ファッション媒体、インスタ「ライブ動画」活用を模索:ユーザーは本物の報道を求める

ファッションを扱うパブリッシャーはまたしても、自由に使える新たなソーシャルメディアツールを手にした。それは、インスタグラムのライブ動画だ。

インスタグラムは、ライブストリーミング機能を追加する計画を先月に発表したのち、12月12日にまず米国で提供開始した。8月にリリースされたインスタグラムの「ストーリーズ」や、6月にローンチされたFacebookのライブ動画と同様に、パブリッシャーはこの新機能を試し、オーディエンスとつながる方法を探っている。

短命だから作り込みは不要

Facebookのライブ動画と異なり、インスタグラムのライブ動画の投稿は消滅し、終了後に再生されることはない。この短命という性質のため、アリューア(Allure)など多くのパブリッシャーは、大がかりな制作が必要ない限定コンテンツの共有に活用する計画を立てている。アリューアのシニアメディアエディター、ジェリリン・マナゴ氏によると、同誌はイベントの未編集配信や、突発的な出来事の配信にインスタグラムのライブ動画を使う予定だ。

アリューアは12月16日、インスタグラムのライブを使ってはじめて投稿を行った。メイクアップアーティストのマリオ・デディバノビッチ氏のメイクアップ講座に編集者が参加し、講座で語られるメイクのコツを共有したのだ。

インスタグラムのライブ動画により、パブリッシャーはオーディエンスからの質問にリアルタイムで回答することが可能なので、視聴者はデディバノビッチ氏に質問し、詳しい解説を聞くことができた。具体的には、「メイクアップアーティストとしていちばん大変なことは?」「この冬おすすめのリップは?」といった質問が出た。

「インスタグラムのライブ動画は、Facebookのライブ動画よりさらに即興性が高い。ストリーミングが終わったら永遠に消滅するからだ」と、マナゴ氏は指摘する。「したがって切迫感が生まれ、我々のオーディエンスを『いますぐ見よう』という気にさせる。一発勝負なので、Facebookのライブ動画よりも自由だ。最初から大がかりな制作を行うプレッシャーも少なく、しかもオーディエンスは生のフィードバックを喜んでくれる」。

本物のコンテンツを共有できる

「マリクレール(Marie Claire)」のデジタルディレクターを務めるジェシカ・ペルズ氏は、インスタグラムのライブ動画はニュースを扱うパブリッシャーにとって、とりわけ有用だと語る。というのも、米大統領選のころから偽ニュースが氾濫するなか、本物のコンテンツを共有できるからだ。

同氏によると、マリクレールのインスタグラムのフォロワーは同アカウントを1日平均18回開くので、彼らがすでにアクティブになっている環境にライブ動画は適しているという。

「読者はいま、かつてないほど率直で誠実な本物の報道を求めていて、ライブ動画はありのままの形で配信するのに最適だ。インスタグラムのライブ動画は、配信終了後に消滅する点が素晴らしい。重要なのは切迫感と鮮度だからだ」。

ありのままの本物の姿を

「リファイナリー29(Refinery29)」は、12月第3週に3本のライブ動画を配信。その内容は、ファッション写真撮影の舞台裏、全米俳優組合賞についての社内の会話、マンハッタン・ソーホー地区のレストランのグランドオープンだった。

ライブ機能の追加により、パブリッシャーとその従業員の仕事をありのままに見せることができ、フォロワーの共感を得ていると、リファイナリー29のデジタルイノベーションディレクターを務めるリアット・コーノウスキー氏は語る。

「インスタグラムのライブ動画は、選び抜かれ、磨き上げられ、作りこまれたコンテンツが中心の環境に、『たった今』の品質を持ち込む。始まって1週間で将来を予測するのは難しいが、6億人のユーザーに、編集も周到な準備もない、ありのままの本物の姿を見せるのに、この機能は効果的だ」と、コーノウスキー氏は語る

新しい層にリーチする手段

「エスクァイア(Esquire)」のソーシャルメディアエディターを務めるベン・ボスコビッチ氏は、同誌はまだライブ投稿をシェアしていないが、今後のイベントでこの機能を使う予定だと明かす。しかし、多数のライブツールが複数のプラットフォーム上に存在するいま、課題はコンテンツを各プラットフォームのユーザーにどう合わせるかだと、同氏は指摘する。

「一般に、ライブツールの最大の強みは、オーディエンスをリアルタイムで我々のいる場所に呼び込めることだ。そして、ライブツールが使えるソーシャルプラットフォームがまたひとつ増えることの重要性は、オーディエンスはプラットフォームによって異なる点にある」と、ボスコビッチ氏は語る。

「我々のインスタグラムのオーディエンスは若く、関心分野がFacebookのオーディエンスとは異なっている。したがって、我々は今回、彼らにリーチするまったく新しい手段を手にすることになる」。

Bethany Biron(原文 / 訳:ガリレオ)
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