インスタの人種差別「荒らし」を阻んだ、MACコスメのコミュニティ

人気の化粧品ブランドであるMACコスメティックスのインスタグラムアカウントには、美を追求する世の女性たちのポジティブなパワーが満ちあふれている。

そこは常に、最新のリップカラーやオリジナルのメイク調合レシピを求める、メイクアップ愛好家たちの交流の場となっているのだ。

そんな美の楽園を、先日醜悪な事件が襲った。800万人以上いる同ブランドのフォロワーの一部が、ここにシェアされた写真に対し、人種差別的なコメントを投稿しはじめたのである。

レイシスト的な荒らしユーザーたちが狙ったのは、先日開催されたニューヨークファッションウイーク(NYFW)の舞台裏を撮影した1枚。その写真では、濃いブルーのリップスティック「マットロイヤル」をつけた、ある黒人モデルの唇が大きくクローズアップされていた。

Royal romance at @ohnetitelny #AW16. #MACBackstage #NYFW

M∙A∙C Cosmeticsさん(@maccosmetics)が投稿した写真 –

心ないユーザーがこの写真に「この唇は黒人のダチ公(Nigga=侮蔑語)か?」とコメントすると、すかさず別のユーザーが「魚みたいな唇」と揶揄。さらに他のユーザーが「なんてこった。(男性ラッパーの)Jay Zかと思ったぜ」と返すというように、コメント欄には人種差別的な中傷が殺到した。

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しかし、そうした声が聞かれたのはごく一部からのみで、MACコスメティックスをフォローする多くの女性たちは、こうしたヘイトスピーチを素早くシャットアウト。そして驚くべきことに、彼女たちは偏見コメントではなく黒人モデルの美しさを称賛する声を上げていくことで、インスタグラム上で差別に立ち向かったのである。なお、この写真についた「いいね」は11万7千件にもおよび、コメントは36万件を越えてなお投稿され続けている。

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なんて、つまらない人種差別なの? いまだ、こうしたコメントに呆れ果てなきゃいけないなんて、ホントにウンザリするわ。

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美しさは、肌の色やあなたを構成するもので、決められるものではないのよ…恥を知りなさい。実際、美しさは、あなたの態度や心意気で決定づけられるもの。メーキャプすることでフィジカルな美しさを高めることは可能だけど、それは表向きだけ。どうして、すべてのことが人種差別問題にすり替えられるのか、理解し難いわね。この写真を見たとき、私は女性の肌の色なんて、気にならなかったわ。

この事件で渦中の人となってしまった19歳のモデル、マリース・ケイ(Maryse Kye)は、このインスタグラム投稿に寄せられた酷評と応援のコメント双方に返信していった。彼女は言う「私はもうすぐ20歳になるけれど、今回の件は私が中学校の頃に耐えてきた疎外感を思い出させる。でも、私はそれらを乗り越えてきたし、見た目や肌の色のために受けたイジメが、私が夢に向かうことを阻んだことなんて、一度もないわ」と。

また、後日彼女はインスタグラムの写真が自分ではなく、ニューヨーク・ファッションウイークでお揃いのメイクをしていたモデル仲間のアーミット・ステーシー・ラーガン(Aamito Stacie Lagum)が「うっかりミスで」掲載された写真であることに気づいた。だが、それでも自らの発言はアーミットのことも含めての意見であるという立場を示している。

この件について、米DIGIDAYの求めに応じたMACコスメティックスは「私たちは、すべての人種、性別、年齢の人々(All Ages, All Races, All Sexes)を尊重している。ゆえに我々のコミュニティでは口汚ないコメントが容認されることはない。この理念はインスタグラムのバイオグラフィにも掲げている」とコメントした。

はからずもこの事件の直前には、同じインスタグラム上で、アディダスがバレンタインデーに女性同士のキス写真を投稿して同性愛を嫌悪する荒らしコメントの嵐に見舞われ、炎上する騒ぎが起きている。ソーシャルメディアを通じてファンたちにブランド理念を伝達し、良質なコミュニティを構築していくことは、これからも各ブランド企業にとって大きな課題となっていくことだろう。

Tanya Dua(原文 / 訳:ワタナベダイスケ)