通信事業者AT&T、ソーシャルメディアスターの支援を開始:インフルエンサーと長期的な関係構築

通信事業者のAT&Tが、ソーシャルメディアのスターたちを育て、支援しようとしている。

AT&Tは2016年2月11日、ユーチューブ(YouTube)でコンテンツを配信するミレニアル世代向けのメディア企業「フルスクリーン」(Fullscreen)と提携して、「AT&Tハローラボ(AT&T Hello Lab)」という新しいプログラムを開始した。

目的は、ビデオ作品シリーズやアルバム、ポッドキャスト、ライブイベントなど、さまざまなコンテンツを制作できる「ソーシャルメディアスター」を支援することだ。しかも、AT&T専用のキャンペーンコンテンツではなく、ソーシャルスターたちのオリジナルコンテンツ制作に資金提供し、AT&Tのブランド名や製品の紹介はごく目立たない形で構わないという。

インフルエンサーへ長期的に貢献

「今日のインフルエンサーとブランドの関係は、あまりにビジネスに偏っているのが実情だ」と、AT&Tで広告およびマーケティング・コミュニケーション担当バイスプレジデントを務めるバレリー・バーガス氏はいう。「新製品の宣伝のためにブランドに雇われた請負人(として活動するインフルエンサー)が多すぎる。我々はこの状況を反転させ、インフルエンサーのコミュニティへ長期的に貢献していきたい」。

「AT&Tハローラボ」では、最大10人のソーシャルメディアスターを採用し、彼らの活動を1年間支援。そして、10のプロジェクトを完成させたい考えだ。同社はすでに、ユーチューバーのグレース・ヘルビッヒ氏、元バスケットボール選手でインスタグラム(Instagram)のコメディアンとして活動するブランドン・アームストロング氏、Snapchatのスターであるショーン・マクブライド氏など、5名のスターと契約を結んでいる。

ただし、現在発表されているプロジェクトは、2人組ユーチューバーのデイモン・アンド・ジョー(Damon and Jo)が出演する旅行ビデオシリーズ「デア・トゥ・トラベル(Dare to Travel)」だけだ。最終的な目標は、ハローラボを大規模なネットワークに成長させ、あらゆるタイプのソーシャルスターに定期的な資金援助やサポートを提供することだという。

宣伝の挿入方法はいまだ不明

バーガス氏はこのプログラムを、「AT&Tファンドリー(AT&T Foundry)」と呼ばれる同社の別プログラムと比較しながら説明した。そのプログラムは、ハイテク企業や開発者と提携し、AT&Tの無線ネットワーク用の新しいアプリやサービスをリリースしてもらう取り組みだ。「我々は、成長を続けるコミュニティを獲得している若い起業家たちに進んで投資する企業として知られるようになりたい」と、バーガス氏は語る。

AT&Tは、自社ブランドの宣伝を最小限にとどめると明言しているが、宣伝をまったく挿入しないわけではない。インフルエンサーは、コンテンツの制作やアップロードにAT&Tの携帯電話やサービスを利用することになる。

また、ファン向けのライブイベントをハローラボが企画し、AT&Tの店舗や同社のブランドを冠した場所で開催することもあるという。どのような形になるかは、クリエーターが制作するコンテンツの種類によって決まるとバーガス氏は説明する。

ユーチューバーのヘルビッヒ氏によれば、「AT&Tは、我々が独自のコンテンツを作ることを認めている」という。ヘルビッヒ氏は現在、プロジェクトを進行中だが、「AT&Tの携帯電話をどのように使うことになるか、現時点では明らかにできない」と述べるにとどめ、詳細は明かさなかった。

AT&Tとフルスクリーンの絆

ハローラボは、AT&Tとフルスクリーンの長年にわたる提携関係から生まれたものだ。両社はこれまで、Youtube上のリアリティ番組シリーズ「アット・サマーブレイク(@SummerBreak)」や、Snapchat上の「スーパーヒーロー(SuperHero)」といったプロジェクトを共同で進めてきた経緯がある。

また、AT&Tはオッターメディア(Otter Media)からフルスクリーンの持ち株を取得している。オッターは、ハリウッドの実力者ピーター・チャーニン氏が率いるザ・チャーニン・グループ(The Chernin Group)と、AT&Tが合弁で設立したビデオメディア企業だからだ。

ハローラボの運営に携わるのは、AT&Tの新興プラットフォーム・マーケティングチームに属する少数のスタッフと、フルスクリーンの戦略コンテンツグループに属する12名のスタッフ。後者は、さまざまなソーシャルプラットフォームでインタラクティブコンテンツやライブコンテンツを制作したり、フランチャイズを展開したりする目的で立ち上げられた組織だ。

AT&Tは、ハローラボが目指すコンテンツの例として、前述したYoutube上のリアリティ番組シリーズ「アット・サマーブレイク」を挙げている。このシリーズでは、YouTubeでエピソードを公開するだけでなく、インスタグラムやSnapchat(スナップチャット)、Vine(ヴァイン)など、ほかのプラットフォームでもコンテンツを展開している。

「アット・サマーブレイク」は、3シーズンが終わった段階で、1億5000万以上のビューを獲得。AT&Tとフルスクリーンによれば、第4シーズンを2016年の後半に始める予定だという。

「複数のプラットフォームでストーリーが語られるとき、それはおのずと双方向的になる。(中略)ファンはクリエーターに話しかけることができるし、クリエーターはそれに応えることができる」と、フルスクリーンの戦略コンテンツグループでシニアバイスプレジデントを務めるブライアン・ソエンセン氏は語る。「ファンを巻き込みながらストーリーを展開していくようにしたいというのが、我々の考えだ」。

Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)
Image via Gage Skidmore