SNS対応が劇的改善、米バーガーチェーンの仕組みづくり:回答に擁する時間は最高45分

油まみれのフライドポテトや注文とは異なるハンバーガーが来たことへの苦情に対応するのは、最悪な仕事のように思えるかもしれない。しかしそうした仕事も、うまく対応できさえすれば苦痛になるとは限らないはずだ。それが、全米ハンバーガーチェーンのジャック・イン・ザ・ボックス(Jack in the Box)が1年前、カスタマーケアのコールセンターをすべて閉鎖し、カスタマーサービスを完全にオンライン化したときに気付いたことだという。

「カスタマーサービスはこれまでずっと無視できない業務の一部であったが、カスタマーケアをソーシャル上に移すことで、顧客とよりパーソナルな1対1の関係を築くのに役立てることができるはずだ」と語るのは、ジャック・イン・ザ・ボックスのマーケティングコミュニケーション担当ディレクター、エイドリアン・インゴールド氏。「それは、他社との競争において強みになり得る」。

月2万5000件のメンション

ジャック・イン・ザ・ボックスの「ソーシャルカスタマーケアチーム」を構成するのは、10人のブランドマネージャーとゲストリレーションマネージャー。彼らは、ソーシャルメディア上に流れるジャック・イン・ザ・ボックスに関する投稿を探し、それらに対応する。対象はTwitter、Facebook、そして最近増えつつあるインスタグラムだ。

これは簡単な作業ではない。なにしろ、ジャック・イン・ザ・ボックスのフォロワーは、Twitterで7万9000人近く、Facebookで120万人超、インスタグラムでは4万人超となっている。コメントや投稿は、月に2万5000件以上寄せられる(平均すると2分間に1件)。特別な販促キャンペーン中は、その数が急増するという。

目標は、単にタイミングよくカスタマーの苦情に対応することだけではない。トラブル解決にかかる費用を抑えることも目標のひとつだと、インゴールド氏は語る。従って、対応するスタッフの数を増やすことは、ジャック・イン・ザ・ボックスにとって解決策ではなかった。ただ人数を増やすのではなく、社内に適切な仕組みを整え、個々のスタッフの強みを生かすようにすることに注力したのだそうだ。

全体でフォローする体制

このプロセスを効率化するため、ジャック・イン・ザ・ボックスは、ソーシャルメディア管理サービスを提供する企業、スパークセントラル(Sparkcentral)のカスタマーエンゲージメントプラットフォームを導入することを選択した。このプラットフォームには、感想やハッシュタグを追跡して、寄せられるコメントをより効率よく体系化するといった機能がある。こうした機能を利用すれば、問い合わせの内容別にチーム内の適切なスタッフに回すことができるのだ。ブランドに関する言及には、ブランドマネージャーが対応し、個々の苦情はゲストリレーションチームが対応することになる。

たとえば「#朝食 のクロワッサンには成型肉のハムを使用しているのか?」というツイートがあった場合、ゲストリレーションチームはツイートに含まれたハッシュタグとブランドについてのコメントに注目し、直接メッセージを送って詳細を尋ね、問題を解決できるような体制にするという。

「考え方としては、さまざまな従業員がカスタマーからのあらゆる種類の質問に応える体制を整えたい。適材適所で質問に対応するという感じだ」と、インゴールド氏は説明する。結局のところ、顧客の声をまとめるダッシュボードを管理することと、社内のワークフローを整え、そのチーム中心で組織を運営することはまったく別の話なのだ。「一部の誰かがソーシャルカスタマーケアをすべて『請け負わなければならない』という問題を回避できたことによって、我々は優れた結果を出せている」。

おおよそ45分以内に回答

ジャック・イン・ザ・ボックスがこうした変革を実施して以来、大多数のコメントに対する回答時間は、勤務時間帯であれば45分以内に収まっていると、インゴールド氏は話す。ソーシャルアナリティクス会社アンメトリック(Unmetric)がデータ分析したところでは、一般企業における平均的な回答時間は、13時間近くだという。

ライバル企業のファイブ・ガイズ(Five Guys)やマクドナルド、バーガーキングの平均的な回答時間は、さらに多い。これらのチェーンも、1年前の2015年と比べてかなり改善しているが、平均で20時間超となっている。

アンメトリックによると、こうした移行により、ジャック・イン・ザ・ボックスに対するソーシャルでの意見も改善。否定的な意見は減り、好きでも嫌いでもないという意見が増えているという。だからこそ同ブランドは、問い合わせに答えるだけでなく、消費者との関係を築き、願わくはブランドのサポーターになってもらうことを優先しているのだそうだ。

社内で一元化した戦略

カリフォルニア州の男児の双子(9歳)が、同ブランドのミニクッキーの販売打ち切りにクレームをこぼす動画が投稿されたときには、ソーシャルカスタマーサービスチームが彼らにミニクッキーを1箱送った。

「カスタマーは、自身の要求が認められることを常に期待して投稿しているわけではない。だが、我々がそれらに応えることによって、顧客を非常に熱心なファンに変えた」。

同ブランドは今後、こうした「いつまでも続く」カスタマーとの関係性をよりうまく構築したいと思っている。一部のブランドはカスタマーサービスに対するアプローチを分権化しようとしているが、ジャック・イン・ザ・ボックスは、社内で一元化した戦略を維持する意向だ。ただし、メッセージングアプリやチャットボットなど、ほかのプラットフォームも、今後試していくという。

「こうした努力のおかげで、我々は全国レベルの広い視点から物事を見ることができる」と、インゴールド氏は締めくくった。

Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)