スタトレ俳優 G・タケイ氏に学ぶ、インフルエンサーの心得:フォロワーは本音を求める

俳優のジョージ・タケイ氏は、かつて『スタートレック』のヒカル・スールー役でスターダムにのし上がった。だが現在、彼は第一級のソーシャルメディアインフルエンサーだ。Facebookのファンは1000万人、Twitterフォロワーは200万人を超え、インスタグラムのフォロワーも100万人に迫る。

79歳のタケイ氏は、そのリーチを生かし、性的マイノリティの権利拡大やイスラム教徒の登録制度反対など自らの主張を打ち出すほか、Mic(マイク)などのパブリッシャーのコンテンツをシェアして、自らのオーディエンスに広めるキャンペーンも展開。実は、彼のソーシャルアカウントは一人舞台ではない。同氏は、ソーシャルインフルエンサー向けサービスを提供するソーシャルエッジ(The Social Edge)に、アカウントの管理とキャンペーンなどの契約締結を委託しているのだ。

「ユーモアの表現力やコメディの才能に恵まれたタケイ氏は、インフルエンサーにぴったりだ」と、ソーシャルエッジのCEOを務めるロレンゾ・ティオーネ氏は語る。

タケイ氏は、Facebook上でイスラム教徒を擁護している

タケイ氏は、Facebook上でイスラム教徒を擁護している

投稿は「本物」であるべき

タケイ氏は、FacebookやTwitterの投稿は「本物」でなければならないと強調した。ただし、バランスを保つのは必ずしも容易ではない。フォロワーは常に本音のコンテンツを求めていて、広告を見ればすぐに気づくからだ。大勢のフォロワーを抱えるセレブが、ソーシャルマーケティングで失敗をさらした例は、枚挙にいとまがない

タケイ氏のフィードに多いのは、SFジョークや、LGBTの権利や社会正義に関連する真摯な投稿だが、報酬を受けてMicやノワブル(Knowable)などのパブリッシャーの記事をシェアすることも多い。フォロワーの一部からは、タケイ氏はFacebookにクリックベイトを投稿しすぎだとの苦言も出てきた

タケイ氏はそうした声を受け、ソーシャルは自身にとってSFオタク以外の層にリーチする手段であり、シェアする記事は自らの政治観や唱道する理念に合致するものだと主張している。

すべての投稿にコミット

「Facebookページをビジネスと考えたことはない」と、ニューヨークで1月13日に開催された「インフルエンス+エンゲージ(Influence + Engage)」カンファレンスでの基調講演のあと、タケイ氏は述べた。「私がソーシャルを使う目的は主に、自分に関連のある社会問題について伝えること。たとえばLGBTの権利や、イスラム教徒登録制度、東日本大震災などだ。どのレストランに行ったとか、どんな車を運転しているか、といったことは話題にしない」。

ソーシャルエッジの7人体制のチームがタケイ氏を担当し、記事の提案や、投稿スケジュールの管理、指標の分析を実行している。ソーシャルへの投稿はすべて、タケイ氏が承認したか、自分で書いたものだ。

「私は、ジェイ・クオ(タケイ氏主演ミュージカル『Allegiance[忠誠]』の作家)の台本を手直しすることもある」と、タケイ氏は明かす。「最近は文化的水準が下がっていて、劇場に行くと、短パンにサンダルの客を見るようになった。だからこそ我々は、ある程度の水準を保つ必要がある。文法は我々のコミュニケーションにおいて大きな役割を担う。アポストロフィーがひとつ抜けただけで、文全体の意味が変わることもある」。

謂れなきかつての批判

Refinary29

タケイ氏がシェアした「リファイナリー29(Refinery29)」の記事。彼がこの投稿で報酬を得たかどうかは不明

タケイ氏の「チーム戦術」は、かつて批判を浴びたことがある。2013年、メディアブロガーのジム・ロメネスコ氏は自身のブログ記事のなかで、コメディライターのリック・ポリート氏がタケイ氏のFacebookページ用に1件10ドルでジョークを書いていると暴露した。

この暴露をめぐり、ネット上ではタケイ氏の姓を「Fakei(fakeは[偽の]の意味)」に改めるべきだとするジョークが飛び交った。ポリート氏はのちに、次のように釈明した。「私はタケイ氏のFacebookページを更新していない。同氏と直接連絡を取り合ったことはない。ネットミームをいくつか送ったことはあるが、ほかのコメディアンもやっていることだ。彼が拡散してくれてうれしい」。

タケイ氏は「ワイアード(Wired)」の取材に対し、メールで以下のようにコメントした。「私のFacebook投稿がどうしてこんな騒ぎに? (同性婚をしている)夫のブラッドと、インターン数名には手伝ってもらっているが……。コメントは私が書いている。正真正銘、私のものだと断言する」。

トランプが目下最大の論敵

タケイ氏は、自分は図太いので、ソーシャル上で他人から批判されることを恐れていないと話す。今後も自分の政治観を反映した投稿を続け、米大統領選を受けて混乱したフォロワーに道を示していくつもりだ。つまるところ、タケイ氏にソーシャルでもっとも影響を及ぼした人物はほかでもない、トランプ次期大統領なのだ。

「ドナルド・トランプ氏は我々にとって目下最大の論敵だが、私が思うに同氏は核となる価値観をもっていない」と、タケイ氏は語る。「彼の言動はあまりに変わりやすい。我々がトランプ氏に求めるのは、最後までしっかりコミットすることだ」。

本当に悲しいことだ。次期大統領に我々が感じるのは、あふれんばかりの嫌悪、羞恥。彼には一国の指導者どころか、飼い犬の世話すら任せたくない。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo courtesy of Victoria Will/Invision/AP