Slackに人間味を与える クリエイティブディレクターの1日:「人間的であり続けることがブランドを創る」

インスタントメッセージアプリの「Slack(スラック)」が、世界中のオフィスに浸透しつつある。Slackはテクノロジー企業やメディア企業に人気があり、評価額38億ドル(約3800億円)といま注目の生産性ツールだ。

Slackの成功は、フレンドリーなインターフェイスと、生真面目な生産性ツールとは一線を画するユーモア感覚のおかげだろう。300万人の利用者に嫌がられることなく、人間味を出すという、多くのブランドが難しさを実感していることを、Slackはやってのけている。

アンナ・ピッカード氏は、そんなSlackのプロモーションやクリエイティブ面を支える、いわば「声」のような存在だ。実際、同氏はTwitterのプロフィールで、Slackにおける自身の仕事を「言葉と語りと気まぐれなタイピング」と表現している。ゲームのキャラクターやTwitter上のネコなど、さまざまな「声」のキャリアを経てきたピッカード氏。現在、母国の英国を離れ、Slackで製品内の言葉の選択から(たとえば「lol」は駄目)、SlackのTwitter上での語りまで、さまざまなシーンを通じて、Slackのスタッフ600名を代弁し、プロダクトに人間味を出す、手伝いをしている。

今回は、そんなSlackのクリエイティブディレクターの典型的な1日を紹介する。わかりやすくするために少し編集を加えている。

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06:00 am 何度も起きようとしてスヌーズを繰り返す。朝は強くない。スヌーズにかけては一流だ。

06:30 am 起き上がりジムの服に着替える。息子の学校への送迎はパートナーと交代でやっており、送らない朝にはワークアウトをする。

06:50 am 自転車でジムへ。重いウエイトリフティングをしてトレイナーのウゴチ氏とのボクシングを終えると、腕っ節が強くなった気分だ。私が米国人を真似たアクセントでそう言うとおかしな感じだからと、王侯貴族のような純然たる英国アクセントで口にすると、もっとひどい響きになる。

08:15 am オフィスでシャワーを浴びる。我々がサンフランシスコの現在のオフィスに移ってきたころは、総勢わずか50人ほどだったので、空いていたが、いまではそこで400人以上が働く。このSlack本社では、どのバスルームもさまざまな分野を扱うフランスのラジオ局FIPがスピーカーから流れてくる。これは完全に私のせいなのだが、申し訳ないとは少しも思っていない。

08:45 am ダブリンの同僚とビデオ通話。オスロでのメディアワークショップに向けたプレゼンテーションの制作に協力し、Slackらしさが出るようにする。専門用語を取り除き、少しだけ個性を引き出すなど、たいていは少しの修整で済む。

09:30 am 冷蔵庫から1パイントの冷えたコーヒーとゆで卵2個を取り出し、Slackのチャンネルをチェックする。Slackは前日に、すべてのメッセージとチャンネルを1つのビューにまとめた1画面の「全未読(All Unreads)」を公開した。すべてを読んだときに表示される小さな画面をお気に入りのデザイナーのひとりと共同で制作したこともあり、この公開はとりわけうれしい。

このようなうれしい瞬間を製品のあちこちに必ずちりばめておくのは、私の仕事のひとつだ。こうしたことが、私が加わる以前にSlackの成長につながり、いまではSlackというブランドの重要な要素になっている。夜のうちにメルボルンとダブリンのすばらしい顧客体験チームから報告された、この機能に関するこれまでのフィードバックに目を通すとともに、Twitterのフィードに説得力のある意見がないか確認する。

10:30 a.m AppStoreに本日提出するiOSリリースノートの編集を仕上げるというリマインダーを受け取った。私のクリエイティブな(混沌とした)脳は、私の仕事にはとても向いているのだけど、自己管理が恐ろしく下手だ。そのため、プロジェクトマネージャーたちは私に関するほぼあらゆることについてリマインダーを設定するようになった。

11:00 am 新入社員のクラスでSlackの「声」とトーンに関するワークショップを行う。全員が対外的に書くようになるわけではないが、あらゆる言動において人間的であり続けることは非常に重要だ。そうした文化が内部では製品を、外部ではブランドを形成する。

11:30 am カリフォルニアの人々は考えられないような時刻に昼食をとる。これではまるで朝食だ。この地では移動式屋台が熱狂的に支持されており、午前11時45分にはフィリピン風ブリトーに50人が並んでいる。そのうち40人はうちの同僚だ。

12:30 pm 別のオフィスでランチをとっている同僚からの「Snapchat(スナップチャット)」が立て続けにはいる。我々の半数は、Snapchatをやるには年を取り過ぎていながら、そのことを認めようとしない。

01:00 pm オフィスの隅にあるソファーで、今度の4週間の上級クラス「Slackにおけるライティング」の準備をする。また、スタイルガイドを更新し、編集陣からのソーシャルコピーを承認し、「#happy-place」チャンネルにカワウソの写真を投稿する。

Slackのサンフランシスコオフィスの内部

Slackのサンフランシスコオフィスの内部

02:30 pm また夢中になっていたが、Twitterに殺到するメッセージに対処するチームは十分にできている。私はたわいもないことを投稿しておく。Twitterアカウントの顧客体験面を手伝う40人以上のチームを私が後押しするには、ブランドの声の有効性にもっと取り組むほうがよいのだ。

03:00 pm ベルが鳴る。オフィスの全員がコーヒーとストレッチのために仕事を中断。これは伝統だ。

04:00 pm 「ケリーとアンナとのマジックアワー」の時間。まるでお昼のひどいテレビ番組の名前みたいだが、実際は、製品マーケティングの責任者であるケリー・ワトキンズ氏と私が週1回行うワークショップだ。もちろんマジックのようなものはなく、人が懸命に取り組んだものを新鮮な2つの目で見るだけなのだが、それが取り組みを次のレベルへと引き上げるために必要な洞察を得るのに役立つことがある。

05:00 pm 退社して息子を迎えに行く。自転車のベビーシートに乗せるにはもう大きすぎるけれど、街中ではこれがいちばん手っ取り早い。夕食後、ふたりで公園をしばらく駆け回る。それからお風呂、本、そしておやすみの時間。私ではなく息子のね。正直なところ私も寝てしまうことがある。でも、今夜は違った。

08:30 pm 何かお腹に入れてジントニックを作り、夫と情報交換をしたら、何か音楽をかける。私は再びネットに戻り、少しのあいだSlackに関する今日の出来事を処理する。

今後の講演の仕事に関するメールをいくつか送信し、自分のことについてはまだ話をしていないことについて静かに考えを巡らせる。ジントニックをもう1杯作る。

10:15 pm すっかり酔ってしまったが、夫と私には深夜に「Bumpers」というアプリで「今日学んだこと」というばかげたポッドキャストを作るというおかしな習慣がある。ふたりで録音し、夫が編集をする。私は「Netflix」か何かの前で崩れ落ちながら、ソーシャルメディアをチェックする。

10.45 pm 私がくたびれ果てているところに、英国の友人が小さな赤ん坊とともに目を覚ましてきて、話をすることができた。時差の関係から、故郷の友人や家族とは、普段は週末にしか情報交換ができておらず、こういうおまけは大歓迎だ。

その後、何時だっただろうか。私はベッドに入った。もちろんその前に歯を磨いた。飼い猫のクレムがやってきて、私の脚の上でぐっすりと眠った。

Grace Caffyn (原文 / 訳:ガリレオ)