Z世代との接点作り、ファッションブランドが行ってること

ファッションや美容のマーケターは、かつてミレニアル世代同様、Z世代(ジェネレーションZ)との関わり方に頭を悩ませている。Z世代は、1995年から2010年までに生まれた世代だ。

アメリカ国内のZ世代は6100万人。彼らは真のデジタルネイティブ第1世代と称されている。つまり生まれたときからインターネットが当たり前に普及していて、珍しくもなんともないという世代だ。その結果、彼らは他の世代と比べるとSnapchatのようなアプリの刹那的な性質に惹かれ、また商品を所有するよりもレンタルすることを好む。これが彼らの購買活動にダイレクトに反映されている。Z世代のティーンエイジャーは、消費額が440億ドル(約4兆8840億円)と試算されるなど購買力はミレニアム世代をしのぐ勢いだ。にもかかわらず、彼らはミレニアルよりも倹約家でお金に対する執着心は強い。

ハーストデジタル(Hearst Digital)のSVP兼エディトリアルディレクターのケイト・ルイス氏によると、この世代の財布の紐が堅いのは、さまざまな要因が絡み合い、彼らを「リスク回避型」にしてしまったからだという。暗雲立ち込める経済状況や政治情勢がその一因だ。6月19日にニューヨークで開催されたファッションカルチャーデザイン会議で、ルイス氏はファッションサイトであるマンリペラー(Man Repellar)のリーンドラ・メディネ氏などのファッション業界の著名人とディスカッションを行った。議題に上がったのは、独特の趣向を持ち、デジタルに精通する若い消費者グループを対象としたマーケティングの課題についてだ。

レンタルを重要視

このイベントでメディナ氏は「購入ではなくレンタルが重要視されている」と語った。 「Spotify(スポティファイ)やNetflix(ネットフリックス)を見てほしい。(Z世代で)これらを所有している者はいない。Uber(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)そして続々登場するファッションレンタルプログラムを見ればわかる。自分専用のアイテムを手に入れたいと望むミレニアル世代は、これらのものに違和感を覚える」。

具体的にファッションに目を向け、パーティドレスを例にとった場合、Z世代ならデパートで正規の値段で買うよりも、レント・ザ・ランウェイ(Rent The Runway)のようなレンタルサービス会社で借りる方法を選ぶだろうと、メディネ氏は語った。

ミレニアル世代向け調査会社のYパルス(YPulse)でチーフコンテンツオフィサーを務めるメアリー・ライ・ブリス氏もメディネ氏の意見に賛成だ。Z世代は、ほかのあらゆる世代と比べても、不景気の影響を大きく受けているため、「シェアリングエコノミー」志向が強いのもうなずけると、彼女は語る。Yパルスのデータによると、アメリカの13歳から17歳の62%が、不景気以前の時代は記憶にないという。

ストリートウェア文化

さらに、ファッションデザイナーにしてステープルデザイン社(Staple Design, Inc)の創業者であるジェフ・ステープル氏によると、Z世代は特にストリートウェア文化と深い結びつきがあるという。生まれたときから携帯電話が身近にあったアメリカの若者にとっては、ストリートウェアとほぼ同義語である「発売開始日の行列」に並ぶこと、そしてバーチャルでなくリアルな人間と会話をすることが、「貴重なこと」になっているのだ。

「私は行列に並ぶことを楽しんだことはない。しかしZ世代はeBayやAmazonで、1クリックで買い物をするのが日常だ。いま、彼らは行列に並びたいと思っている。それが外に繰り出して仲間と交流する機会だからだ」と、ステープル氏はイベントで語った。

ステープル氏は、斬新なビジネスモデルのZ世代向けストリートウェアブランドについて言及した。アンチソーシャルソーシャルクラブ(AntiSocialSocialClub)のニーク・ラーク氏もそのひとりだ。ラーク氏はコンピュータでデザインしたベーシックなTシャツとフーディをインスタグラムでシェアし、実際の製品が生産に入る前に、すでに数千ドル相当を売り上げている。「彼は、頑張っている感じを出さないところがクールだ、と人々に思わせるようなブランドを構築している男だ」と、ステープル氏は語った。

独自のスタイル感覚

Z世代全般にとって最大のテーマが、「個性」を重要視することではないだろうか。これはミレニアル世代の「反同調主義」からさらに発展したものだ。Yパルスのデータによると、13歳から17歳の消費者の82%はブランド名に固執しないと回答し、75%が新たなブランドを試すことを楽しみ、66%はいままでにない商品販売方法や配送方法を試行するブランドを革新的だと考えている。その結果、彼らはユニークな組み合わせを考え、デザイナーでも考えつかないような着こなしを生み出しているとトレンド予測企業トーベ(TOBE)のエグゼクティブバイスプレジデントであるレズリー・ギゼ氏は語った。

「彼らのスタイル感覚は彼ら独自のもので、もちろん彼らが見ているものやその見え方に影響されるものだが、彼らは指示書には興味を惹かれない。わざとらしいと感じてしまうのだ」と、同氏は述べた。

Bethany Biron (原文 / 訳:Conyac
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