コカ・コーラUK、予算13億円でやること・やらないこと:コンテンツの内製は絶対にしない

コカ・コーラ社がイギリスで改革をはじめる。

イギリス政府が砂糖税を課し、また健康志向の消費者からのプレッシャーが増したことから、コカ・コーラブランドは糖分カットに乗り出した。

去る7月8日、同社は3000万ポンド(約39億円)のブランド再生プロジェクトの一環となる商品のひとつを公開。イギリスのコークゼロは今後、まったく新しいレシピを開発し、名称もコカコーラゼロシュガーとなる。このリローンチは過去10年間で最高の1000万ポンド(約13億円)ものマーケティング戦略を伴う。この夏を通じて、同ブランドは450万ものドリンクサンプルを無料提供する計画だ。

英DIGIDAYは、同ブランドのイギリスにおけるマーケティングディレクター、ボビー・ブリテイン氏とデジタル戦略についてディスカッションを行った。

デジタル向けという予算はない

多くのマーケティング担当者が予算の何割かをデジタルチャンネルに向けるなか、ブリテイン氏はその効果について疑問を抱いている。ブリテイン氏は「デジタルをビジネス戦略やコミュニケーションアプローチ全般と切り離して考えていては、結局[あちらとこちら]の状態に陥ってしまう」と指摘。

同ブランドはかつてないほどデジタルに投資している。いまは2016年なのだ。単純に「デジタル」という括りで特別な資金を割り当てていないというだけだ。

ブリテイン氏によると、コカ・コーラ社は世界的なメディア企業のメディアコム(MediaCom)とともに、キャンペーンごとに投資を最大限に活かす方法を検討している。その戦略のうえでは、デジタルなのかデジタルではないのかという線引をするには不明瞭すぎる、という事実があるという。

自社以外のブランドでは、コンテンツをローカライズし、ジオターゲティング(ロケーションでターゲティング)やリアルタイムデータを活用するなど、デジタル化が進んでいる。「ビジネス戦略やコミュニケーションアプローチにおいて、デジタル用の予算が関わるのか、関わらないのかを線引するのは、非常にあいまいで、意味がない」とブリテイン氏は話した。

内製は絶対にしない

社内クリエイティブチームを作り、自力でパブリッシャーになる道を進むブランドが増えている。ライバル社のペプシ(Pepsi)が自身のクリエイターズリーグ代理店とともに社内コンテンツ制作を拡大するなか、コカ・コーラにはそれに続くようなプランはない。

「強がりに聞こえるかもしれないが、それは絶対にないと考える」と、ブリテイン氏は語る。「1980年代にフィルムスタジオを買収した。私は当社がコンテンツ制作に参入することは二度とないと思っている」(コカ・コーラは1982年にコロンビアスタジオを買収したが、1989年にはソニーに売却した。「イシュタル」という作品に巨額予算を投じて失敗したすぐあとのことだ)。

現在、もっとも手間のかかるコンテンツ制作作業は代理店頼みにしている。国際広告会社のマッキャン(McCann)とテレビ番組制作会社エンデモル(Endemol)は、イギリスでコカ・コーラの新たなYouTubeチャンネル「コークTV(CokeTV)」をローンチ。これは、2014年にドイツではじめてローンチされて以来、2900万以上のビュー数を誇る、ドイツのコークTVに続くものだ。

いまだクーポンは強し

さかのぼって1920年代、コカ・コーラはオリジナルクーポンを量産する企業として知られていた。2016年、同社は原点に戻って、デジタルクーポン活動を再開する。

2015年、Facebookで行われたコークゼロでのを実験を経て、コカ・コーラは同プラットフォームで、強化された「オーディエンスインテリジェンス」(App Annieの法人向けサービス)を利用し、ターゲットユーザーを絞っている。ブリテイン氏によれば通常のサンプリングよりもコスト効率が良く、また18歳から30代前半までの健康志向の消費者というデモグラフィックをターゲットとするのに最適な方法ともいえる。

消費者がAppleの「Wallet(ウォレット)」でダウンロードしたクーポンを、コカ・コーラの新たなパートナーであるスーパーチェーンのアズダ(Asda)に持参すれば、商品と交換してくれる。一度商品を味わえばリピーターになる人が多いことは、コカ・コーラが行った調査で確認済みだ。「このデジタル機能によって消費者の手に、物理的にボトルを渡す人員が不要になった」と、彼は語った。

全プラットフォームにコークを

ブリテイン氏ははっきりとは言及しなかったが、コカ・コーラゼロシュガーが売り上げの倍増に向けて、マーケティングミックスの「すべての要素」が必要となってくるだろう。

ブリテイン氏は、プラットフォームについては賛成だという。「我々への注目度を高めてくれるプラットフォームはいずれも大歓迎だ」。ライブ動画でもチャットボット(Chatbots)でも、「Facebookが最初に話をもちかけてくれるブランドのひとつでありたい」。

コカ・コーラのこうした取り組みの例を挙げるなら、クーポン券付きの「購買率向上キャンペーン」で広告主として、はじめてSnapchat(スナップチャット)を利用しようとしていることだ。しかし、ブリテイン氏が詳細を語ることはなかった。「我々がそれを利用するかどうか、それについては、いまのところイエスとだけいえる」。

Grace Caffyn(原文 / 訳:Conyac