「自虐的ユーモア」で差別化! 恋愛マッチングサイト「イーハーモニー」のSNS術

「理想の相手が見つかりました!」「初対面で運命を感じました!」といった『お客様からの声』が、金太郎飴のように並ぶオンライン出会い系サイト。

そうした横並びのマーケティングを独特のソーシャル戦略で脱したのが、1998年設立の恋愛マッチングサイト「イーハーモニー(eHarmony)」だ。

同サイトでは、ソーシャルメディアを通じて「おひとりさま」たちにユーモアたっぷりに語りかけることで、これまでよりも多くの関心を集めている。

数週間前にアメリカ東海岸を吹雪が襲った際、イーハーモニーはすっぽりと雪をかぶった孤独なフクロウの写真をインスタグラムに投稿した。

「ぷるぷる……お願い、つきあってちょ?」

これはちょうど、シングルの人々の姿を暗示しているようにも見え、まさに同社が18カ月前に刷新した、ユーモアあふれるデジタル戦略を象徴するような1枚だ。

シングルの苛立ちがテーマ

また、同社のオウンドメディア「eH Advice」では、ライターからのデートにおけるアドバイスやヒントが掲載されたり、ときには絵文字クイズといった参加型の投稿がポストされることもある。

How would you describe your love life? Tell us using an emoji! 󾬖

Posted by eHarmony on 2016年2月24日

「ねえねえ、あなたは性生活についてどうやって伝えてる? 絵文字を使って教えてヨ!」

イーハーモニーのソーシャルメディア・ディレクターであるケリアン・メロー氏は、「たしかにうまくいったマッチングの幸せな成功談というのは、魅力的に見えるかもしれない。だが自分が真剣にパートナー探しをしているときに『私たち結婚しましたー、ウフフ』みたいなノロケ話なんて、聞きたくもないだろう?」と話す。

「だから我々のコンテンツは、シングルの人たちの苛立ちについて話題にし、彼らのモチベーションを奮い立たせるよう心がけている。こうした方が明るいし、面白くて役に立つ。なによりユーモアにあふれた内容になるじゃないか」。

ソーシャルメディアで差別化

しかし、Facebook、Twitter、そしてインスタグラムを含め、かつての同ブランドにおけるソーシャル戦略は、必ずしも現在のようなユーモラスなスタイルだったわけではない。しかし、「ティンダー(Tinder)」や「OKキューピッド(OkCupid)」のような競合マッチングサイトがなめらかなインターフェースや、スワイプするだけでマッチングされる機能を次々に投入、隆盛を誇るようになっていくなか、同社が加入者数を伸ばすためにはソーシャルメディアでの影響力の強さと、より的確な顧客ターゲティングこそが必要不可欠となっていったのだ。

そしてイーハーモニーは、リアルタイムでのコンテンツ提供、そして顧客サービスを行うため、たった1人で運用していたソーシャルチームを4人にまで増員し、「HootSuite(フートスイート)」と「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」を導入した。これによってソーシャルデータを収集・トラッキングすると同時に、人口統計、居住地や興味関心に基づいたターゲティングを行うことにしたのである。先のメロー氏によれば、2014年と2015年を比較するとソーシャル分野への支出は一気に倍増したとされている。

2時間以内の回答率は84%

こうした取り組みにより、イーハーモニーはソーシャルメディアからのサブスクリプションを追跡することを学んだし、オンライン応答時間を改善することにも成功した。なお、現在の同社ではSNS上での顧客からの問い合わせに対し、2時間以内に回答する率は84%であると自信を見せている。

ソーシャル分析会社アンメトリック(Unmetric)によると、ここ1年間での彼らのSNSフォロワー数は、Facebookでは24万4000人から29万人へと伸びているという。一方で競合のティンダーは55万人、OKキューピッドは6万人のFacebookファンを抱えている。

近年のこの業界の動向として、オンラインデートサイトは特に若年層で人気が高まりつつあり、当然ながらイーハーモニーの登録者にもこの傾向は反映されている。同社はそれを念頭に置いたうえで新しいプラットフォームを見据えており、先週にはスマートフォンによるライブ配信サービス「ペリスコープ(Periscope)」やFacebookのライブビデオといった最新コミュニティでのファン獲得キャンペーンを実施している。

これについてメロー氏いわく、「より若く、よりアクティブなオーディエンスを獲得するべく、我々はモバイルデバイスにおける新たなプラットフォームを試し続けているのだ」。

Tanya Dua(原文 / 訳:ワタナベダイスケ)