ブランドの不満が募る、巨大化しすぎたFacebookの慢心:「広告を打つのに苦労が増えた」

広告主500万社をかかえるFacebookは、広告を出稿する企業にとって以前と変わらず重要だ。しかし、Facebookが成長するとともに、ブランドがこのプラットフォームにいだく不満と、自分たちで広告をもっと管理したいという要求は高まっている。

ある大手のマーケター(匿名希望)は、Facebookがいまも広告に深く関与しており、担当者を派遣してクリエイティブを支援していると指摘する。一方、同プラットフォームが拡大した結果、往々にして独自のアジェンダを押しつけるようになったため、連携するのが厄介な存在になってきた。

このマーケターによると、企業の複数の部署に対し、Facebookは別々の販売員をあてて売り込むという。こうしたやり方には統一した戦略がないため、結果的にマーケティング部門の支出が増えてしまいがちだ。

「Facebookはきわめて縦割りだ」

別の企業のマーケティング責任者は、Facebookが往々にして、支出額に基づいてチームや担当者を割り当てると指摘。企業が出す広告費が不十分だったり、Facebookの広告関連製品を試さなかったりすると、担当者から改善を促されることになる。また、同プラットフォームがこれほど大きく成長したせいで、情報が多くの担当者を経由するうちに複雑化してしまう。

このマーケターが経験したことだが、Facebookには、新たな試みや広告費の増額に消極的な意思決定者を迂回する傾向があるという。「変化につながる決定をしない担当者は、Facebookから避けられるようになる」。

4月にサウスカロライナ州チャールストンで開催されたDIGIDAYブランドサミット(DIGIDAY Brand Summit)では、登壇者のブランドマーケターも同様に、「Facebookはきわめて縦割りだ」と指摘した。このマーケターは、Facebookのひとりの担当者にある件を話したあと、別の担当者にコンテンツなどの話をすることがよくある。「そして、担当者同士が直接話し合うことはない」。

Facebook側の言い分

Facebookのチームは、ほかの大半のプラットフォームと同様に、広告主をカテゴリー別(自動車、一般消費財など)に受けもつ。また、メッセンジャー、ダイナミック広告、ライブ動画といったサービスをそれぞれ受けもつ横断的なチームもある。さらに、エージェンシー担当チームと専門家集団がいて、地域ごとのエージェンシーチームも存在する。たしかに複雑だ。

Facebookは、スモールビジネスの満足度を維持すべく、セルフサービスのツールを一斉に増やす取り組みを実施したと述べている。具体的には、オンライン講座の「ブループリント(Blueprint)」、オーディエンスのターゲティング、モバイルデザインスタジオの「モバイルスタジオ(Mobile Studio)」といった新ツールだ。

Facebookの北米スモールビジネス担当ディレクター、キャサリン・シャプレイ氏は、断片化されたアプローチが広告主を混乱させているのでは、という問いに対し、同社はそうした課題を認識していると回答した。「皮肉なことに、現在のテクノロジーは、マーケターたちにとって非常に大きなチャンスだ。しかし、とりわけ、リソースが比較的少ない中小企業にとって、理解するのが難しい場合もあるだろう」とシャプレイ氏。「我々は、クライアントに対応するチームの拡大と、ブループリントやモバイルスタジオといったリソースの拡充の両面で、支援に取り組んでいる」。

「Facebookは考えを改めるべき」

これはあらゆる規模のマーケターに共通する問題であり、パブリッシャー側の懸念にも通じるものだ。パブリッシャー各社は、ニュース配信に対するFacebookの影響力が強大になりすぎたことを案じている。マーケターたちもようやく、広告業界に及ぼすFacebookの力が過剰に大きくなったことに気づきはじめたようだ。ほぼすべての企業は、Facebookが最重要プラットフォームだというが、管理する力を取り戻したいという声もあがっている。

その一例は、一般消費財メーカーのP&G(プロクター・ アンド・ギャンブル)でCMOを務めるマルク・プリチャード氏が、全米広告主協会(ANA)、米国広告業協会(AAAA)、インターネット広告協議会(IAB)といった広告業界の集まりで行った一連の厳しい演説だ。そこでは、以下のようなはっきりとしたメッセージが語られた。「プラットフォーム各社、とりわけFacebookは、自分たちが特別だという考えを改める必要がある。そして、測定指標の基準であれ、広告詐欺の防止であれ、マーケターの要求に従う姿勢を打ち出すべきだ」。

もうひとつの例は、Facebookを苦しめている指標のミスへの不満だ。プラットフォームに対する不平不満が広がりをみせるなか、ブランド各社は、ブランドセーフティをめぐるGoogleのスキャンダルのような状況を利用し、プラットフォームから権限を取り戻そうとしている。

マーケターの意識変化

大半のマーケターにとっての行動規範は、「Facebookが言うことはなんでもやる」から、「自社がやるべきことをやる」へと変化しつつあるようだ。一般消費財のあるマーケターは、ほかのプラットフォーム、特にTwitterなどと比べた場合、Facebookの担当者はより販売を重視していると指摘する。「Twitterは時間をかけて、ブランドに販売チャネルとしての使い方を指導し、実際に広告の効果が出るようにする。時間をかけて、一緒に広告に取り組むのだ。手を組む相手と、実によい仕事をする」。

別の中規模小売業者のマーケターは、Facebookが広告費の少ないマーケターに払う関心はたしかに減ると断言する。このマーケターの場合、かつて四半期の支出が2万ドル(約200万円)を下回ったことがあった。すると、Facebookのアカウント担当者は「姿を消した」という。このマーケターは最近、ブランドの広告費の約15%をFacebookから引き上げ、YouTubeに移した。「YouTubeのほうが予算的にはぎりぎりだが、少なくとも彼らは進んで話し合いをもってくれる」。

Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)
Image form Andrew Feinberg / Flickr