インフルエンサーマーケティングは、標準化で効率アップ?:セルフサービス型ツール利用の最新事例

インフルエンサーマーケティングとは、忠実なフォロワーを持つソーシャル界のスターなら、そのファンに対してより効果的なマーケティングができるはずだという考えに基づくものだ。だがいま、あらゆるマーケティングと同じように、この分野でも標準化が進んでいる。

この市場では現在、ブランドがセルフサービス型の広告ツールを利用する例が増えている。その仕組みはこうだ。広告主はまず、インフルエンサーのリストを作成する。通常、広告主が提携したいと考えるインフルエンサーの数は20人ほどだろう。インフルエンサーを選ぶにあたっては、多くの属性が検討される。そのインフルエンサーが、ブランドがリーチしたいと考えている市場で情報を発信しているかどうかといったことや、ブランドセーフティの問題などだ。もちろん、価格も検討される。ほとんどの場合、ここでいうインフルエンサーとは、いわゆる「マイクロインフルエンサー」を指す。彼らは、フォロワーの数が少ない分、高いエンゲージメントを獲得できると考えられているのだ。

次に、広告主はクリエイティブ資産をインフルエンサーに提供する。インフルエンサーが、その資産をソーシャルプラットフォームで投稿できるようにするためだ。このような関係は、クリエーターとの関係よりもパブリッシャーとの関係に近い。インフルエンサーマーケティング業界の初期の頃とは大きく異なる。

プラットフォーム的に利用

宝くじのオンライン販売を手がけるロトゴーファー(LottoGopher)でマーケティング担当バイスプレジデントを務めるジェイン・タターソール氏は、「これは、我々にとってもっともコスト効率の高い方法だ」と語る。同社は、アドテク企業のエンゲージ:BDR(engage:BDR)が提供するセルフサービスプラットフォーム「アイコニックリーチ(IconicReach)」を利用して広告を展開している。

ロトゴーファーは、社内にクリエイティブエージェンシーを抱えているため、クリエイティブ制作のためにインフルエンサーと長期契約を結ぶ考えはなかった。「私は長いあいだインフルエンサーを活用してきた。契約する必要のあるインフルエンサーが多くなると、時間がかかる。そのうえ、何度も契約交渉をしなければならなくなるのだ」と、ジェイン氏は語った。

ロトゴーファーが使っているセルフサービス広告ツールは、プラットフォーム的に利用できる。ブランドはどこにお金をかけるのかを考えるだけでいい。ロトゴーファーは現在、20人のインフルエンサーを活用するプログラムを実施しているが、さらに20人増やしたいという。同社の狙いは、高級品を好み、上昇志向が強い顧客にリーチすることだ。そのような人々は高価な製品を好むため、高価な物を手に入れようと宝くじを買ってくれるかもしれない。同社はまた、クリエイティブを提供している。「そのほうが、コスト効率がはるかに高い」と、タターソール氏は述べている。

価格は時間ベースで

メリットはほかにもある。ブランドのあいだでは、膨大な数のフォロワーを抱えるインフルエンサーはエンゲージメントが低いという考え方が長いあいだ支持されている。インフルエンサーマーケティングプラットフォームのマーカリー(Markerly)が、200万人のソーシャルメディア上のインフルエンサーを対象に実施した調査によれば、スポンサーつきでないインスタグラムの投稿に「いいね!」が付く割合は、フォロワー数が1000人未満のアカウントでは8%だったが、フォロワー数が1000~1万人のアカウントでは4%だった。

とはいえ、フォロワーの少ないインフルエンサーと提携すれば、リーチが犠牲になる。そこで、2種類のインフルエンサーを組み合わせることで成果を上げようというわけだ。「これはメディアと似ている。最大手のテレビネットワークとの提携を考えるのは、我々にとって難しい。そこで、さまざまなユーザー層でオーディエンスを独占している人たちを確保するのだ」。

「インスタグラムでは、広告主が提供しているクリエイティブの数が非常に多い」と、エンゲージ:BDRのCEO、テッド・ダーニック氏は言う。「クリエイティブはすでに存在している。だから我々は、プロセスを自動化するだけでいい。広告主がクリエイティブをアップロードし、インフルエンサーがそのクリエイティブを投稿する」。

価格は時間ベースで決定されることが多い。インフルエンサーは、対象の投稿を1~12時間ほど公開しておく。フォロワーの多いインフルエンサーは、ブランドから前払いで料金が支払われる。それ以外のインフルエンサー(フォロワーが10万人に満たないほとんどのインフルエンサー)は、パフォーマンスに応じたクーポンコードが提供される。投稿が優れたパフォーマンスを上げれば、支払いが行われるのだ。

変化しつつある関係

これは注目すべき動きだ。なぜなら、見方によっては、ブランドがエージェンシーのようにインフルエンサーを活用するという逆転現象とも言えるからだ。米DIGIDAYが以前に報じたように、大手ブランドは、インフルエンサーが使うクリエイティブを、直接インフルエンサーに作ってもらいはじめている。これは非常に大きな変化だ。インフルエンサーは、その安さと速さで、エージェンシーに代わってコンテンツ部門としての役割を担うようになった。インフルエンサーがブランドと「クリエーター」的な関係を結んだり、まがりなりにもブランドと出演契約を結んだりしていた初期の頃から大きく変わっているのだ。

フローリングを手がけるアーバンフロア(Urbanfloor)は、より高級志向の顧客にリーチし、高級な住宅や居住空間に参入したいと考えていた。同社のマーケティング責任者、ジョーダン・サンドバル氏によると、アーバンフロアはいま、50万人のフォロワーを抱えるインフルエンサー10人にコンテンツを提供し、インスタグラムで投稿してもらっているという。「このようなやり方は、いまのところ非常に新しいコンセプトだ。だが、この方法を試してみて、うまくいくかどうか確かめるつもりだ」とサンドバル氏は述べている。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by GettyImage