ストーリーテリングのため、いかにデータ活用をすべきか?:コカ・コーラ、アメックスなどの最新事例

ブランド企業はストーリーテラーになりたいと考えている。そしてデータをもとに、どのコンテンツが効果的かを知りたがっている。難しいのは、それを実現するための判断基準だ。

9月7日に行われた米DIGIDAYのイベント「Hot Topic:データドリブンマーケティングワークショップ」には、世界中にフィットネスジムを展開するエキノックス(Equinox)やコカ・コーラ(Coca-Cola)、アメリカン・エキスプレス(American Express)、ゴールドマンサックス(Goldman Sachs)のオンライン融資プラットフォームであるマーカス(Marcus by Goldman Sachs)の経営幹部が集まり、データに基づくストーリーテリングについて意見交換が行われた。彼らの意見の一部をお伝えしよう。

なお、発言の意図を明確にするため、一部に若干の編集を加えている。

リターゲティングを実施

エキノックスのブランドマーケティング部門バイスプレジデント、カーラ・ダナム氏

当社はソーシャルプラットフォームやeメール、検索などを通じてミレニアル世代にリーチしている。その際にベースとなっているのは彼らのエンゲージメントや興味に基づいたリターゲティングだ。たとえば、見込み客がフィットネスクラブのピラティスに興味を持っている場合、それに基づいたリターゲティングを行う。

また、日常的にフィットネスクラブを利用してもらうため、当社はダイナミックなメッセージングを行うアプリを提供している。このアプリはディープなデジタル体験ではなく、使いやすさを意識している。クラブの設備とコネクテッドな機能を提供しており、さらに日夜さまざまな改善を行っている。たとえば会員の習慣や考え方を知るため、ブランドキャンペーンや当社のデジタル雑誌「ファーザーモア(Furthermore)」のコンテンツに至るまで、ライフスタイルに関するコンテンツを活用している。2017年のボストンマラソンでは、会員に向けてアプリやeメール、ソーシャルプラットフォームを通じて瞑想に役立つポッドキャストを紹介した。このときはフィットネスクラブでのメンバーの活動に基づいたターゲティングを行い、それ以外のコンテンツへのリターゲティングも実行している。

意味ある判断基準を探す

コカ・コーラ社、デジタル通信およびソーシャルメディア部門の前グローバルグループディレクター、ダグ・バスク氏

我が社にとって重要な基準となるのはエンゲージメントだ。たとえばTwitterで単にリツイートされたからといって、その人がコンテンツに本当に魅力を感じているとは限らない。だがもし、その人がツイートを引用してコメントしていた場合、それは本当のエンゲージメントだ。

データに基づくストーリーテリングでもっとも大切な課題は、意味のある判断基準を探し当てること、探し当てたらそれをひたすら調整しながら改善していくことだ。アメリカでのコンテンツのエンゲージメントの話をするならば、いまでもFacebookがトップだ。それに続くのがGoogleアプリのフィードやAppleのNewsアプリ、そしてLINEやWhatsApp(ワッツアップ)といったメッセージングアプリ。そしてAmazon Alexa(アレクサ)といった音声アシスタントだ。

データに頼りすぎない

アメリカン・エキスプレス、ソーシャルメディアおよびコンテンツおよびデジタルマーケティング部門バイスプレジデントのジーニー・チュウ氏

データは重要だが、データが必ずしも優れたストーリーテリングにつながるとは限らない。ときにはブランドの観点からクリエイティブに考えて判断する必要がある。

たとえば当社がティナ・フェイを起用した「ライフティップス(life tips)」というCMでの話だ。当社のデータでは、人は人生の重大な局面に差し掛かったとき自分の収支について見つめ直すことを示すデータが沢山あった。たとえば最初に子供ができたときとか、はじめて家を買ったときになどだ。だからチームのなかには、はじめて子供を持った親についてのCMにすべきだと主張する同僚もいた。だが、すでに2人の子供がいるティナ・フェイにその役をさせるのは無理がある。結局私たちは、CMの最後でティナにはじめて子供を持った親にお祝いを送らせることにした。

ユーザーニーズに立ち返る

ゴールドマンサックスの融資プラットフォーム、マーカスでブランドマネジメントおよびマーケティングコミュニケーション部長を務めるダスティン・コーン氏

メッセージングやWebデザイン、広告、商品の特集やエージェントとのやりとりでデータに基づくストーリーテリングを利用している。当社のデータによれば、たとえば信用度が高く、クレジットカードの負債があるアメリカ人の77%が、個人ローンを負債の返却にあてられることを知らない。ほかにも調査で、気づかぬうちに口座から引き落とされる銀行手数料にいらだちを覚えている人が多いことも判明している。マーカスではそれを受けて、借りる人がいままでより利息を払わなくて済む、低い定率ローンを提供したり、手数料のいらない商品を用意したりしている。

また、インフォグラフィックやソーシャルメディアの投稿といった形でデータを分析したコンテンツを提供することで、消費者がどのように負債を管理するのが良いか学べるよう心がけている。そうした当社のコンテンツの大半はFacebookやTwitterで見ることが可能だ。当社はいいね!やシェアやコメントといったエンゲージメントを(コンテンツマーケティングの)基本的なKPIとして定めている。

Yuyu Chen(原文 / 訳:SI Japan)
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