ルフトハンザ、機上「ライブイベント」で集客:フライングラボの中身

ドイツの航空会社ルフトハンザ(Lufthansa)は、大西洋を横断する長時間フライトのあいだに、飲食や映画観賞以上のサービスを提供できると考えている。同社では、1年前に開始した「フライングラボ(FlyingLab)」というプログラムを通じて、上空約9000メートルの機内でデジタルイベントを開催してきた。

9月11日に、ドイツフランクフルトで開催された世界最大級のデジタルマーケティングカンファレンス「dmexco」に向かう参加者を乗せたニューヨーク発のルフトハンザ機内には、生中継スタジオをセットアップ。アドテク投資家のテレンス・カワジャ氏や米航空宇宙局(NASA)のシンディー・チン氏などイベント登壇者5人のインタビューを実施した。乗客は、ルフトハンザが開発した機内用モバイルストリーミングシステムを使って、インタビューをライブストリーミングで視聴したり、スピーカーに直接質問もできた。

ルフトハンザは今年2月にも「ニューヨーク・ファッションウィーク」に先駆け、ファッションデザイナーのルビン・シンガー氏によるレディースコレクションのプレビューを、ニューヨークへ向かう「フライングラボ」内で上演している。

フライングラボの効果

フライングラボは無料の追加サービスとして利用できるため、ルフトハンザがこれで利益を上げているわけではない。だが乗客の多くは、これから参加するイベントや会議に関連した最新情報をフライングラボで体験できるとしてルフトハンザで予約してくれている、と同社のデジタルイノベーション部門を率いるトルステン・ビンゲンター氏は言う。

ビンゲンター氏によると、フライングラボでは2016年7月以来、6つのイベントを開催してきた。dmexcoやニューヨーク・ファッションウィークのようなイベントと関連したもの以外に、バーチャルリアリティー(VR)やボットのような最新テクノロジーをデモする機内ワークショップも企画。こうしたイベントは通常、国際線のフライトで、各分野の著名なスピーカーを迎えて行うとビンゲンター氏は説明する。

「機内体験の多くは、飲食に限られているが、それをより楽しく、インタラクティブなものにしたいと考えている。当社のCEOは積極的にデジタル化を推進している。フライングラボは、デジタル化を乗客に体感してもらえる手段だ」。

クレイジーな発想の原点

ビンゲンター氏によると、フライングラボの構想は約2年前に生まれたが、実を結んだのはルフトハンザのフランクフルトーサンノゼ便が就航した2016年7月だったという。サンノゼはシリコンバレーのお膝元だ。「我々も最初は半信半疑だった。機内イベントという発想がややクレイジーに感じたから」と、ビンゲンター氏は振り返る。ルフトハンザは現在、自社のソーシャルメディアを利用してプログラムを宣伝している。

同社は安全上の理由から、イベント用にフライトプランを変更したり、機体を特別仕様にする予定はないという。たとえば、フライングラボの乗客も、通常どおり、進行方向に向かって着席する。「航空機の機械トラブルでは、修理に3時間以上かかることもある。機体トラブルが発生したときに備えて、別の機体を使用できるようにしておきたい。フライングラボ用に特別設計された機体だと難しくなる」と、ビンゲンター氏は言う。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)