ブラックイメージ払拭を期して、ウォルマートがブログを改変:コカ・コーラやGEをお手本に

2015年のいつ頃だったか、ウォルマート(Walmart)のシニアディレクターであるチャド・ミッチェル氏は気づいた。世界屈指の大企業である同社が顧客に語りかける唯一の手段は、年に1回か2回しか更新されない時代遅れのWebサイトしかないことに。

よくある話ではあるが、ブランドイメージに慢性的問題を抱えるウォルマートにとっては、とりわけ深刻な問題だった。同社は小売業界の評判ランキング最下位の常連だ。それは主に、従業員の低賃金、中国製品への依存、小規模競合店つぶしなどの報道による。

「変化のない企業サイトから対話は生まれない」と、ミッチェル氏は言う。全面的なメッセージ展開が必要だった。

ネタに困ることはない

かくして「ウォルマート・トゥデイ(Walmart Today)」が誕生する。ミッチェル氏はデジタルチームの人数を7人に倍増し、以前は「続いていればよし」としていたブログをニュースサイトに作り変えることに着手した。コカ・コーラ(CMSプロバイダが共通)やGEなどのブランドパブリッシャーを参考にしたと、ミッチェル氏は言う。

依頼を受けたエージェンシーであるオムレット(Omelet)は、アートディレクター兼ニュースエディターをアーカンソー州のウォルマート本部に送り込み、成果物提出の義務を課さない裁量を与えた。オムレットの最高コンテンツ責任者を務めるマイク・ウォーレン氏は、「我々は、世の中の動きに対して反応するパブリッシャーになるようなものだと考えた。世の中に対して何ができるかを喧伝すると、不信感を与えてしまう。だからそうはしなかった」と述べた。

ウォルマートは米国だけで130万人の従業員を抱えており、「ニュースルーム」が記事のネタに困ることはない。北極をマラソンで走破した従業員の話から、家族全員がウォルマートで働く一家の話まで、よりどりみどりだ。

「ウォルマート・トゥデイ」は記事を週2~3本、従業員を紹介する特集動画を2週間に1本掲載している。現在はポッドキャストも準備中だ。

好感度は15%上昇

「ウォルマート・トゥデイ」の月間ユニークビジター数は約100万人(全プラットフォーム、チャンネルの合計)。これは、染み付いたネガティブイメージの払拭に同社が躍起になっている表れだ。

2016年1月、ウォルマートは世界各地で269店舗を閉鎖し、約1万人の従業員を解雇した。2015年末、ブルームバーグの特集で描かれたウォルマートは、自社の従業員に怯え、最低賃金の上昇につながりかねない改革を警戒していた。米全国労働関係委員会(NLRB)による最新の報告書は、ウォルマートは依然として多数の不公平な労働関係を結びつづけている、と指摘している。

ミッチェル氏はこうした問題を十分承知している。同氏によると、積極姿勢に転換してから、同社の評判は15%上昇したという。主にウォルマートの従業員待遇に関して、人々の印象が変化したためだ。外国製品と地元の店への影響の問題については、反論は難しく、ブログやWebサイトはそうした主張の場にふさわしくないだろう、とミッチェル氏は言う。

オーガニックの減少が課題

現在、ブログのユニークビジター数は月間100万人に達するが、ミッチェル氏によればオーガニックリーチとオーガニックトラフィックは減少しているそうだ。ほかのブランドのサイト、たとえばコカ・コーラの「ジャーニー(Journey)」、GEの「レポーターズ(Reporters)」も、同様の課題を感じている。ミッチェル氏は、「配信が問題だ。今年の大きな目標のひとつは、オウンドチャネルのオーディエンスを増やし、アーンドチャネルやペイドチャネルでは、配信コンテンツを通じてより多くの人々へとリーチを広げることだ」。

ウォルマートは、コンテンツレコメンデーションサービスのアウトブレインOutbrain)やタブーラ(Taboola)を利用して自社配信を増やすほか、「Vox」「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」「ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)」にスポンサー記事を掲載している。同社はまた、記事を公式コメントがわりに利用しようと考えている。ウォルマートが店舗入口で客を歓迎する「グリーター」と呼ばれる従業員を復活させたとき、それを報じた「フォーチュン(Fortune)」の記事で、ブログが引用された。「こうしたことがメディアチームの力になる」と、ミッチェル氏は言う。

「我々はいま、『ウォルマート・トゥデイ』をブランド全体をカバーするニュースルームと考えている。人々が取り上げて欲しいと思っていることを、我々は取り上げなくてはならない」。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)