「ミレニアルという考え方は すでに過去のもの」:カプセルホテル「ヨーテル」のマーケ術

数多くのブランドがミレニアル世代をターゲットにしてさまざまな結果を出すなか、世界でも群を抜いて急成長中のホテルチェーン「ヨーテル(Yotel)」はミレニアルと距離をおくことにした。

ヨーテルは海外で回転ずしチェーンを展開するヨー!スーシの創業者、サイモン・ウッドロフ氏とジェラード・グリーン氏が2008年に設立。同社は日常的にインターネットを利用する「デジタルナチュラル」と呼ばれる層に向け、かつてないカプセルホテルを作った。当初は若者の利用が多かったが、Googleアナリティクスや顧客調査によると、ヨーテルの顧客プロファイル(ハイテクに強い、個人利用者)に特定の年代への偏りは見られなかったという。

ミレニアルという考え方は古い

「我々は年代にこだわるのをやめた。従来のデモグラフィックス(顧客データ分析)はもう役に立たない」と話すのは、ヨーテルのデジタル・IT部門のディレクター、ファーガス・ボイド氏。リサーチ会社のフォレスター(Forrester)が主催するデジタルトランスフォーメーションフォーラム(Digital Transformation Forum)での講演に先駆けて、米DIGIDAYに語ってくれた。「当社では、ミレニアルという考え方は、すでに過去のものと認識している」。

マンハッタンやロンドンの空港、そしてアムステルダムやパリなどに5店舗を展開している同ホテルチェーン。カプセルホテルというと、ビジネスマンがカプセルで積み上げられているイメージをしてしまうが、同社が今後建設予定の45店舗は、空港において1時間単位で利用する客ではなく、都市滞在型の観光客をターゲットにしているという。

そこでヨーテルは、シームレスな体験で、デジタル愛好者を呼び込むべく尽力している。同社の予約サイトは、2015年ニーズに応えるかたちでリニューアル。モバイルやタブレットユーザー向けに最適化された。3クリックで手続き完了するシステムは、ローンチ後にコンバージョンが倍増。ホテルに到着した利用客は、ロビーで自動チェックイン機を利用することができ、およそ94%がこれを使用する。「彼らは、そこが無人だからと言って敬遠したりしない。彼らにとっては自然な行為だ」と、ボイド氏は語った。

デジタル化を基本戦略に

こういった思想は同社のコンシェルジュサービス「シャギィ(Shaggy)」にも及んでいる。「シャギィ」とは昨年ローンチされた単独アプリだ。施設内には高速ブロードバンドも完備していることから、ボイド氏によると利用客の3分の1、つまり1日100人が「シャギィ」をダウンロードしているという。

ボイド氏はヨーテルに携わる以前はヴァージン・アトランティック航空に勤務しており、「ホテル産業の大部分は、顧客満足体験において航空会社より一世代遅れている」と話す。独自のアプリに資金投入しているのは、ヒルトンやアコーホテルなどの大手のみで、エアビーアンドビー(Airbnb)のような新規参入企業にその座を脅かされている

「私たちはデジタル化を、物理的な製品とオンライン旅行という主要なカスタマー・バリュー・プロポジション(顧客視点の基本戦略)の一部に組み込む」。

ハイテクサービスに邁進

また、ヨーテルの社内デザインチームが開発した製品は、心地よい体験を提供するという目的のもとに設計されている一方、同社のもつソーシャルチャンネルにもさまざまなトピックを提供している。

ニューヨーク店でゲストの荷物を運ぶロボット、「ヨボット」が同社のYouTubeアカウントで主役を飾り、スマートベッドはTwitterに登場している。ソーシャルコンテンツのほとんどがヨーテルの自社チームが制作しているが、手間のかかる動画などのプロジェクトは代理店に外注している。

同ブランドでは、このようなセルフィー向きの体験を共有してくれた人に、コーヒーなどの無料提供サービスを実施する。今後、新製品として接客ロボットやBluetooth(ブルートゥース)のルームキーなどが出るかもしれない。後者は、次に建設予定の新店舗、ハイテクに精通し、常時インターネットを利用する老若男女が集う、シンガポール店に実装される予定だ。

Grace Caffyn(原文 / 訳:Conyac
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