米マック、新アプリ投入で 今度のデジタル施策に布石:「マックリブファインダー」の意味

米マクドナルド(McDonald’s)が毎年、期間限定で販売している「マックリブ(McRib)」は、ほんの数週間しか販売されない。そのため、大勢のファンが、どこの店舗でそれを扱っているか、何個残っているのかを知ろうと躍起になっている。ネット上には、ファンが開発したマックリブ情報サイトも数年前から登場しているほどだ。

米マクドナルド社は2016年、iOS 10向け最新iMessageアプリ「マックリブファインダー(McRib Finder)」をリリース。「マックリブ」争奪戦において、はじめて自ら、その先陣に立とうとしている。マックリブファインダーは郵便番号入力が不要で、デバイスの位置情報を用い、いちばん近くのマックリブ販売店を示すアプリ。その情報を友だちと共有することも可能だ。また、ステッカー付きのマックリブキーボードも付属している。

ちなみに、今年マックリブを販売するのは、米国内に存在する店舗の半分だけ。2014年には75%の店舗で発売されたことを考えると、よりレアな商品となっている。

「クイックウィン」というステップ

モバイルデバイスによる注文サービスの導入を、来年に控える米マクドナルド。同社ソーシャルエンゲージメント担当ディレクターのポール・マットソン氏は、現在「消費者の購買プロセスにおける全段階の刷新」に取り組んでいるという。それには、彼が「クイックウィン(即時的な成功)」と呼ぶ、より短期的なデジタルプロジェクトが、大きな成果へつながる重要なステップとなっている。

同社はマックリブファインダーから得られる情報を活用して、ほかの商品、たとえば「シャムロックシェイク(Shamrock Shake)」をはじめとする期間限定商品の情報提供も計画。「どういった顧客がマクドナルドの商品を購入しているかを把握するだけでなく、顧客体験をもっと便利なものにしたい」とマットソン氏は語る。

米マクドナルドの社内データによると、米国の同社顧客の約80%が、週に1度、どこかの店舗で食事しているという。しかし、大半が現金販売のため、顧客に関するデータを集めることは困難だ。

「デジタル投資」で競合に対応

今回のプロジェクトは、2015年3月、スティーブ・イースターブルック氏の最高経営責任者(CEO)就任とともにはじまった、米マクドナルドがデジタルに移行する動きの一環だ。それ以来、同社は、もっと健康的なファストカジュアルフードを支持する若い顧客層の「ビッグマック(Big Mac)」離れが進むなかで、ためらうことなく方向転換を求めてきた。

また昨年、米マクドナルドは、テキサス州オースティンで毎年開催される音楽と映画とインタラクティブの大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」にチームを派遣し、同社のデジタル化を目的とするピッチコンテストを通じて新興企業とも協力した。このピッチコンテストでは、ドローンによる配達や、もっと平凡なところでは、モバイルデバイスによる注文、ドライブスルースピーカーの音声認識などといったアイデアが披露された。

マクドナルドは今後、技術への投資を加速させるという。同社のデジタルチームがどの程度の規模なのかは明らかにされなかったが、マットソン氏によると、大きいことはたしかで、同社のあらゆる部分対して「デジタル投資」が行われてきたという。このデジタル投資は、たとえばタコベル(Taco Bell)やスターバックス(Starbucks)などと競い合っていくための一手だ。これらのライバル企業は、モバイルデバイスによる注文やリワードプログラムをすでに展開している。

「顧客の反応は上々だ」

第2四半期の収支報告でイースターブルック氏は「顧客の反応は上々だ。技術の導入が各店舗とブランドに新たな命を吹き込んでいることは間違いない」と述べた。そして10月、マクドナルドは既存店売上高の1.3%の上昇を発表、前年からやや減少の13億ドル(約1440億円)の利益を計上した。

マットソン氏は次のように述べる。「店舗検索サービスはテーブルステークス(市場参入に最低限必要な条件)だが、顧客が必ずしも、我々が提供するリソースを利用するとは限らない。だが、このアプリなら、『どの店舗がマックリブを販売しているのか?』という我々しか知らないであろう情報を提供できる」。

Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)