ファッション再販スタートアップ、資金調達でバブルの様相:国際的な成長レースに突入

ベンチャーキャピタリスト(VC、投資家)とファッションスタートアップはいつも意見が一致しているわけではない。

まず、性別に大きなギャップがある。多くの場合、ファッション企業の創業者は、VCパートナーから自社を守らなければならないが、VCパートナーの92%はオンラインショッピングにあまり時間をかけない男性だ。また、小売業界には高リスク、低報酬という評判もある。そこは、Amazonのような、すでに地位を確立した企業が支配する分野で、ソフトウェアやヘルスケアといった急成長産業と同じ利益は見込めない。

しかし、投資家たちはファッションテック分野のひとつ、オンライン再販マーケットプレースに対して、大きな賭けに出ている。

投資家たちが群がる理由

2009年から2012年のあいだに、「ヴェスティエールコレクティブ(Vestiaire Collective)」「スレッドアップ(ThredUP)」「ザ・リアルリアル(The RealReal)」「スレッドフリップ(ThreadFlip)」「ポッシュマーク(Poshmark)」「トレードシー(Tradesy)」「トワイス(Twice)」「バンテ(Vaunte)」などのサイトが出現し、再販品のショッピングトレードがデジタルマーケットプレースに導入されたことで、オンライン委託ビジネスが拡大した。 その最初のブーム以来、リーディング企業はますます繁盛する一方、競争力のない企業は競合に吸収されたり、撤退を余儀なくされている。

ファッション投資コミュニティ、ファッシインベスト(FashInvest)のデータによると2016年、投資家はオンライン再販業界に1億7500万ドル(約200億円)以上を注ぎ込んだ。遅かれ早かれやってくるバブル崩壊という懸念は付きまとうが、まだそれは起こっていない。パリを拠点にしたラグジュアリー商品のオンライン再販プラットフォーム「ヴェスティエールコレクティブ」は、ベンチャー企業ビトルビアン・パートナーズ(Vitruvian Partners)による1月下旬の資金調達ラウンドで、6200万ドル(約71億円)を確保した。

その直近の資本投入をもって、5回にわたる資金調達ラウンドで総額1億3000万ドル(約149億円)を調達している。このラグジュアリー商品委託販売マーケットプレイスは、特に米国およびアジアでの国際的な拡大を視野に入れている。業界トップを争う競合企業も同様に資金調達ラウンドで多額の資金を獲得。「ザ・リアルリアル」は総額1億2200万ドル(約140億円)を調達、「スレッドアップ」にいたっては、1億3100万ドル(約151億円)を調達した。

「投資家にとって魅力的なのは、これらの企業が在庫に頼らずコミュニティ主導型になっているという点だ。いまは中古品を買うことがトレンディ―で、投資家はいま起こっていることを追いかける。投資家は消費者のお金が向かう先に注目し、現在はこれらの企業に資金を投入している」とファッションインベストのエディトリアルディレクター、アッシュリー・パイントシル氏は語った。

理にかなったマーケットプレイス

突如現れたホットボタンといった、これまでのファッションテックトレンドとは違い、委託ビジネスはフラッシュセールスやサブスクリプションモデルのように、消費者にとって目新しいものではない。投資家にとっては、買い物客がバーキンのバッグやビンテージシャネルの購入を単純にやめることはないため、消費者行動が予期できないということがなく、このマーケットプレイスは理にかなっているというわけだ。

この分野のオンライン企業が知らなければならないことは、いかにして多様な在庫を持つか、献身的なコミュニティ維持ができるか、また、ラグジュアリー商品を扱うサイトに必要な迅速で信頼性の高い認証手続きを行えるかだ。

マーケットプレイス間の競争は国際的なタイトルにも手を伸ばしつつある。

「インターナショナルなカタログとコミュニティをもつことが我々の強みだ」と、再販品を取り扱うサイト「ヴェスティエールコレクティブ」の米国市場担当、サミナ・ビーク氏はいう。「我々は世界中の女性たちのクローゼットを結びつけたい。現在、アメリカの女性たちはアメリカのサイトでそれを実際に利用することができない。ここは強力な差別化要因になる」。

最終的にオンラインラグジュアリー委託ビジネスの競合他社は、同じ限りのある在庫でしのぎを削っているため、ビーク氏は成長の鍵となる新しい市場で足場を固めようとしている。

クローゼットの中身が焦点

「すべての小売やeコマースモデルは供給に依存する。その供給とは人々のクローゼットのなかにあるものだから、米国の多くの再販業者は同じ供給と消費者をめぐって戦っている。私たちは在庫を購入することに依存するのではなく、人々をまきこんで、クローゼットの中身を見せてもらうことに重きを置いている」とビーク氏。

投資会社、ブルーランベンチャーズのパートナー、シェリル・チェン氏によれば、オンライン委託企業間の競争は、最終的にはもっとも大切な顧客たちを手中に収めることができるのは誰かということにまで掘り下げていくことになるだろうという。

「技術を中心にして本当の差別化を図れない。どのwebサイトがより速いとか、あるモバイルサイトがものすごく素晴らしいということではない。人々が望むものを、どれだけ多く手に入れることができるかが重要だ。これは消費化計画のゲームであり、バーニーズ(Barneys)やニーマン・マーカス·グループ(Neiman)と、さほど変わらない。

「ここにリスクは、まったくない」

最高のオンライン経験ともっとも価値ある在庫の獲得について決着が付くまで企業たちが戦い続けるあいだ、投資家たちはその成長の可能性について強気な姿勢を崩さない。

「ここにリスクは、まったくない」と、パイントシル氏は語った。「サービス開始当初から、人々は再販品の購入を続けている。そして、いまではザラ(Zara)の新商品を取り上げるよりも、古いグッチ(Gucci)のコレクションをオンラインで見つけたことの方が、より話題になる。この業界はこれからも成長を続け、それぞれの市場で約4、5社ほどが主要企業として現れることになるだろう」。

チェン氏によると、そのうち世界的な業界再編、つまりオンラインラグジュアリー委託ビジネス向けに、イーベイ(eBay)のような、ひとつの支配的なマーケットプレースの台頭が予見できるという(彼らの再販ビジネスの取引額は大きくないため、大衆向けの衣料品に焦点を当てた「スレッドアップ」のような企業は消えていく可能性がある)。

「今日、新たにアメリカの会社から私のオフィスに来て、『ザ・リアルリアル』をもう一度手掛けるとしたら、私は『幸運を祈る』と言葉を贈るだろう。大きな市場では、それぞれたったひとりの勝者しか生き残れない。しかし、国際レベルでは別の話だ。ラグジュアリー市場はいつもグローバルだ。だが、米国企業はアジアをいつも理解しているとは限らず、その逆もまた然り。グローバル化には余地がある」と彼女は述べた。

Hilary Milnes(原文 / 訳:Conyac)
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