メイベリンのソーシャル活用、なぜ「圧倒的」なのか?:競合だけでなく親会社をも凌駕

数あるビューティーブランドのなかでも、メイベリン(Maybelline)によるソーシャルメディアでのエンゲージメント促進は達人級だ。

ソーシャルアナリティクス企業のシェアIQ(ShareIQ)がクロスプラットフォームのエンゲージメントを比較した最新の調査結果によると、同ブランドは今年に入ってから、エスティローダー(Estee Lauder)やレブロン(Revlon)などのライバルはもちろん、親会社の化粧品大手ロレアル(L’Oreal)さえも圧倒してきたという。たとえばインスタグラムでは、メイベリンは年初から10月20日までのあいだに、合計で5900万を超える「いいね!」を獲得している。一方、同期間におけるロレアルとエスティローダーのそれは、それぞれ2700万と500万だ。

メイベリンは同じ時期、Pinterest(ピンタレスト)でもライバルを圧倒している。ロレアルの16万7000とエスティローダーの2万8000に対して、メイベリンは実に73万のリピンを獲得している(シェアIQで今回の調査を指揮したマーケティング部門ディレクターのジョナサン・ガードナー氏によると、ビューティーブランドの大半は、インスタグラムやPinterestでビジュアルコンテンツが共有される数と、それに付随するシグナルに、Twitterのデータよりも大きな価値を見出しているという)。

こうした結果はすべて、頻繁かつ啓発的な投稿、見識あるインフルエンサーとの関係構築、ジジ・ハディッドとのコラボなど、さまざまな取り組みの相乗効果のおかげだ。

「ジジ・ハディッド×メイベリン」コレクション

「ジジ・ハディッド×メイベリン」コレクション

 

「既存ファン層からのエンゲージを確保してきたメイベリンは、新たなインフルエンサーコンテンツで突出した注目を集め、新規オーディエンスのエンゲージメントを稼いでいる」と、ガードナー氏は分析する。

インフルエンサーとの連携

実際、メイベリンのインスタグラムアカウントへの投稿は年間を通じ、少なくともひとつおきにインフルエンサーが起用されるか、または言及されている。そのラインナップは、美容動画ブロガーのメリッサ・フローレス氏(フォロワー3万7000人超)からファッションブロガーのニコール・アリス氏(フォロワー8万9000人超)まで幅広い。画像や「流行りを取り入れよう」スタイルの短い動画を含むこうしたコンテンツの大半は、インフルエンサー本人によって作成され、メイベリンがインスタグラムアカウントのタグラインで推奨しているように、「#mnyitlook」のタグがつけられている。特に反応が良かったコンテンツには、メイベリンのアカウントからリポストされるチャンスがある。

「色見本」の画像はメイベリンのソーシャルアカウントでも人気

「色見本」の画像はメイベリンのソーシャルアカウントでも人気

 

「我々が認識しているように、顧客は美容インフルエンサーに美のトレンドとアドバイスの提供を期待している。従って重要なのは、インフルエンサーの素晴らしいコンテンツを我々のチャネルに取り込み、インフルエンサーと連携して彼女たちのオーディエンスともつながることだ」と、メイベリンの統合コンシューマーコミュニケーション担当VPであるマーニー・レバン氏は語る。

とはいえ、ネット上に美容インフルエンサーがごまんといる状況で、メイベリンはいくつかの基準を設けている。「我々が探そうとしているのは、メイベリンの製品について頼りになる言葉で語り、定期的に使用する人物だ」と、レバン氏。「同様に、彼女たちのコンテンツが、単に人をひきつけるだけでなく、消費者を啓発するものであることが望ましい」。

インフルエンサー主導の製品

メイベリンは今年8月、こうした連携をさらに一歩先へ進め、同ブランド発となるインフルエンサー主導のプロダクトラインをシェイラ・ミッチェル氏とともに立ち上げた。ミッチェル氏は、インスタグラムで250万人のフォロワーを抱える人気の美容ブロガーだ。ミッチェル氏がキュレートする「メイベリン×シェイラ(Maybelline x Shayla)」コレクションには、同ブランドの「コロッサル・ビッグ・ショット(Colossal Big Shot)」マスカラのシェードエクステンションや、新解釈を加えた「ザ・シティ・ミニパレット(The City Mini Palette)」アイシャドウなどが加わった。リファイナリー29(Refinery29)が実施したインタビューによると、ミッチェル氏の目標はどんなスキントーンにも合う製品を開発することだったという。

「シェイラ・ミッチェル×メイベリン」コレクションの画像

「シェイラ・ミッチェル×メイベリン」コレクションの画像

 

これに付随するソーシャルメディアキャンペーンでは、メイベリンはもちろん、ミッチェル氏のすべてのソーシャルアカウントでも投稿が共有され、同ブランドがこれまでに実施したもののなかでも最大級の成功になった、とレバン氏は振り返る。同コレクションはコスメショップ大手のアルタビューティー(Ulta Beauty)のWebサイトで発売から数日で品切れになり、現在も好調な売れ行きを維持している、と同氏は語る。

このインフルエンサー中心のコンテンツ以外では、メイベリンのインスタグラムアカウントには巧みな演出が施された商品写真はもちろんのこと、色見本投稿も続々とフィーチャーされている。これらの投稿では、特定の商品のさまざまなシェードやテクスチャーがモデルの手首上に示されている。

シェアIQによると、メイベリンの成功における別の要因は、投稿の頻度だという。同ブランドはインスタグラムで1日当たり平均5件の投稿を共有している。対するロレアルとエスティローダーのそれは、それぞれ平均4件と2件だ。

セレブリティとも緊密連携

それからもちろん、ジジ・ハディッドの存在もあげられる。メイベリンのスポークスパーソンに就任して数年になる彼女は10月上旬、自身初となる同ブランドでのコレクションを発表。ハディッドのメイクアップアーティスト、エリン・パーソンズがメイベリンのグローバルメイクアップアーティストに就任した直後のことだった。

セレブの影響力を当てにすることは決して目新しい発想ではないが、メイベリンは機会を活用することにとりわけ優れている、とガードナー氏は指摘する。だからこそ、ハディッドは同ブランド中心のコンテンツを自身のインスタグラムアカウント(フォロワー3600万人超)に頻繁に投稿しているのだ。同ラインの英国における発売日である10月12日の前後48時間で、彼女は7件の関連投稿を共有した。

さらにはハディッドは、タグやコメントでもメイベリンにつねに言及している。この戦略が功を奏して、彼女が抱える多くのフォロワーはメイベリンのアカウントへと流れている、とガードナー氏は語る。ドラッグストアチェーンのブーツUK(Boots UK)のWebサイトで同ライン初となるオンライン販売をハディッドが告知したあと、商品は90分で完売した

「有名人に報酬を払ってスポークスパーソンになってもらうことはよくある」と、ガードナー氏は語る。「だが、ファンとのつながりを有効活用することはまったく別の話だ」。

Jessica Schiffer (原文 / 訳:ガリレオ)