FCバイエルンは、なぜニューヨークを重視するのか?:ドイツの巨人のデジタル戦略

ドイツのサッカーチーム、バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)は3年前、地元バイエルンのファンと世界中のファン層とのギャップを埋めようと、ニューヨークオフィスを開設した。ニールセンスポーツ(Nielsen Sports)によると、チームがスポンサーにもたらす価値の20%はソーシャルメディアへの露出によるもので、米国内でのフォローを強化することで、スポンサーや売上の増加につながると考えてのことだろうという。

バイエルン・ミュンヘンは、ニューヨークオフィスを開設して以来、デジタル収益は増えていると考えている。ニューヨークオフィスは米国のみのFacebookとTwitterチャネルにフィードをしていて、クラブのインスタグラムやSnapchatの世界向けアカウントにも貢献している。

クラブの米国内のTwitterフォロワー数は前のシーズンから倍増、2016~17年のシーズンに11万人に達して、2017年初頭以来、月に2000万インプレッションを稼ぎ出している。バイエルン・ミュンヘンのアメリカ地域担当プレジデントを務めるルドルフ・ビダル氏は、チームのデジタル戦略について、以下のように説明する。

オフラインでは、米国とカナダにあるチームの公式ファンクラブの数は、2014年の4つから2017年には126に増え、北米にある欧州チームの公式ファンクラブとしては最大のネットワークを形成している。ファンクラブのメンバーはバイエルン・ミュンヘンのためのインフルエンサーでもあり、米国版のFacebookやTwitterアカウントで毎週コンテンツを生成している。

ソーシャルコンテンツ戦略

ロイヤリティーを確立するために、バイエルン・ミュンヘンは、ほかの消費者ブランドがやっているような方法でリアルタイムマーケティングにも取り組んでいる。米国チャンネルからのアウトプットは、英国やスペイン、ドイツのチャンネルからのアウトプットより多いというのがその理由のひとつだ。8月21日(米国時間)にあった皆既日食のような出来事にもチームとして反応し、ファンの問いかけにどこよりも早く答えている。

ニューヨークオフィスはさらに、この夏に「レアル・マドリード」から移籍してきたハメス・ロドリゲス選手のソーシャルメディアでの人気にもあやかるつもりでいる。ロドリゲス選手が契約書にサインをした翌日には、すべてのソーシャルメディアチャンネルを通じて、アクセスが6倍に増加した。

ニューヨークオフィスではこのほかにも、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドがチームアカウントで行っているように、投稿にスポーツ選手ではないパーソナリティーを加えたり、ソーシャルメディアでユーモアを活かしたりすることで、バイエルン・ミュンヘンの評価を高める方法を探している。たとえば今年はじめ、バイエルン・ミュンヘンの選手2人が人気のダブダンスをしようとしたことについて、マンチェスター・ユナイテッドのファンのひとりがバイエルン・ミュンヘンを攻撃するツイートをしたとき、バイエルン・ミュンヘンのニューヨークオフィスは、まったく同じことをしようとしているマンチェスター・ユナイテッドの選手のおもしろ写真でこれに応えた。

ニューヨーク発信の利点

だが、ユーモアは商業的野心をかき立てるだけだということを、バイエルン・ミュンヘンは知っている。スポーツ界では巨人かもしれないが、欧州以外の地域を見ると、そのリーチはレアル・マドリードやバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドに遠く及ばない。スペインのチームはどちらも、今年に入ってFacebookのファンが1億人を突破しているし、マンチェスター・ユナイテッドは2月にMUTVチャンネルを165カ国に配信するアプリを公開した。米国、特にニューヨークは、商売に関しては世界一抜け目のないスポーツブランドとこの都市との緊密な関係を考えれば、バイエルン・ミュンヘンの人気を高めてくれる街かもしれない。

「ニューヨークはスポーツメディア産業の発信地であり、スポーツとメディア、そしてテクノロジーがひとつに融合する傾向が強まるにつれ、この街の重要性は特に増していく」と、ビダル氏は言う。「さまざまなプロスポーツリーグやチームと直接、リアルタイムでやり取りすることからたくさんのことを吸収できるし、バイエルン・ミュンヘンに戻せることもたくさんある。同時に、それを上手く活用して、米国でバイエルン・ミュンヘンというブランドを確立していきたい」。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)
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