2年で売上倍増させた、ナイキのデジタルチャンネル活用法

ナイキ(Nike)は、ライバルへのリードを保つために顧客データの掌握に取り組んでいる。最新の四半期決算報告で諸計画の詳細を明らかにした。今回はマーケター向けの要点をまとめて紹介する。

アプリでの販売

ナイキのオンライン売上は2年間で倍増し、20億ドル(約2300億円)を突破。なかでもアプリベースの販売が急上昇しており、ユーザーの支出額で比較すると、アプリはNike.comの3倍近くになるという。こうしたトレンドに乗り遅れそうな小売業者にとっては不吉な知らせだ。

ただし、「ナイキはアプリ内体験とオンライン体験で確固たる価値を提供しなければならない」と、イノベーションエージェンシーのKBSアルビオン(KBS Albion)でグループCEOを務めるポール・ジャキムシウ氏は指摘する。ナイキが今後戦うのは、ランニングとサイクリングのトラッキングアプリ「Strava」や、YouTubeのワークアウトチュートリアル動画といった新たな競争相手になる。

体験と販売のバランスを取るときの落とし穴は、過去のユーザーたちの反応から明らかだ。アンダーアーマー(Under Armour)による「マイフィットネスパル(MyFitnessPal)」の買収や、「Nike+」の再設計におけるナイキ自身の失敗で、データの消去や人気機能の削除がユーザーたちの怒りを買うことになった。

Amazon効果

eコマースの巨人を数年にわたり拒絶してきたナイキだが、Amazonで商品を販売を開始することについては、すでにあちこちで書かれている。市場調査会社NPDによると、Amazonで販売しているアディダス(Adidas)は昨年1月、米国のスニーカー市場でナイキを食ってシェアを倍増させたという。

Amazonでのシューズ販売は、短期的にはナイキに成果をもたらすかもしれないが、長期的には、Amazonによる価格設定がナイキのビジネスとブランドにどう影響するかという問題がある。Amazonの元従業員のエレイン・クォン氏は6月に「Racked」のインタビューで、「Amazonでの大量販売は、ブランド価値の下方スパイラルを生む」と述べた。

ソーシャルでの販売

ナイキは、インスタグラム上のファンが同プラットフォームで直接製品を購入できるようになることを明らかにした。Twitterなど、ほかのパートナーとのこれまでの取り組みを拡大したものだ。問題は、スニーカーのような高額商品がソーシャルメディアでの購入に向いているかどうかだ、と若者向けエージェンシーのリビティ(Livity)でシニアストラテジストとイノベーション責任者を務めるフェレックス・モーガン氏は指摘する。

「もちろん、ユーザーはインスタグラムにアクセスして新製品に触発されているが、こうしたくつろいだ環境での売り込みを求めているだろうか?」と、モーガン氏は疑問を呈する。「過剰な売り込みという印象を与えてしまうと、消費者にとって不快な体験になり、ナイキのライフスタイルの魅力が損なわれるかもしれない」。

オンとオフの連携

ナイキはデジタル化の一環として、全世界で人員の2%を削減し、シューズのモデルの4分の1を廃止する予定だ。しかし、広告の専門家らは、物理的な店舗を無視はできない警告する。

「あらゆる小売業者は、実店舗とデジタルストアの両タイプに適応する必要がある。つまり、両者をより緊密に連携させ、それぞれの長所を統合した体験を提供しなければならない」と、ラルフ・クリエイティブ(Ralph Creative)の創業者であるクリス・ハッセル氏は語る。「小売業者が真のデジタル化に注力していけば、アプリを介した決済や、少なくともオンラインとオフラインの注文履歴の統合など、ストア内の大きなイノベーションが実現するだろう」。

Seb Joseph (原文 / 訳:ガリレオ)