マリオット、「WeChat」アカウントを目的別に使い分け:顧客とスタッフそれぞれに発信

中国人旅行者の消費額は、2015年に2150億ドル(約23兆円)となり、前年比で53%増加した。そんななか、中国のメッセージングアプリ「WeChat(微信)」は、マリオット、ハイアット、シェラトン、シャングリ・ラなどのホテルチェーンにとって、アジア地域の消費者とのつながりを維持する重要な手段になりつつある。

ふたつのWeChatアカウントを所有するマリオットは、ひとつは顧客とのコミュニケーションのために、もうひとつは従業員の離職防止と採用のために使用している。マリオット・インターナショナル(Marriott International)で、アジア地域のカスタマーロイヤルティおよびコンテンツ担当バイスプレジデントを務めるアンカ・トゥワムバー氏によれば、顧客やポイントプログラムメンバー向けのWeChatアカウントが「マリオット・リワード(Marriott Rewards)」、スタッフと就職希望者向けのWeChatアカウントが「マリオット・キャリアーズ(Marriott Careers)」だという。

顧客専用の「リワード」

スターウッド(Starwood)やヒルトン(Hilton)などホテルは、ごく一般的な使い方をしているWeChatアカウント。それに対し、マリオットは「マリオット・リワード」のアカウントを利用して、ホテルのオープンや新しいマリオット・ブランドに関する情報をメンバーに伝えたり、メンバー向け特典(中国で行われるNBAの試合やイベントへの招待など)を紹介したりしている。また、3月に「日本で桜を楽しむベストな方法」といった旅行ガイドも提供した。

トゥワムバー氏によれば、「ミレニアル世代の旅行者は、今後数年間で当社のビジネスの60%以上を占めると予想」されており、「彼らは旅行中にユニークな体験をしたいと考えている」のだそうだ。

スタッフ向けの「キャリアーズ」

一方、スタッフ向けとなる「マリオット・キャリアーズ」のWeChatアカウントは、アジア太平洋地域の従業員とのコミュニケーションや、新規採用、および離職防止に利用されている。このアカウントはWeChatのサブスクリプションアカウントとして公開されており、採用情報をリアルタイムでフォロワーに提供。また、最近では「クレイグのコーナー」と呼ばれるコンテンツを追加し、同社のアジア太平洋地域担当プレジデント兼マネージングディレクターを務めるクレイグ・スミス氏のブログ(中国語に翻訳)を掲載、同氏の動画(中国語の字幕付き)を四半期ごとに公開している。

「マリオット・キャリアーズ」のWeChatアカウント

1月には、「マリオット・キャリアーズ」のWeChatアカウントではじめてとなるライブグループチャットが開催され、中国本土と香港にいる従業員と就職内定者がスミス氏と話をする場が設けられた。このチャットはテキストで行われ、スミス氏の発言は中国語のネイティブスピーカーによってリアルタイムで翻訳された。このライブチャットに参加した人は400人近くにのぼり(WeChatのひとつのチャットルーム参加できる人数の上限は500人だ)、45分間に651件のメッセージがやり取りされたという。

ソーシャル上の発言をすべて追跡

WeChat以外にも、「マリオット・リワード」は「Weibo(微博:中国版のTwitter)やインスタグラムを使って、アジア太平洋地域のポイントプログラムメンバーとコミュニケーションを取っている。また、マリオット・インターナショナルのアジア太平洋支社は、YouTubeと中国の動画サービスである「YouKu(优酷)」を利用し、「マリオット・キャリアーズ」もWeiboを利用している。さらに、各ホテルが市場に合わせてさまざまなチャネルを採用している。

マリオット・インターナショナルのソーシャルメディアの内訳

マリオット社内のソーシャルメディアチームは、「マリオット・リワード」「マリオット・インターナショナル」の各ブランド、およびマリオット関連のキーワードに言及したソーシャルメディア上の発言をすべて追跡。ユーザーが作成したコンテンツの数や競合他社との比較評価に基づいて、アジア太平洋地域内の各地域におけるブランドイメージやブランド浸透度を調べていると、トゥワムバー氏は語った。

中国の調査会社クエストモバイル(QuestMobile)によれば、WeChatの月間アクティブユーザー数は2016年3月に7億人を超え、前年同期と比べて34.2%増加したという。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via marriott.com