切っても切れない、高級ブランドと再販サイトの複雑な関係:デジタル化で加速するエコシステム

ラグジュアリーブランド企業とブランド品の再販を行うスタートアップ企業とのあいだには、ある種の緊張が存在している。再販企業はラグジュアリーブランドが眉をひそめるやり方で、製品を再販することで消費者から利益を得ているからだ。しかし、彼らは高級品市場に関する貴重なインサイトを提示している。

「現在、我々は、新品を扱う小売業者と協業している。しかし、我々がビジネスをはじめた当初、彼らは次のような態度を取っていた。『あなた方は邪魔だから、業界から出ていってくれ』と。だが、いまでは『あなた方と協業する必要があるが、まだそのやり方がわからない』という」。

高級ブランド品のオンライン委託販売店「ザ・リアルリアル(The RealReal)」のCEOジュリー・ウェインライト氏は、去る5月15日〜18日にラスベガスで開催された次世代コマースイベント「ショップトーク(Shoptalk)」内のセッション「レコーズコード/コマース(Recode’s Code/Commerce)」で、このように述べた。

再販企業の業界貢献とは?

さらに、再販企業たちは高級ブランドの助けとなっていると主張する。彼らは、模造品業者を撃退し、さらに、顧客の足を新品の小売店へ向けさせながら、安全かつ法に則った選択肢を中古品のために提供しているというのだ。

「ザ・リアルリアル」や高級ブランドの中古品マーケットサイト「ヴェスティエールコレクティブ(Vestiaire Collective)」で取り扱っているすべての製品は、そこで販売される前に、スタッフによって本物であることが確認され、保証されている。オンライン委託販売店「トレードシー(Tradesy)」のデジタル認証アルゴリズムは、同社の発表では99.7%の精度を有しているという。

再販市場は、正規の値段で贅沢品の購入ができない若い顧客のための、入門レベルのアクセスポイントとしても機能していると、「ヴェスティエールコレクティブ」のCEOセバスチャン・ファーブル氏は説明する。

しかし、いまだ理解はされない

そのように、傷つけるわけではなく、ブランドの助けとなっているという、彼らの信念にもかかわらず、ラグジュアリーアイテムを扱うメーカーのすべてが、委託販売企業を仲間として認識しているわけではない。

「ブランド企業は、自分たちの製品がオンラインで販売されていることを快く思わない。そのために、我々を好ましく思わないのだろう」と、ウェインライト氏はいう。「または、自分たちの製品を、顧客はずっと手放さずにもち続けるべきだと考えていて、売買に利用されることは考慮されていないのだ」。

ウェインライト氏は特定の名前を挙げることは控えながらも、「Cがイニシャル」のあるブランドは、特に「ザ・リアルリアル」を嫌っていると述べた。過去にシャネル(Chanel)は、自身のブランドを偽造者や再販業者から守るためのアクションを取っている。もっとも最近の動きは2015年に、そのグローバル価格設定の再調整を行った。

再販をめぐるエコシステム

「トレードシー」「ヴェスティエールコレクティブ」、そして「ザ・リアルリアル」といった、再販スタートアップは、「スレッドアップ(ThredUP)」といった競合他社と同様に、ベンチャー支援者たちにとって、話題の企業になっている。2015年、「ザ・リアルリアル」は合計1億2300万ドル(約136億円)、「ヴェスティエールコレクティブ」は合計7000万ドル(約77億円)、「トレードシー」は合計7500万ドル(約83億円)を調達した。2015年、eBayは高級品部門「eBayヴァレット(eBay Valet)」を立ち上げ、オンライン再販スタートアップ企業に対抗しようと目論んでいる。

さらに、再販市場は、買い手と売り手をそのサイクルに組み込んでいることが、高級ブランドの助けになっていると主張する。ある商品を再販市場に手放したユーザーは、その取引で生まれたお金を新しいハンドバッグまたは靴へつぎ込むと、ファーブル氏は説明するのだ。

「トレードシー」のCEOトレイシー・ディヌンジオ氏は、ある類似したパターンに気がつき、こう述べる。「再販市場によって、顧客が小売店でもっとお金を使うことにつながっていく。ある顧客が自分のモノが再販できることを知ったら、もう少し多くお金を費やすことを厭わないだろう」。

高級ブランドがそれを好もうが、好まなかろうが、これらのサイトはどのブランドがラグジュアリー好きな消費者に人気があるのかを示すショーウィンドウとしても機能している。

「それはひとつのショーウィンドウなのだ。顧客が求めるものは何かを確認できる機能がそこにはある」と、「ヴェスティエールコレクティブ」CEO、ファーブル氏はいう。

浮き彫りになる永続的な価値

ディヌンジオ氏によると、「トレードシー」はブランドや製品の永続的な価値を測ることができるそうだ。たとえば、クラシックなデザイナーズバッグは、元値の70から90%をその再販市場で維持する一方で、オーバーオールやベルボトムのようなトレンディアイテムは、たった20%しか価値を維持できない可能性が高い。そして、エルメスのバーキンバッグなどは、ときにインスタグラムを介して中古のバッグを販売する会社、プリヴェポーター(Privé Porter)では最大6桁の価格で販売されている。

自らのインサイトを共有するために、「ザ・リアルリアル」は過去1年間に人気の上昇、下降のあったブランドの概要と収益を提示する年次報告書を発行している。2015年には、同社の「高級ブランド再販の現状」報告書で、いくつかの重要なポイントを指摘した。シャネル、セリーヌ、エルメス、カルティエ、ルイ・ヴィトン、そしてプラダは、ブランドアイテムが迅速かつ頻繁に売れることから、上位ブランドと位置づけられる。

ファーブル氏によると「ヴェスティエールコレクティブ」において、フランス人デザイナー、イザベル・マラン氏のレーベルには「逸話がたくさんある」という。たとえば、そのブランドの再販アイテムの90%は、米国の買い手に販売されている。米国消費者に人気なのだ。

グッチの復活も予言

「ザ・リアルリアル」「ヴェスティエールコレクティブ」はともに、グッチの復活していく様子を目の当たりにしている。先述の「ザ・リアルリアル」の報告書では、2015年1月、アレッサンドロ・ミケーレ氏が、グッチのクリエイティブディレクターに任命されたあとで、収益が60%増えたとあるのだ。親会社ケリング(Kering)は、2015年の第4四半期に、グッチの売上高は16%増加したと報告している。

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therealrealさん(@therealreal)が投稿した写真 –

「2年前、グッチ製品はまったく売れなかった。それは単純に、前のデザイナーがそれほど支持されていなかったからだ」と、ウェインライト氏はいう。「いま、同ブランドはトップに返り咲いた。そして、在庫にミケーレ製品が無くても、まったく問題にはならない」。

「ヴェスティエールコレクティブ」では、ミケーレ氏が率いるようになって5カ月で、グッチはトップ5ブランドになった。

「デザイナーが支持されている場合、その商品だけでなく、再販市場にも影響を与える」と、ファーブル氏は語る。

Hilary Milnes(原文 / 訳:Conyac