老舗塩ブランドは、なぜ OK Go にスポンサードしたか?:創業168年「モートンソルト」のブランド転換

黄色い服の少女がトレードマークとなっている、アメリカの代表的な塩ブランド、モートンソルト。あまりに日常的なこのブランドが、2016年のバイラルミュージックビデオの仕掛け人だとは、誰も予想していなかっただろう。

OK GoのMVにスポンサード

日本でも人気のバンド OK Go(オーケー・ゴー)の楽曲「ザ・ワン・モーメント(The One Moment)」のミュージックビデオに、モートンソルトはスポンサーとして参加し、1700万回の再生回数を叩き出した。同ブランドはこのビデオを通じて、よりクールな若者受けする会社へとイメージ転換を図ろうとしている。

168年の歴史を有するモートンソルト。大規模なブランドキャンペーンを行ったのは、これがはじめてだ。

ブランド戦略ディレクターのデニース・ローアー氏は、「モートンソルトは、ビジネスとブランドを広げる転換を行おうとしている」と語った。さらに同ブランドは、7つのメジャーマーケットにおける、OOH(Out Of Home)広告を増やしているという。

OK GoのMV「ザ・ワン・モーメント(The One Moment)」

Snapchatのレンズにも出稿

この12月には、初となるSnapchatレンズも展開した。「彼女の足取りにならって(Walk her Walk)」と題されたこのキャンペーンの狙いは、モートンソルトのイメージを塩だけでなく「感情を伴うライフスタイルのチョイス」と、ローアー氏が呼ぶレベルにまで引き上げることだ。ビデオには若い少女たちの成長と自立を助ける団体「ガールフォワード(girlForward)」の創始者ブレア・ブレッツシュナイダー氏やグローバルな水不足問題に取り組む組織「ザ・サースト・プロジェクト(the Thirst Project)」のファウンダー、セス・マックスウェル氏などが登場する。

「アイコン的存在である、モートンソルトの少女にインスピレーションを受けて、『Walk her Walk』キャンペーンは私たちの周りの世界にポジティブな影響を与えることを約束する。毎日重要な役割を担う、私たちが敬愛するモートンソルト少女が、より大きな目的に向かう私たちの歩みを助けてくれるのです」と、ローアー氏は語った。

彼らのポジショニングの修正には、いくつかの要素がある。塩はコモディティ化してしまうことが多い。そのためブランドはよりセンチメンタルに訴える方法でプロダクトと消費者をつなげることが重要となる。ヒマラヤン・ピンク・ソルトやコーシャー・ソルトといった競合プロダクトが成長している現在なら、なおさらである。

モートンは彼らの塩が食事を越えて毎日の生活のキーとなっていることを訴えようとしている。医療や農業にも使われているのはその例だ。「ほかの多くの会社と同様、次の世代の消費者とつながることが必要だ」と、ローワー氏は言う。

若い人材を魅了するために

モートンソルトは従業員の構成についても考慮する必要があることを自覚している。従業員のうちミレニアル世代は30%ほど。そして今後5年で20%の従業員が定年退職することが予測されている。新しい従業員にアピールする必要があるのだ。

Morton Salt, Inc moves in to 444 W Lake, 3000 (29th and 30th floors).

モートン・ソルトの新本社

ブランド刷新の大きなステップのひとつとして、12月に行われた新社屋への移転が挙げられる。シカゴにある、この新本社ではオープンプランなデザインをはじめて採用した。これまで以上にソーシャルメディアとデジタルマーケティングの人材を採用していると、ローアー氏は説明する。

自社の健康プログラムも試験的に運用している。これはシリコンバレーのスタートアップ文化を模したものだ。新しいパフォーマンス管理システムや福利厚生要素に、若い従業員は惹きつけられることを老舗ブランドたちは学びつつある。

「内側と外側の転換はリンクしていないといけないと思う。両方の取り組みがつながっていないといけない。過去5年間に採用したよりも多くの人材をいま、採用しようとしている。彼らを魅了することは非常に重要だ」とローアー氏は語った。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)