契約内容の明確化が進む、インフルエンサーマーケティング

これまでマーケティング戦略の脇役だったインフルエンサーマーケティングが現在、主役に躍り出ようとしている。それに伴い、より高い成果を上げるために、契約上の義務を細かく定め、ソーシャルスターの権利と広告主のニーズを保証する動きが進んでいる。

エージェンシーのデジタル・ブランド・アーキテクツ(Digital Brand Architects)は約2週間前、インフルエンサーとの契約内容を見直し、投稿のタイミングやコンテンツの権利など、これまで曖昧になっていた内容を明確化した。同社でパートナー兼シニアバイスプレジデントを務めるリーサ・レイク氏が、インフルエンサーマーケティング関連の女性団体「ウィーメン・イン・インフルエンサー・マーケティング(Women in Influencer Marketing)」が9月19日(米国時間)に開催したイベントで明らかにした。

「考えを共有することが重要」

デジタル・ブランド・アーキテクツは新しい契約で、ソーシャルスターの活動時間と投稿すべきタイミングを規定。ブランドに対しては、包括的なクリエイティブブリーフ(広告の指針を示した書類)の提供を義務付けた。ソーシャルスターは、このブリーフに従っている限り、コンテンツの作り直しを求められることがない。さらに、ブランドがインフルエンサーの投稿を利用もしくは再利用できる場所と期間も取り決めたとレイク氏はいう。

「ブランドとインフルエンサーが同じ考えを共有することが重要だ」と、レイク氏は説明する。「たとえば、ブランドがインフルエンサーに対して、『あなたはたくさんのフォロワーがいるので(クリエイティビティについては)信頼しています』と言ったものの、その人のコンテンツがクライアントの期待に添っていないことがある。従って、ブランドは包括的なクリエイティブブリーフを作っておくことが必要だ」。

一方、ドン・バックウォルド・アンド・アソシエーツ(Don Buchwald and Associates)でタレントエージェントを務めるジェシー・グロスマン氏によれば、同社は2カ月ほど前にパートナーシップ契約の内容を見直したという(ブランドの多くも、独自のメディア契約を結ぶ動きを見せはじめている)。見直しの狙いは、いったん作成されたコンテンツの編集を禁止する条項を盛り込むことだ。また、ブランドやエージェンシーに対してブリーフの作成を義務付けている。

「私のクライアントは、リピートされるビジネスを常に求めているし、成果物は一度で確定させたいと考えている。この条項は、クライアントを余計な仕事から解放するだけでなく、(ブランド側も)満足させ、中間業者が仕事をうまく回せるようするものだ」とグロスマン氏はいう。また、「(インフルエンサーとクライアントの)活動時間に関する取り決めを契約に追加するつもりだ」。

「契約書の言葉をより明確に」

タレント手配とマーケティングを手がけるエージェンシー、バイラルネーション(Viral Nation)の共同創設者でマネージングディレクターを務めるジョー・ギャグリース氏によれば、1年前にはクライアントの多くがソーシャルスターに細かい指示を与えていなかったため、コンテンツを作り直すことがよくあったという。そのため、彼のチームは1年をかけて包括的な契約書を作成した。

たとえば、インフルエンサーに対しては、各人に合わせたブリーフが提供されるようにした。このブリーフには、ストーリー展開、プラットフォーム別や投稿別の成果物、インフルエンサーの都合に合わせた推定投稿時刻、最低保証パフォーマンス、連邦取引委員会(FTC)による規則への準拠など、さまざまな取り決めが書かれている、とギャグリース氏は説明する。

「また、契約書に使われる言葉を、より明確にした」とギャグリース氏はいう。「たとえば、インフルエンサーに対して、単にブランドXはインスタグラムのストーリーを希望しているというのではなく、4つのコーナーで構成されるインスタグラムのストーリーを希望しているという風に明確化する」。

「ある種の浄化が起こっている」

インフルエンサーとの契約内容の見直しを以前から行っている企業もある。インフルエンサーマーケティング企業フーセイ(WhoSay)のCEO、スティーブ・エリス氏によれば、同社は、多くの小規模なエージェンシーが直面する前述のような問題に早くから対処してきたという。「いま、業界ではある種の浄化が起こっており、小規模な企業が、より細かく規定されたプロセスを採用するようになっている。今後は、より細かく規定された測定(アプローチ)が必要になるだろう」。

さらにエリス氏は、フーセイが最近行ったメディア契約の変更について説明した。具体的には、広告主に対して、インフルエンサーのコンテンツをソーシャルメディア以外の場所で使用できるオプションを提供しはじめたという。たとえば、テレビ広告、ラジオ広告、屋外広告、eコマース広告などでだ。もちろん、最初の契約で規定された場所以外でコンテンツを使用する場合は、追加の利用料金が発生するという。

匿名を希望する、あるパブリッシング企業幹部によれば、インフルエンサーマーケティングでは、たいていは、メディアの種類や投稿手段によって規定されたシンプルな固定料金が適用されるが、コンテンツ利用料が広告支出の規模によって決められることもあり得るという。「このような利用料金体系は、モデルエージェンシーやフォトエージェンシーといった古い業界で多くの先例がある。こうした業界では、利用料が最大の収益源となっている」と、この幹部は語った。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)