プレミアリーグの5クラブに学ぶ、ソーシャル動画戦略:それぞれの最強プラットフォームは?

英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドが2014年にフアン・マタ選手と契約したとき、そのニュースはクラブのウェブサイトから堅苦しいプレスリリースで伝えられた。それから2年後の昨年8月、ポール・ポグバ選手が同クラブに再合流したとき、その移籍は英新進アーティストのストームジー(Stormzy)をフィーチャーしたTwitter上のPV風動画を通じて発表された。

サッカーのファン基盤が国際的な広がりをみせるなか、英国のトップクラブにとって、ソーシャルメディアはかつてないほど重要になっている。2016年のプレミアリーグ終了時、所属クラブがFacebook、インスタグラム、Twitterでリーチしたファンの数は、合計で3億500万人にのぼった。

だが、ソーシャルアナリティクス企業バースト・インサイツ(Burst Insights)の最新レポートによると、こうしたソーシャルの成功は、どのプラットフォームでも一様というわけではない。あるソーシャルプラットフォームでは、特定のクラブがほかを圧倒しているというのだ。バースト・インサイツでCEOを務めるマイク・リットマン氏は、「クラブごとに大きな違いがある」と解説する。同氏のチームは、20のクラブが昨年のプレミアリーグで作成した952本のショートフォーム動画を分析した。「事前に計画した総合的なコンテンツ戦略に忠実なクラブもあれば、いまもあれこれ試している途中のクラブもある」。

以下にて、バースト・インサイツのレポートからソーシャル動画を活用するトップ5クラブを取り上げ、クラブが選んだプラットフォームへのアプローチの特徴を紹介する。

■ マンチェスター・ユナイテッド

最強プラットフォーム:Twitter
プレミアリーグに関連するソーシャル動画のエンゲージメントをバースト・インサイツが数値化した番付で、首位に立ったのはマンチェスター・ユナイテッド(マンU)だった。同クラブはプラットフォーム全体で3500万以上のインタラクションを獲得している。

マンUのもっとも強力なプラットフォームはTwitterだ。同クラブはリーグ期間中、エンターテインメント業界からヒントを得ていた。たとえばウェイン・ルーニー選手は、映画『X-MEN:アポカリプス』のフェイクトレイラーに出演。また、同クラブがTwitterで展開したもうひとつの主要戦術は、短いグラフィックスを使った速報だ。たとえば、FAカップの準決勝と決勝で勝利した直後に、ファンたちがこれらのグラフィックスを使って、即座にニュースを共有した。

■ リバプール

最強プラットフォーム:Twitter
リバプールは2015年4月、はじめてTwitter動画を投稿。それ以来、主要プラットフォームとして重用し、ショートフォーム動画の82.5%をTwitterで投稿するまでになった。バースト・インサイツのTwitter部門の番付で、同クラブはマンUに次ぐ2位となっている。

リットマン氏によると、ソーシャル動画で成功するための鍵は「チーム戦」にあるという。マンUの動画には、シーズンを通して23人の選手とスタッフが取り上げられた。だが、全クラブのなかで最大となるチームを保持していたのはリバプールで、その数は33人。マンチェスター・シティなどのクラブがスター選手を優先する一方、リバプールは幅広い顔ぶれを見せる動画戦略を選んだ。

監督が取り上げられたのは、各クラブが作成する動画の9%にとどまったが、リバプールはユルゲン・クロップ監督にソーシャル戦略の主役を任せ、キャンペーン「Get closer to Klopp(クロップ監督と仲良くなろう)」を展開した。

■ チェルシー

最強プラットフォーム:Vine(サービス終了)
早くからVineで最大の成功を収めたチェルシー。シーズンを通じて、同クラブのソーシャル動画の44%がこの6秒間のプラットフォームでホストされた。この短い速報コンテンツの大多数(ゴールの映像や新ユニフォームの発表など)は、いまではチェルシーのTwitterアカウントに転がり込んでいる。いまもTwitterはVineの6秒間のフォーマットをサポートしているのだ。Vineは2016年末に終了したため、奇妙に思えるかもしれないが、それまではサッカークラブが頼る力強いプラットフォームだった。

「他の大半の分野でVineが使われなくなった時期でさえ、最後の日を迎える直前までチェルシーは動画を投稿していた」と、リットマン氏は解説する。

■ マンチェスター・シティ

最強プラットフォーム:Snapchat
プレミアリーグの昨シーズンで、マンチェスター・シティは、インスタグラム動画をもっとも多く投稿するサッカークラブだった(いまや本格的なメディア企業だ)。同クラブが作成した動画は264本で、もっとも近いライバルのウェストハム・ユナイテッドより100本以上も多い。ゴールや試合に関する通常のコンテンツに加えて、シティはノスタルジアに訴える得意の作戦にこだわった。ハッシュタグ「#onthisday(この日)」で、同クラブの過去の出来事に関するアーカイブ映像が一覧表示され、選手や過去の栄冠をめぐる物語の構築に役立っている。

だがシティは、Snapchat(スナップチャット)を貪欲に使用することでもっともよく知られている。ただし、サードパーティーの指標を見つけるのが難しいため、レポートは同プラットフォームに触れていないが。シティは、ほかのクラブよりも早くSnapchatのカメラつきサングラス「スペクタクルズ(Spectacles)」を導入し、24時間の「ライブストーリー」で同プラットフォームと手を組んだ最初のクラブになった。このライブストーリーではヤヤ・トゥーレ選手の視線が提供された。また、アーセナルやリバプールと同じくシティも、ファンが本拠地エティハド・スタジアムでロックを解除できるSnapchatのレンズを用意している。

■ アーセナル

最強プラットフォーム:Twitter
ほかのクラブに比べると、アーセナルのソーシャルコンテンツに対するアプローチにこだわりは見られなかった。投稿数こそ比較的少なかったが、制作価値の高いポイントがもっとも多かったのが同クラブの動画だ。アーセナルの動画のうちの4本は、プーマ(Puma)をパートナーとする新しいユニフォームのPRと、チームの米国ツアーを宣伝するのに使われた。

また、アーセナルはライバルに比べると、トリックショット(離れ業)のコンテンツに一層力を入れていた。10.7%は選手たちのチャレンジを収録した動画だった。

Grace Caffyn (原文 / 訳:ガリレオ)
Photo by GettyImage