することは難しい可能性がある、と同氏は示唆した。新車販売事業では、マーケターによる新しい戦略や技術のテスト方法に関して、より「保守的な」アプローチが採用されているからだ。

日産は、リターゲティングに関してルックアライクモデリングへの信頼を高めており、来年は次の大きなテストを行うことにしている。日産では、フランチャイズ・ディーラーではない販売に由来するビジネスが増えているが、この場合、そうしたドライバーたちに関する情報が日産にはほとんどなく(メールアドレスさえない)、日産から連絡ができない。しかし、Cared4のサイトを訪問する各ユーザーについては、クリックスルーしたページや関係した広告の種類など、最大200のデータポイントを分析することで既存顧客の行動を割り出し、これを使ってネット上で同じ特徴を示している見込み客をターゲティングできるようにしている。

独自データに基づく入札

なお、AppleのSafariに導入されたトラッキング防止機能「Intelligent Tracking Prevention(ITP)」について日産は、リターゲティングの計画に影響するかもしれないと語った。これは、サイト訪問から24時間を超えてサードパーティがユーザーを追跡するのを防ぎ、ユーザーのプライバシーを保護しようというものだ。

日産が10月に行った最近の中古車キャンペーンのインプレッションは、45~65%がAppleデバイス上だった。Appleによる今回の方針変更により、日産はリターゲティング広告をSafari以外のブラウザに集めなければならないが、これまでに取り組みの約80%を新規オーディエンスへのリーチに集中させていることから、影響は最小限になると日産は見ている。

日産は、新しいオーディエンスへのリーチに、世界中で10億台のデバイスを追跡して集められているVeのインテントデータを使うことにしている。Veではこの10億台をもとに、1600を超える製品カテゴリーについて、もっとも購入しそうな人々のセグメントを構築している。つまり日産は、Veにしかない独自データに基づいて入札を行うので、同じユーザーを巡ってほかの広告主と張り合うことにはならない。日産は自動車業界ではVeの最大のクライアントなので、ほかのところではアクセスできないようなサードパーティのデータセグメントに対して入札を行うことができる。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)