「テレビCMでの認知度は0%、デジタルでは23%だった」:ハイネケンCMOが考える広告の未来

ヌーノ・テレス氏は、ハイネケンブラジルでのCMO(最高マーケティング責任者)としての素晴らしい手腕を買われ、ハイネケンUSAのCMOに指名された。ブラジルにおける4年間のCMO在任中に500%の成長率を達成したテレス氏は、この2年間、米国で数々の新たな課題に取り組んできた。

なかでも最重要課題は、これまでテレビ、屋外広告、ラジオCMに頼ってきたハイネケンのブランドを、デジタル時代に適応させることだ。テレス氏はデジタルを主軸に据え、この2年間、マーケティングの意思決定をデータドリブンなアプローチに基づかせることに取り組んできたという。

一部編集したインタビューを以下にお届けする。

ミレニアル世代はビールを飲まない

大手ブランドのビールは、若い世代において二重の脅威にさらされている。ワイン消費が伸びていることと、ビール好きの若い消費者がクラフトビール志向を強めていることだ。ハイネケンにとって、これは大問題だ。

テレス氏は、「我々はいま、全力を挙げてミレニアル世代の消費者理解に努め、どうすれば彼らにリーチできるかを探っている最中だ」と述べた。その方法のひとつが、スピードを重視することだ。「(ブランドへの)忠誠心の時代は終わった」と、同氏はいう。

ハイネケンの調査によれば、いま消費者が同じブランドのビールを買うのはせいぜい年に2回だ。「広告頻度を増やすか、浸透度を強化するのか、それが問題だ」。

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ヌーノ・テレス氏

答えは浸透(と、プログラマティック)にあり

テキーラ・フレーバーのビール「デスペラードス(Desperados)」をジョージア州で発売した際、ハイネケンはテレビとデジタルメディアを併用して宣伝した。後者はFacebookを利用し、時間帯と位置情報にもとづいたデジタル広告を掲載した。テレス氏は、「テレビCMによる認知度は0%だったが、デジタルでは23%だった。我々が大きく変えたのは、消費者へのリーチの仕方だ」という。

この方針に立って、ハイネケンは予算の25%をデジタルに、そのうち10%をプログラマティックに配分した。問題はもちろん、データだ。米国内における酒造業者への販売規制法令のため、ハイネケンはファーストパーティー・データをほとんど入手できないのだ。

もうひとつの例が「ハイネケン・ライト(Heineken Light)」キャンペーンだ。俳優ニール・パトリック・ハリスを起用し、デスクトップとモバイルの両方で展開したこのビデオ広告キャンペーンは、テレス氏によると、3日間で3500万人(大部分がターゲットの年齢層)にリーチしたという。テレビネットワークには程遠い数字だが、テレス氏は、「これは浸透率の強化の一環だ。我々は、関連性の高いメッセージが必要だ」と述べている。

ハイネケンは売上を重視している

テレス氏はデータロジックス(Datalogix)社との緊密な連携を推し進め、キャンペーンが実際の売上にどれだけ貢献しているかを測定したという。「プログラマティックは我々にとって非常に合理的な選択だが、知りたいのは、どうすればそれが売上への貢献につながるかだ」。

そのため、UEFAチャンピオンズリーグでは、ふたつの異なるスポット広告を試している。ひとつはラテン系俳優を起用したもので、もうひとつは一般市場向けのものだ。売上への効果は大きく異なるという。「(米国とラテンアメリカの)ふたつの文化をもって生活している消費者は、同じ背景をもつ俳優とつながりを持つことに、一般消費者よりも強い関心を示す」。

テレス氏によると、ハイネケンは現在、消費者をセグメント(社内では「ペルソナ」と呼ばれている)に分類し、アドトラッカーを利用して、消費者がどこで広告を見るのを止め、いつ「終了」をクリックするのか、といったことを調べている。「こういった情報がますます重要になってきている」ためだ。

スピードを重視した社内改革

ハイネケンは社内にデザインチームとプロダクションスタジオを立ち上げ、コンテンツ制作の活性化も図っている。プログラマティック広告を基盤とする戦略をとる上で、こうした部署は必要不可欠だ。

オーディエンスのセグメント化をもっと精緻なものにするため、コンテンツがもっと必要だとテレス氏はいう。「我々も、我々のパートナーも、フレキシブルでなければならない」。

最大の課題は、イノベーションの維持

ハイネケンは以前から「イノベーション率」と称して、売上に占める新製品の割合を記録してきた。現在のイノベーション率は9%だ。「難しいのはイノベーションの維持だ。市場に新たな提案や商品を示して、最初の年に何百万ドルかの売上を計上するのは、さほど難しくない。問題は2年目、3年目だ」と、テレス氏。

最近のイノベーションは、ビールとレモネードを混ぜた「ラドラー(Radler)」や、バーの未来コンセプトを具現化して、複数の都市に設置した「ポップアップ(期間限定)・シティ・ラウンジ」などだ。テレス氏は「業界での地位に安穏としてはいられない」と語った。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via Sami Keinänen