4倍も長くなるインスタ動画、マーケ業界はおおむね肯定的:半年で約40%も増加した視聴時間

動画でできることがどんどん増えている。

2016年3月下旬、フィード表示にアルゴリズムを導入すると発表し、多くの関係者をパニックに陥れたインスタグラム。今度は動画の尺を15秒から60秒に拡大しようとしている。いままでは広告のオプションとして存在していた同サービスの60秒動画。去る3月29日以降、すべてのユーザーに対して、順次実装していくという。

この変更について、ブランドやエージェンシーはさまざまな感情を抱いている。より多くの情報を含んだコンテンツを配信できるようになるのはいいが、その「副作用」もないわけではない。仕事量が劇的に増えるのだ。

エージェンシーやブランドにおいて、もっとも仕事量の多くなるデジタル分野。デジタル広告時代ということもあり、コンテンツの需要が大幅に増え、さまざまな形式や編集方法のコンテンツが製作されてきた。Snapchatの動画も、インスタグラムやFacebookの動画とはまったく異なる。これまで、コンテンツ製作に多額の費用と膨大な時間を費やしてきたのだ。

発想に柔軟性をもたせられる

「私たちは常にオーディエンスを中心に物事を考えはじめる。プラットフォームを優先することはない」と、米デジタルエージェンシーであるR/GAの戦略部長ケルシー・ハーモン氏は話す。「もし私たちのオーディエンスが2つの異なるプラットフォームに存在するのであれば、そこには2種類の動画形式と2通りの運営方法があることを意味する。業務の流れや製作で必要となることは、以前と比べて確実に変わってきている」。

また、別の米デジタルエージェンシーである360iで戦略とソーシャルマーケティングを統括するオルリー・ルウィンター氏は、多くのソーシャルプラットフォームでクリエイティブな広告を配信することはとても楽しいが、「戦略や製作の観点から、私たちの目標はブランデッドコンテンツを最適な形式で届けることだ」と、話す。

それは、それぞれのプラットフォームに最適な形式のコンテンツを作ることを意味し、とても大変だ。しかし、動画の尺が伸びるということは、発想に柔軟性をもたせることができると、ルウィンター氏は補足する。

Based on true events. #TAYLORvsTREADMILL @applemusic @champagnepapi @future

Taylor Swiftさん(@taylorswift)が投稿した動画 –

話題となったテイラー・スウィフトの投稿も60秒だった。

動画の方がエンゲージメントも高い

「私たちがクリエイターたちと仕事をするとき、30秒のアイディアを15秒に凝縮させなくてはならないときが多々ある」と、R/GAのハーモン氏は語る。「短い動画にはインパクトがないときがあるのだ」。最近では低品質な広告が蔓延しているインスタグラムだが、動画の尺が長くなったことで、品質の良い動画コンテンツが増えるかもしれない。

インスタグラムを利用するブランドにとって、動画は重要なものだ。YouTube広告マーケティング&ソフトウェア企業ピクサビリティ(Pixability)のデータによると、ブランドが2016年の1月に投稿したコンテンツ(ペイドコンテンツは含まない)の数は、2015年の1月と比べて50%も増えた。いまだに動画よりも写真の方が多いが、動画の配信率も上がっているという。

また、インスタグラムの報告によると、2015年の中盤と比べて、ユーザーが動画を視聴する時間が40%も増えた。ほかにも、ピクサビリティは動画の方が写真と比べてコメントの数が2.4倍ほど多いとも指摘している。動画コンテンツの方が、エンゲージメントも高いようだ。

インスタグラムにとっては良いこと

「全体的に見て、これは良いことだ」と、デジタルマーケティングエージェンシーのアイクロッシング(iCrossing)のソーシャルメディア部門を統括するシャノン・トルァックス氏は話す。「動画の尺を長くすることは、消費者による動画の投稿が増えることを意味する。そうなれば、消費者はより多くの動画を視聴することにもなる。ブランドは15秒動画も配信できるが、尺が伸びたことにより、柔軟性も増えた。60秒以内であれば、メッセージやクリエイティビティを伝えるために時間を柔軟に使える」。

インスタグラムでの動画の消費率が上がっている。実際、親会社となるFacebookなど、ほぼすべてのソーシャルプラットフォームでも消費率が上がっているのだ。動画の尺を伸ばしたおかげで、視聴回数や消費率は増えるだろう。インスタグラムにとっては良いことだ。

現在まで、60秒動画オプションとして扱われ、その費用を支払ったブランドのみが投稿することができていた。この60秒動画オプションを最初に利用したブランドのひとつがドイツに本社を構える移動体通信サービス企業のT-モバイル(T-Mobile)だ。

Shareen Pathak(原文 / 訳:BIG ROMAN)