マーケターのための「プログラマティックTV」ガイド

プログラマティックTVは、テレビ広告費全体に占める割合は小さいものの、次第に拡大してきている。調査会社eマーケター(eMarketer)の予測によると、米国では2018年、プログラマティックTV広告に44億ドル(約4800億円)が使われる見込みだ。この記事では、プログラマティックTVについて押さえておくべきポイントを取り上げよう。

基本

米国のテレビの広告主たちはこれまで、望ましいオーディエンスを判断するうえで、ニールセン(Nielsen)の年齢と性別に関するデータに頼ってきた。しかしプログラマティックTVでは、ニールセンの年齢性別に関する指標にとどまらないデータ分析とオートメーション技術を使って、メディアを買う側がリーチするオーディエンスの精度を上げることができる。

たとえば、1年間の世帯収入が10万ドル(約1100万円)ある25~54歳の女性で、靴を購入したいと考えている人を見つけたい場合、テレビネットワークのポートフォリオ全体から、この条件に合致するインベントリー(在庫)を特定することができる。キャンペーン後の成績データから、このデモグラフィックスはだいたい午後9時~10時にそのテレビネットワークを視聴するとわかるかもしれない。その場合、このネットワークでの地上波テレビの購入をそれにあわせて調整することができる。

ターナー(Turner)やNBCユニバーサル(NBCUniversal)のような大手メディア企業は現在、ネットワーク放送とケーブルテレビのインベントリーをプログラマティックTV向けに提供している。

違い

プログラマティックディスプレイやプログラマティック動画と違って、プログラマティックTVは、テレビのインベントリーへのリアルタイム入札がなく、また、エンドツーエンドのソリューションではない。

「プログラマティックTVでは、オーディエンス指数のプランニングにデジタルとテレビのデータセットを用いる。プランニング後にメディアを買うには、テレビネットワークの営業に電話をかけて、従来からの方法で購入する必要がある」と、エージェンシーのケプラー・グループ(Kepler Group)で最適化とイノベーションのSVPを務めるギャレット・デール氏は語る。

プログラマティックTVはまた、アドレサブルTVとは異なる。アドレサブルTVでは、広告主は1対1のターゲティングができるのに対し、プログラマティックTVだと、たとえばフロリダ州、カリフォルニア州、ニューヨーク州の家庭が同じ広告を見るかもしれない。

「プログラマティックTVでクライアントは、ターゲットオーディエンスが特に集中しているユニットを購入できる」と、NBCユニバーサルでパートナーシップおよびポートフォリオ製品のSVPを務めるアーロン・ラディン氏は述べる。「アドレサブルTVであれば、特定の広告を特定の世帯に1対1で配信できる」。

課題

ターナーでイノベーションと広告プログラマティックソリューションのSVPを務めるダン・アバーサノ氏は、売る側の視点から、LUMAscape(ディスプレイ広告の業界地図)が常に課題だと考えている。つまり、ベンダーがあまりに多く、また、ベンダーの多くがデマンドサイドプラットフォームとサプライサイドプラットフォームの両方を担っているという問題だ。

「彼らは最初から(テレビバイイングの)ワークフローの自動化を試みている」と、アバーサノ氏は述べる。「TVにはワークフローの問題はない。その問題があるのはデジタルだ。テレビで解決する必要があるのはデータだ」。

メディアバイヤーからすると、測定が大きな課題だ。エージェンシーのグッドウェイ・グループ(Goodway Group)でメディア製品マネージャーを務めるサラ・シェーラー氏は、プログラマティックTVの測定は、テレビメーカーのデータとセットトップボックスのデータに対する広告主のアクセスレベルで決まると語った。

テレビメーカーのデータにはIPアドレスがあり、これにより位置、ネットワーク、番組、および視聴時間に関するレポートが可能になる。また、IPアドレスはクロスデバイスのアトリビューションを可能にする。セットトップボックスのデータを使うと、広告主はターゲティングを世帯レベルで行うことができ、ブランドのコマーシャルが流れたネットワークとターゲットオーディエンスによるインプレッション配信に関するレポートが可能になる。

「しかし、ここで注意しないといけないのは、こうしたデータセットはとても複雑で、非常に断片化していることだ」と、シェーラー氏は述べる。「プログラマティックTVが成熟すれば、測定はもっと効率化されるだろう」。

テレビの場合は、広告主がすべての視聴を追跡して、その広告露出をオンラインとオフライン、両方の販売と結びつけられる完璧なソリューションが存在しないと、デール氏は補足した。「技術は向上しているが、データ・パートナーシップにおける穴と不完全な合致率から、本当の1対1のアトリビューションを大規模に行うのは、いまのところ難しい」。

断片化

標準化も大きな課題だ。測定に必要なデータは、さまざまなケーブル会社とテレビメーカーが所有している。たとえば、NBCユニバーサルとFOXでそれぞれプログラマティックTVキャンペーンを実施するには、別々のプランニングプロセスが必要なことがある。

「本当に良い形で測定するためには、テレビメーカーのデータとセットトップボックスのデータをすべて一元化し、プログラマティックTVを商品として提供しているすべてのプラットフォームが簡単にアクセスできるようにする必要があるだろう」と、シェーラー氏は述べる。「プログラマティックTVのエコシステムは、ベンチマークとメトリクスの標準化についても決断することが必要になるだろう」。

Yuyu Chen (原文 / 訳:ガリレオ)