スタバも参戦! ブランド企業のWeChatウォレット活用法

WeChatウォレットのインターフェイス

WeChatウォレットのインターフェイス

アメリカではコーヒーの支払いにはスターバックスのアプリを使い、Uber(ウーバー)で車を手配し、Amazonのショッピングアプリで注文を行う。しかし中国では、これらすべてをWeChatウォレット(WeChat Wallet)だけで済ませることが可能だ。

WeChatウォレットはApple Payと同様の機能をもち、ユーザーは商品やサービスを購入し、クレジットカードもしくはデビットカードを選択して支払いを行うことができる(主にアジアの銀行が利用可能。チェース銀行やバンク・オブ・アメリカなどは利用不可)。Apple Payと異なるのは、WeChatウォレットには親会社であるテンセント(Tencent)が所有するサービスも統合されており、8億人を超える月間ユーザーが、公共料金の支払いやパーソナルファイナンスの管理などもWeChatで行えるという点だ。また、数は限られているが、外部企業とも提携しており、それらはプラットフォーム上で容易に発見できる。

中国では会計時にWeChatが利用可能な店が数多くある。しかし、いまのところ同プラットフォームに独自のデジタルポータルサイトを所有できるテンセント外部企業は、わずか8社しかない。本記事では、そんなWeChatウォレットを活用する企業のうちの3社(スターバックス、JD、Didi)を紹介する。

スターバックス

スターバックスのコーヒーギフトをカスタマイズ

スターバックスのコーヒーギフトをカスタマイズ

同コーヒーチェーンは現段階でWeChatウォレットを利用する唯一のグローバルブランドだ。中国にある2500の店舗では、2016年12月に会計時のWeChat利用を開始した。今回のパートナーシップの一環として、スターバックスは2017年2月に、WeChatウォレット上でのデジタルコーヒーギフト券の導入をはじめた。

ウォレットを立ち上げるとスターバックスのロゴがあり、その上に「外部運営者提供」と書かれている。四角い枠をクリックすると同ブランドのマイクロサイトに直接移動し、友人にコーヒー1杯もしくはギフトカードを送信するオプションが表示される。さらにユーザーはバレンタインデーや誕生日、そして友情の証など、さまざまなギフトテーマを選択し、購入するごとにメッセージをカスタマイズすることもできる。

長年中国に滞在するギトリン・グローバル・コンサルティング代表のサウル・ギトリン(Saul Gitlin)氏は、スターバックスがWeChatウォレットに参入したことで同ブランドの来客数増加と増分収益につながると考える。「WeChatウォレットがなければ、中国でスターバックスのコーヒーをギフトにしようとは、誰も思いもよらなかっただろう」と、ギトリン氏はいった。

JD

eコマース大手のJDは中国でアリババ(Alibaba)最大の競合相手のひとつだが、JD.com株の20%以上はテンセントが所有している。「Specials(スペシャル)」をクリックするとJDのサイトへ移動し、ショッピングカートを利用したり商品を購入できる。

JDでの買い物にWeChatウォレットを利用

JDでの買い物にWeChatウォレットを利用

JDの国際企業行動部門のバイスプレジデント、ジョッシュ・ガートナー(Josh Gartner)氏は2014年以降、WeChatが同社にとって重要な存在になっていると説明。JD.comのサイトをはじめて訪れるビジターの25~30%がWeChatを経由しており、「独身の日」などの大きなショッピングイベント期間中になると、その数値は50%にまで向上すると、ガートナー氏は話した。

そこには数字の駆け引きもある。戦略的広告提携のもと、テンセントはWeChatをフォローするパブリックアカウント所有者のデモグラフィックデータをシェアしており、JDもまたトランザクションデータを所有している。両社がおのおのもつデータを組み合わせることで、広告主がWeChatで特定の購買層にターゲティングを行うことができるとガートナー氏は説明した。

「我々が協力することで8億人のWeChatユーザーのうち、たとえば100万や200万人のオーディエンスにターゲットを絞り込むことができる」と、彼はいった。

Didi

JD同様、Didiもテンセントの支援を受け、2014年にWeChatウォレットに参入。同社がWeChatウォレットに登場したことで、ユーザーはDidiのアプリをダウンロードしなくてもタクシーを呼べるようになり、DidiはUberに対して競争力を手にすることができる。

Uberは2016年8月、中国での経営権をDidiに売却した。

WeChatウォレットが上記のブランドやサービスを付加することでエンドユーザーに利便性を提供する一方、中国国外への拡大には多くのハードルがあるとギトリン氏は考える。大きな例としては、WeChatが国外ユーザーを増やし、同プラットフォームで取引を行うグローバルブランドを誘致する必要がある、ということだ。さらに同社最大のライバルであるアリババ関連モバイルウォレットのアリペイ(Alipay)は、中国人旅行客が国外でアリペイを使いやすくするため、2016年8月にヨーロッパの製造業者との販売関係拡大に乗り出している。

「中国を一歩出れば、アリペイやWeChatウォレットはほとんど知られていない」とギトリン氏はいった。

YUYU CHEN(原文 / 訳:Conyac