Appleの新AR機能、ブランド各社はいかに活用してるか?:イケアなど5社の事例

多くのブランドにとって、AR(拡張現実)は費用も高く、技術的にも難しいものだ。それが9月12日、AppleのiOS 11導入によって変化した。これを使えば、開発者が自らのアプリにARを簡単かつ迅速に組み込むことができるようになる。

オンライン家具販売のウェイフェア(Wayfair)や酒造メーカーのパトロンテキーラ(PatrónTequila)といったブランドは、ARアプリを導入、もしくは既存のアプリにAR機能を追加するなど、ARを有効活用している。それらのアプリ内ではバーチャルな物体が現実世界に飛び出すことができるため、ユーザーはそのアイテムが実際の環境にあったらどうなるのか、疑似体験することができる。

「(Appleによって)幅広い消費者のARに対する動きが加速することになった。ARヘッドセットやホロレンズは高価なので、大衆市場には受け入れられないだろう。しかしAppleのARキットなら、多くの人が手にすることができる」とスペース150のチーフ・イノベーション・オフィサーでキッチンカウンタートップ製造ブランドのカンブリア(Cambria)向けに、新たなARアプリを開発したマーク・ジェンセン氏は話した。ブランドのARキット活用法をいくつか紹介しよう。

イケア(IKEA)

how brands

大規模家具小売店であるイケアのARアプリ「イケアプレイス(Ikea Place)」では、ユーザーが2000点もの3D製品のなかから、家具の種類やイケアのデザイナーコレクション別に好きなアイテムを選び、身の回りの環境に配置することができる。

アプリを開くと、チャットボットから「ここに新しい家具を試してみますか?」と尋ねられ、カメラへのアクセス許可を求められる。その後、アプリがユーザーの前にある床をスキャンする。ユーザーは、家具を持ち上げ、移動させ、部屋を一周させることができ、商品のサイズ変更や画像撮影も可能。購入する場合は、タップすればよい。

いまのところ、アプリストア(App Store)には43件の評価が寄せられ、総合評価は星2.7個。あるユーザーは「ARの導入作としては素晴らしい」として星5つをつけている。検索バーがないことが不満だというレビューもあった。

パトロン(Patrón)

how brands 2

テキーラで有名な酒造メーカーのパトロンが9月20日にリリースした無料の「パトロン・エクスピアレンス(The Patrón Experience)」では、同ブランドがユーザーをメキシコのハリスコにある蒸留所、「パトロン大農場(HaciendaPatrón)」へといざなう。アプリを開くと、ユーザーは平らな場所を選び、自分のリュウゼツラン(テキーラの原料)畑を作るように指示される。それに従うと、画面上に蒸留所があらわれ、バーテンダーがその歴史や蒸留の過程、主要商品のテイスティングノートについて解説してくれる。このアプリは、リリース初日にAppleのアプリストアで6件の5つ星評価を取得した。

「我々は、消費者とパトロン大農場との物理的な壁を壊したかった。また、リュウゼツランの収穫やテキーラの作り方などが伝わる、透明な窓を提供したいと考えていた」と、パトロンテキーラのグローバルCMO、リー・アップルバウム氏は話した。

カンブリア(Cambria)

how brands 3

キッチン台や調理台のカウンタートップ(天板)を製造するブランドのカンブリアが提供する「カンブリアAR」は、アイランド型キッチンなどのカウンタートップをバーチャルに表現し、新しいカウンタートップを視覚化することができる。ユーザーは変更したいカウンタートップをスキャンして外周を線で囲む。そして10種類のデザインから好きなものを選択できる。

リニューアル前の同ブランドアプリでは、タイルデザインの平面的なイメージしか表示できなかった。Appleのアプリストアでは、リリース初日にユーザー5名から総合評価4.4(5点満点)の評価を取得。

ウェイフェア(Wayfair)

how brands 4

オンライン家具販売ブランドであるウェイフェアの最新版アプリには、「部屋の3Dビュー」と呼ばれる機能が追加されている。好みの商品を見つけたユーザーは画像下にある「部屋で見る」ボタンをタップする(アプリには「部屋で見る」ボタンがない商品もある)。するとその商品がカメラの視野内に表示される。

イケアのアプリ同様、ユーザーは商品のサイズを変え、回転させ、写真を撮ることができ、さらにはショッピングカートに追加することも可能。また、メールやショートメッセージ、そしてFacebookを通じ、確定した画像をシェアできる。ウェイフェアのアプリはすでにAppleのアプリストアで4.6の評価を受けているが、最新版アプリのAR機能については、まだレビューがついてない。

オーバーストック・ドットコム(Overstock)

how brands 5

オーバーストックの最新版アプリでは、ラグ、子供用家具、装飾用のアクセサリーなど、8種類のカテゴリから3D製品を選ぶことができる。ユーザーが製品画像の下にある「自分の部屋で見る」をタップすると、アプリが携帯電話のカメラにアクセスする。

イケアのアプリ同様、ユーザーは平面をスキャンするよう求められる。すると該当の製品が、大きさを示す目盛り付きの立方体に入った状態で表示される。ユーザーは、製品のサイズを変更し、回転させ、画像撮影し、ショッピングカートに追加することができる。

また、後で見るときのためにリストに保存することも可能。表示画面内には、アイテムをコピーする(最大4回)ボタンと、製品価格表示ボタンがある。アプリの総合評価は3.9だが、本記事執筆時点でAR機能についてのレビューはまだついてない。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:Conyac