薬物問題の影響で「シャラポワ離れ」を進めるブランドたち:ポルシェ、ナイキ、タグ・ホイヤー

世界トップランクの実力と華やかな美貌を兼ね備えた稀有なテニスプレイヤー、マリア・シャラポワ。だが、取り巻きのブランドたちは、ひっそり彼女のもとを離れようとしている。

2016年3月7日の記者会見においてシャラポワは、薬物検査の結果、今年から世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の禁止薬物に加えられた薬品、メルドニウムの陽性反応が出たことを公表。彼女自身は糖尿病や低マグネシウムの対策として服用していたとしているものの、この薬物が運動能力を高めるという研究結果もあり、スポーツ界からの永久追放という危機に直面している。

こうした状況下、シャラポワとタイアップ契約を結んでいたブランド企業のなかには、イメージダウンを恐れて彼女と距離を置こうという動きが見えはじめた。早くも会見の翌日にはアクションを起こしているのが、スポーツアパレル大手のナイキ、腕時計のタグ・ホイヤー、そして高級ドイツ車のポルシェといった面々である。

ナイキは契約を一時停止

過去およそ20年間にわたり、シャラポワのテニスウェアを担当し、彼女のブランドを冠した衣類の販売を手がけてきたナイキ。2010年にはシャラポワと7000万ドル(約79億円)で8年契約を結び、いくつものコマーシャルに出演させている。

このニュースを受け、ナイキでは「悲しい出来事で大変驚いた」として、彼女とのリレーションシップを一時停止し、「我々は引き続き状況をモニターしていく」との声明を出した。ただし、シャラポワ関連アパレルについては現在でもオンラインで購入可能な状態となっている。

タグ・ホイヤーは契約終了済み

ナイキにはおよばないものの、シャラポワと12年間のタイアップ関係にあったスイスの高級時計ブランド、タグ・ホイヤーは「契約は2015年12月31日に期限切れとなっており、その後、シャラポワとの契約は更新しないことにした」としている。なお、今回の薬物問題の引き金となったメルドニウムがWADAの禁止薬物に加えられたのは、2016年1月1日のことだ。

同ブランドの声明では、「我々はシャラポワとのコラボレーションを拡張するために交渉していたが、現在の状況を鑑みて、契約の更新をしないと決めた」と説明している。

ナイキの場合と同様、シャラポワはタグ・ホイヤーのコマーシャルに出演し、Webサイトでも紹介されていたが、現在、該当ページには「このコンテンツは現在利用できません(This content is not available on this version.)」と表示されるのみだ。

ポルシェも契約一時停止

フォルクスワーゲン傘下の高級スポーツカーメーカーであるポルシェは、2013年に同社初となる女性のブランド・アンバサダーとしてシャラポワと契約。2015年までその関係が継続していた。しかしながら、ポルシェは「(シャラポワと)計画していた活動を一時停止することを決めた」と発表している。ただし、より多くの事実が明らかになった際に、彼女との計画が再開する可能性があることを示唆する形とはなった。

2013年にポルシェがシャラポワとのコマーシャル契約を発表したとき、同社は彼女をこう評している。

「マリア・シャラポワは例外的なアスリートである。彼女は優雅さとパワー、そして彼女の戦場であるテニスというスポーツでの最高のパフォーマンスを兼ね備えているのだ。まさに我らポルシェのスポーツカーが持つ資質と同じものを内に秘めているといえるだろう」。

ブランドのキャラクターとして起用されるということは、その個人のイメージが製品やサービスに投影されることでもある。こうしたタイアップやコマーシャルの降板劇は、日本でもベッキー&ゲスの極み乙女。・川谷絵音の不倫問題で記憶に新しいが、それだけブランド企業がイメージ戦略に細心の注意を払っているということの表れともいえるだろう。

Jordan Valinsky(原文 / 訳:ワタナベダイスケ)