最新コンテンツマーケティングは「ポッドキャスト」にあり:自社コンテンツを収録するブランドたち

多くのアメリカ企業の間で、ポッドキャストブームが再燃している。

ここ数カ月の間に、アメリカ生命保険大手のプルデンシャル(Prudential)や、オレゴン州の地方銀行であるアンプクア銀行(Umpqua Bank)、それにGEやNetflixなどが、大規模なポッドキャスト専用のプロダクションを設立した。

また、オンラインニュースサイト「スレート(Slate)」が運用するポッドキャストネットワークサービス「パノプレイ(Panoply)」では最近、ブランド各社によるポッドキャスト運用を手伝うカスタムユニットを立ち上げている。

これまでにパノプレイでは、6つのパブリッシャーと提携。こうした動きは、つい最近はじまったことであり、ポッドキャスト展開に興味をもつ企業は増加中だと、最高販売責任者のマット・ターク氏は話す。

広く一般にブーム再燃

企業だけでなく世間一般の間でもポッドキャスト配信自体が、ちょっとしたブームになっている。市場リサーチなどを行うエジソン(Edison)による調査では、聴取するアメリカ人は月間で4600万人。平均的なリスナーは週6回聴取しているという。

電子メールサービスなどを展開しているスタンプスドットコム(Stamps.com)や、CMS提供をしているスクエアスペース(Squarespace)、またはマットレスブランドのキャスパー(Casper)などがスポンサーとなっているポッドキャストのショーでは、ホスト自らネイティブアドを展開する。

しかし、注目すべきは、自社コンテンツをポッドキャストで製作するブランドが増加していることであろう。

親密なスタイルが魅力

そのいい例がプルデンシャルだ。同社では「40/40ビジョン(40/40 Vision)」と呼ばれる4話完結のシリーズを制作。ホステスとして、ラジオの司会や女優業で知られるフェイス・サリー氏を起用した。

40歳以降の自分の人生を模索するというテーマをかかげ、編集をしない親密なスタイルの配信が魅力になっていると、メディア担当バイスプレジデントのアナ・パパドプロス氏は語る。「40歳というのは、文化面での出来事をもっとも感化・享受してきた世代なので、そうした話題を求めている思った」。

パノプレイのユニットチームは、エピソードのアイデア考案について、プルデンシャル「40/40ビジョン」の制作を手伝っている。パパドプロス氏は、パノプレイの協力を評価しているという。

多様化するテーマ

その一方、アンプクア銀行では、2015年9月に「オープンアカウント(Open Account)」というポッドキャストをローンチ。元MTV記者のスーチン・パク氏による、お金について「正直になろう」というのがテーマのショーで、金融に関するリテラシーや、金融業界について世間が語りたがらない理由などについて語っている。

これまでに最初の3エピソードが7万回もダウンロードされており、スポンサードか否かを問わず、同時期に配信されたポッドキャストのなかではもっともダウンロード数が多かったとパノプレイ側は話す。

アンプクア銀行のエグゼクティブバイスプレジデント(クリエイティブ戦略担当)のラニ・ヘイワード氏は「ポッドキャストというプラットフォームは、ほかと比べてよりプライベートなものだ」と語る。「お金の話だけあって、コンテンツづくりに事欠かず、関連する話題に興味をもつ人たちが即座に集まってくれた」。

GEはSFシリーズを制作

この方面でもっとも成功しているのがGEだ。大規模なコンテンツマーケティングの王者として、広告とは思えない「メッセージ(The Message)」というポッドキャストのショーを制作している。

8話完結のSFシリーズで、2015年11月第4週のiTunesでは1位を記録し、100万人以上のリスナーを獲得した。なお、このショーはパノプレイとの共同で制作されたが、フィクションのストーリーだったため、スポンサードコンテンツ部門が手がけることはなかった。

新規ライバルの参入も

現在、パノプレイは先行者としての地位を享受してはいるものの、ほかのポッドキャスト企業による参入も相次いでいる。人気ポッドキャストの「スタートアップ(StartUp)」を制作するギムレットメディア(Gimlet Media)では、2015年11月第4週にブランド担当部署を設置したと発表。想定クライアントとする不動産企業の「ジロー(Zillow)」とタイアップした対話特集を制作している。

ギムレットメディアによると、ポッドキャストによるブランデッドコンテンツに、多くのブランド企業が興味を示しているという。同社でポッドキャスト広告担当を務めるナザニン・ラフサンジャニ氏は、「ニューヨーク・タイムズ」が運営するネイティブ広告制作部門「Tブランドスタジオ(T-Brand Studios)」のギムレット版だと解説した。「これまで広告代理店がやってきたようなことを行っている」と、ギムレットメディア社CEO、アレックス・ブルムバーグ氏は話す。

計測指標が現状の課題

人気がある一方、ブランドに提供できるような関連データの欠如や、既存のポッドキャストに広告配信させてしまうなど、包括的な展開が妨げられる場合があることに、ブランドは不満をもっている 。ポッドキャストの聴取で大きな役割を果たすAppleでは、いまのところオーディエンス層を公表していないのだ。

パノプレイのターク氏は、旧式の測定ツールをポッドキャストで使用するのは、確実に問題だと指摘する。そのためパノプレイは2015年8月、より深いデータをブランド提携先に提供しようと、オーストラリアのソフトウェアプラットフォーム企業であるオーディオメトリック(Audiometric)を買収した。

同社は今後、ダウンロード数だけでなく、地域別の聴取状況や、どのぐらい遠方のリスナーを獲得しているかなども調査対象とする計画だ。その結果、クライアントのプルデンシャルは、ポッドキャスト配信に関する、投資対効果を計測することが可能になった。また、パノプレイはIAB(インターネット広告推進協議会)と連携し、ポッドキャスト関連の指標の標準化を策定しようとしているという。

同社のメディア担当バイスプレジデント、パパドプロス氏は、確固たるデータを得られる方が良いと認めている。「もっと良い計測ができる分野だ」とし、「新しいプラットフォームの計測に古い計測指標を当てはめているのが現状なのだ」と、言葉を結んだ。   

Shareen Pathak(原文 / 訳:南如水)